「bad blood」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E07で学ぶ英会話

「bad blood」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

一度こじれてしまった相手とは、表向き話がまとまったあとも、どこかしこりが残ったままになる。そんな関係に心当たりはありませんか。

その状態をひとことで言い表すのが「bad blood」です。『メンタリスト』シーズン2第7話の終盤、部下が銃撃された直後に、リズボンとボスコが廊下で向き合う場面に登場します。どんな重さを持った一言なのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「bad blood」の意味とニュアンス

bad blood
意味:根に残った対立感情、長く続く確執

直訳すれば「悪い血」。過去の出来事が原因で、当事者のあいだに消えないまま残っている敵意を指します。

特徴は、一度きりの口論ではなく、関係の状態を指しているところにあります。今まさに争っているかどうかは問いません。表面では収まっていても、触れれば痛む場所が残っている。そうした持続性がこの表現の核にあります。

そのため、使われ方も「二人のあいだに存在するもの」という形になります。There’s bad blood between them が最も典型的な言い回しで、誰かが持っている感情ではなく、両者を隔てている何かとして語られます。

文法面では不可算名詞として扱い、a を付けません。日本語話者が a bad blood としてしまいやすいところなので、無冠詞の形ごと覚えておくと安全です。

【ここがポイント!】

  • 「悪い血」が指すのは、今の争いではなく、消えずに残っている確執のほう
  • between A and B の形で、二人のあいだに横たわるものとして語るのが定型
  • a を付けない不可算。この一点だけは形で覚えてしまうのがコツ

『メンタリスト』S02E07のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

聞き込みの最中に銃撃されたヴァン・ペルトが防弾ベストで一命を取りとめ、リズボンとボスコが本部の廊下で向き合う終盤の場面です。現場では、二つの班から組まされた二人が言い合いをしている最中でした。その事実をどう受け止めるかで、二人の上司の姿勢がはっきり分かれます。

Lisbon: HUSH. THIS IS OUR FAULT.
(黙って。これは私たちのせいです)

Bosco: UH, WHAT DO YOU MEAN?
(どういう意味だ)

Lisbon: RIGSBY SAID THAT HE AND HICKS WERE GOING AT IT WHEN VAN PELT WAS SHOT. THAT KIND OF BAD BLOOD STARTS WITH US.
(撃たれたとき、リグスビーとヒックスは言い合っていたそうです。ああいう確執は、私たちから始まるんです)

Bosco: THIS ISN’T ABOUT BAD BLOOD. IT’S ABOUT PROFESSIONALISM.
(確執の問題じゃない。プロ意識の問題だ)

Lisbon: THERE YOU GO AGAIN. YOU WON’T TAKE ANY RESPONSIBILITY.
(またそれです。あなたは責任を取ろうとしない)

The Mentalist Season2 Episode7(Red Bulls)

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シーン解説と心理考察

リズボンが原因を現場の二人ではなく自分たち上司に置いた点に、この場面の芯があります。部下の失点として処理すれば話は早いところを、班同士の空気を作った側の責任として引き受けている。starts with us という言い方に、その姿勢が表れています。

対するボスコは、bad blood という語をそのまま拾い上げて否定し、professionalism へ言い換えました。確執の存在を認めれば、自分もその当事者になってしまう。語を差し替えることで責任の所在ごとずらそうとする動きが、この短い応酬にはっきり出ています。

リズボンの There you go again という返しが、この言い換えが初めてではないことを示しているのも見逃せません。今日の一件だけでなく、これまで何度も同じやり取りが繰り返されてきた。二人のあいだにも実は bad blood が積もっているという事実が、言葉の外側からにじむ場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

古い傷が、治りきらないまま皮膚の下に残っている状態を思い浮かべてみてください。表面はふさがっているので普段は見えませんが、押されると痛みます。bad blood が指しているのは、この残り方です。

争いそのものではなく、争いの跡が体内に留まり続けていること。だから There’s bad blood between them のように、両者のあいだに存在するものとして語られます。

劇中のリズボンも、部下二人の口論そのものではなく、それを生んだ両班の関係のほうを bad blood と呼びました。原因ではなく、澱として溜まっているもの。傷跡の絵で覚えておくと、この使い分けを外しません。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「bad blood」

between と組む形が中心になる表現です。三つの場面で確かめてみましょう。

There’s bad blood between those two.
(あの二人のあいだには確執がある)
同僚同士がなぜ険悪なのかを説明する場面。最頻出の型なので、この一文をそのまま覚えてしまうと応用が利きます。

They settled the deal, but the bad blood never went away.
(取引はまとまったが、しこりは消えなかった)
交渉後も関係が戻らなかった経緯を報告する場面。but で繋ぐと、表面上の解決と感情の残存を一文で対比できます。

A: Is there bad blood between you two?
B: It goes back years, honestly.
(A:二人のあいだに何かあるの?)
(B:正直、何年も前からのことなんだ)
場の空気の悪さを本人に確かめる場面。go back years と組み合わせると、確執の長さがそのまま伝わります。

あわせて覚えたい関連表現

hold a grudge
(恨みを抱く)
一人の内側にある感情を指し、主語が誰かの恨みを持ち続けている状態を表します。bad blood が両者のあいだに横たわる関係を指すのに対し、こちらは持ち主が特定されるのが違いです。

friction
(摩擦、軋轢)
現在進行中の衝突を表す中立的な語で、職場の人間関係の説明などによく使われます。bad blood が過去の出来事に根を持つのに比べ、時間の幅がずっと短くなります。

bury the hatchet
(和解する)
bad blood を解消する側の表現です。二つを対で覚えておくと、対立が生まれてから解けるまでを一続きの言葉で語れるようになります。

Note|血が感情を宿すと考えられていた時代

なぜ確執を「悪い血」と呼ぶのでしょうか。この比喩の背後には、体液が人の気質を左右すると考えられていた時代の身体観があるとされます。

かつてヨーロッパでは、血液をはじめとする体液の均衡が性格や健康を決めるという考え方が長く医学の主流を占めていました。快活さも怒りっぽさも、体内を巡るものの質によって説明されていたわけです。この枠組みのもとでは、悪意や敵意もまた血に宿るものとして語ることができました。bad blood という言い回しは、その名残りだと説明されることが多く、同じ発想は blue blood(高貴な血筋)や in cold blood(冷酷に)といった表現にも残っています。血が単なる体液ではなく、その人の性質や関係性を担うものとして扱われていた痕跡が、現代英語の慣用句の中にいくつも埋め込まれているわけです。医学的な裏づけは失われても、比喩としての強さだけが残り、使われ続けてきたと言えます。

この背景を踏まえると、bad blood が指しているのが一時的な感情ではない理由も見えてきます。血は入れ替えの利かないもの、その人に流れ続けるもの。だからこそ、簡単には消えない確執を表す語として選ばれてきました。

リズボンが「私たちから始まる」と言ったとき、彼女もまた、消しにくいものの話をしていた瞬間でした。

まとめ|リズボンが引き受けようとしたもの

bad blood は、過去の出来事に根を持ち、当事者のあいだに残り続ける確執を指す表現です。今まさに争っているかどうかではなく、触れれば痛む場所が消えていないこと。そこにこの言葉の重心があります。

There’s bad blood between them という定型と、a を付けない不可算という一点を押さえておけば、会話でも読み物でもそのまま使えます。bury the hatchet と対にしておくと、対立から和解までを一続きで語れるようにもなります。

部下の負傷を、現場の失点ではなく自分たちが作った空気の帰結として引き受けようとしたリズボン。その一言の重さが、この二語に静かに畳み込まれた場面でした。

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