海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第3話では、父ジョージが病院で検査を受けている間、きょうだいと祖母ミーモーの間で短い言い合いが何度も起こります。どのやり取りも、相手の言葉を受けてすぐに返す切り返しが効いています。
「素直に認めなよ」「それなら言わせてもらうけど」を英語でどう言うか。三つの言い合いから、皮肉と切り返しの表現を拾っていきます。
「Just admit it」で非を認めさせる
病院へ向かう車の中で、妹ミッシーと兄ジョージーが言い合いを始めます。
Missy: Just admit it, we’re lost.
(素直に認めなよ、迷ってるんでしょ。)Georgie: We’re not lost.
(迷ってねえよ。)Missy: Well, I sure don’t see a hospital anywhere.
(へえ、病院なんてどこにも見えないけど。)Sheldon: Why don’t we ask somebody for directions?
(誰かに道を聞けばいいんじゃないかな。)Georgie: Because we’re children in a car, genius.
(車に乗った子どもだからだよ、天才くん。)Young Sheldon Season1 Episode3(Poker, Faith, and Eggs)
Just admit it は「いいから認めなよ」と、相手が認めたがらないことを突きつける切り出しです。just が「素直に・あっさり」という押しの強さを加えています。否定されたミッシーは、I sure don’t see ~ と続けました。sure は「確かに」と自分の目に見えている事実を強める語で、「どこにも見えないけど」と遠回しに相手の言い分を崩す返し方です。
ジョージーの We’re not lost. は、ミッシーの we’re lost に not を足しただけの返事です。相手の言葉をそのまま打ち消すと短く強く言い返せますが、根拠は何も示していません。その言い分を、ミッシーは目の前の事実で崩しています。
最後のジョージーの genius は「天才」という意味の語ですが、ここでは提案したシェルドンをほめているのではありません。文の終わりに呼びかけとして置くことで、「そんなことも分からないのか」という皮肉になっています。言葉の表面とは逆の意味で使われる呼びかけは、口調や流れで判断する必要があります。
- A: Just admit it, you forgot my birthday.
(素直に認めなよ、私の誕生日を忘れてたでしょ。) - B: I didn’t forget. I just didn’t say anything.
(忘れてないって。言わなかっただけ。)
相手の言葉を逆手に取って返す
これより前、家の場面では、ミーモーとジョージーの間でも言い合いが起きていました。
Meemaw: Y’all two go get ready for bed.
(あんたたち二人は寝る支度をしな。)Georgie: I don’t want to stay around here. I want to go to the hospital and see Dad.
(こんなとこにいたくない。病院に行って父さんに会いたいんだ。)Meemaw: Well, I want to go to Las Vegas and see Willie Nelson, but that ain’t gonna happen either.
(あたしだってラスベガスに行ってウィリー・ネルソンに会いたいけど、それも叶いっこないんだよ。)Georgie: This is stupid.
(ばかみたいだ。)Meemaw: You know what’s stupid? I got to drink pink wine!
(何がばかみたいか教えてやろうか? あたしはピンクのワインを飲むはめになってるんだよ!)Young Sheldon Season1 Episode3(Poker, Faith, and Eggs)
ミーモーの最初の返しは、ジョージーの I want to をそのまま借りています。自分にも叶わない望みがあると並べ、but that ain’t gonna happen either と締めることで、「だからあんたの望みも叶わない」と伝えました。either は否定文で「〜もまた」を表す語です。ain’t は is not などに当たる、くだけた話し言葉で使われる語です。
続く You know what’s stupid? も、相手が口にした stupid を拾って返す形です。「ばかみたい」と言われたのを受け、「何がばかみたいか教えてあげようか」と自分の不満にすり替えています。相手の言葉を逆手に取る切り返しは、言い合いを笑いに変える働きもしていると読み取れます。
二つの返しに共通するのは、相手の言い分に正面から反論せず、相手の言葉を材料にして話の向きを変えている点です。病院に行きたいという気持ちそのものは否定しないまま、行けない理由を説明する代わりに冗談で返しているのが、祖母の応じ方です。
- A: I want a day off.
(休みがほしいな。) - B: I want a vacation in Hawaii, but that’s not gonna happen either.
(私だってハワイで休暇を過ごしたいけど、それも無理な話だよ。)
言い逃れと、突き放す返し
病院の場面では、祖母の車を持ち出した件で、ミーモーがジョージーをとがめます。
Meemaw: Keep your voice down, car thief.
(声を落としな、車泥棒。)Georgie: I didn’t steal your car, I just borrowed it.
(盗んでないよ、借りただけだって。)Meemaw: You’re gonna need to make bail someday. Do not come to me.
(あんた、いつか保釈金が要るようになるよ。そのときあたしを頼るんじゃないよ。)Young Sheldon Season1 Episode3(Poker, Faith, and Eggs)
Keep your voice down. は「声を落として」と注意する決まった言い方で、そこに car thief(車泥棒)という呼びかけを添えて責めています。ジョージーは steal(盗む)と borrow(借りる)を言い換えて言い逃れをしました。同じ行為を別の動詞で言い直して、責められている点をずらしています。
make bail は「保釈金を用意する」という意味で、ミーモーは「いつかそういう目にあう」と大げさに言っています。本当に警察沙汰になったわけではなく、冗談めかした叱り方です。Do not come to me. は don’t を do not と分けて言うことで、「私のところには来ないで」と突き放す調子が強まっています。
三つの言い合いを並べると、認めさせる、言葉を拾って返す、言い逃れを突き放すと、切り返しの狙いがそれぞれ違うことが分かります。どれも短い一文で、相手の直前の発言を受けて組み立てられています。
- A: You took my umbrella again!
(また私の傘を持っていったでしょ!) - B: I didn’t take it, I just borrowed it.
(持っていったんじゃなくて、借りただけだよ。)
| 表現 | 働き |
|---|---|
| Just admit it, ~ | 相手に非を認めさせる |
| I sure don’t see ~ | 見えている事実で言い分を崩す |
| ~, genius. | 皮肉の呼びかけ |
| I want to ~, but that ain’t gonna happen either. | 相手の望みを自分の望みで切り返す |
| You know what’s stupid? | 相手の言葉を拾って返す |
| I didn’t steal it, I just borrowed it. | 言葉を言い換えて言い逃れる |
まとめ|言い合いを支える切り返しの型
Just admit it で認めさせ、genius の皮肉で返し、You know what’s stupid? で相手の言葉を拾う。言い逃れには Do not come to me. と突き放す。家族の短い言い合いに、切り返しの型がいくつも並んでいます。
次回も『ヤングシェルドン』の家族の会話を観ながら、英語表現を一緒に学んでいきましょう。


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