「cross paths with」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E05で学ぶ英会話

「cross paths with」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

初対面の相手との雑談で「あの人、ご存じですか」と聞かれて、知っているとも知らないとも言いにくくて、言葉を選んだことはありませんか。関わりの濃さを正確に伝えるのは、母語でも意外と難しいものです。

そんなときに便利なのが「cross paths with」です。『メンタリスト』シーズン2第5話の中盤、古書店で歴史家から話を聞いていたジェーンが、帰りぎわに何気なく被害者との接点を尋ねる場面で登場します。穏やかな質問の裏で何が起きているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「cross paths with」の意味とニュアンス

cross paths with
意味:(偶然)出くわす、関わりを持つ

path は人が歩く小道のことです。cross paths with は、別々の道を歩いていた二人の進路が、ある地点でたまたま交わる、という絵をそのまま言葉にした表現になります。約束して会うのではなく、偶発的に接触するという点が核にあります。

使い方は大きく2通りです。ひとつは、実際に鉢合わせした出来事を指す用法。もうひとつは、過去に関わりがあったかどうかを尋ねる用法で、Have you ever crossed paths with him? のように現在完了で使われます。後者は経歴の確認に近く、聞き込みや面接の場面でよく登場します。

Our paths crossed in Tokyo. のように paths を主語に立てる形も定番です。人を主語にしないぶん、偶然性がいっそう際立ちます。関わりの濃さには触れずに、接点の有無だけを問える。この中立さが、この表現の使い勝手を支えています。

【ここがポイント!】

  • イメージは、2本の線が一点だけで交わる地図の交差点
  • 約束した再会ではなく、たまたま交わったという偶然性が核になる一言
  • 関わりの深さに踏み込まずに面識だけを尋ねられる、角の立たない聞き方

『メンタリスト』S02E05のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジェーンは町の古書店で、地元の歴史家レイミーからベックワース家の来歴を聞き出したところです。礼を言って立ち去りかけたそのタイミングで、話の流れに紛れ込ませるように、被害者フォスターとの接点を尋ねます。相手が構えていない瞬間を選んだ質問でした。返ってきた答えを聞いた直後、ジェーンの態度は一変します。

Jane: Okay. Thank you. Uh, did you ever cross paths with Foster?
(なるほど。ありがとう。ところで、フォスターとは顔を合わせたことは?)

Raimey: Once or twice. He seemed pleasant enough. Never paid very much attention.
(一、二度はね。感じのいい人に見えました。大して気にも留めませんでしたが)

Jane: You deceitful old bag of bones.
(この嘘つきの老いぼれめ)

Raimey: Excuse me?
(何ですって?)

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シーン解説と心理考察

Okay. Thank you. と会話を閉じたあとで、Uh, と間を置いてから質問が差し込まれます。用件は済んだ、というサインを出しておいて、相手の警戒が緩んだところに本題を置く。ジェーンの聞き方の型がよく出ている場面です。

注目すべきは、レイミーの答えの構造と言えます。一、二度という回数、感じのいい人という当たり障りのない評、そして大して気にも留めなかったという距離の宣言。聞かれてもいない情報を3つも重ねて、関わりの薄さを念入りに補強しています。cross paths with という中立な問いに対して、これだけの防御が返ってくること自体が不自然です。

その不自然さを、ジェーンは即座に読み取ります。礼儀正しかった口調をかなぐり捨て、老いぼれ呼ばわりに切り替わる落差が見どころです。丁寧な質問と容赦のない断定が地続きになっているところに、この人物のやり方が凝縮されています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

大きな地図の上に、二人の人物が歩いた道筋を色の違う線で描いてみてください。ふだんは離れて走っている2本の線が、ある一点でだけ交差します。cross paths with が示しているのは、その交点ひとつぶんの関わりです。

このシーンで面白いのは、交点の数がそのまま駆け引きになっているところです。ジェーンは交わったことがあるかと尋ねただけなのに、レイミーは一、二度と数を絞り、しかも気にも留めなかったと交点の重みまで下げにかかりました。線の交わりを小さく見せようとする動きが、かえって目立ってしまったわけです。地図の上の交点を思い浮かべながら、その数を相手がどう数えるかまで含めて覚えておくと、この表現の役割が定着します。

例文で覚える「cross paths with」

面識を尋ねる場面と、偶然の再会を語る場面の両方で活躍します。使い分けの感覚を、3つの例文でつかんでいきましょう。

Have you ever crossed paths with her at a conference?
(学会で彼女と顔を合わせたことはありますか?)
共通の知り合いがいるかどうかを、それとなく探るときの言い方です。Do you know her? と直接聞くより踏み込みが浅く、相手が答えやすくなります。

We crossed paths years ago in Osaka, but I doubt he remembers me.
(何年も前に大阪で一度会っただけなので、彼は覚えていないと思います)
昔の一度きりの縁を説明する場面です。過去形にすると、その一点で終わった関係だということがきれいに伝わります。

A: Do you know Daniel from the marketing team?
B: We’ve crossed paths a few times, but that’s about it.
(A:マーケティングのダニエルって知ってる?)
(B:何度か顔を合わせたことはあるけど、それくらいかな)
社内の人間関係を説明する場面です。現在完了に a few times を添えることで、面識はあるが親しくはない、という微妙な距離を一息で表せます。

あわせて覚えたい関連表現

run into
(ばったり会う)
一回きりの偶然の遭遇そのものを指します。cross paths with は関わりの有無を尋ねる用法にも使えるので、質問文にするなら後者のほうが自然です。

bump into
(偶然出くわす)
run into とほぼ同じ意味で、より口語的な言い方です。ぶつかるという語感のぶん、物理的な鉢合わせの絵が前に出ます。

have dealings with
(取引や関わりがある)
意図的で継続的な関係を表します。cross paths with の偶然性とは正反対なので、関わりの性質を言い分けたいときに対にして覚えておくと便利です。

Note|「会ったことがある」の距離感を測る

日本語で「会ったことがあります」と言うとき、その一言には一度きりの挨拶から長年の付き合いまでが詰め込まれています。英語は、この距離感を表現の選択で示します。

cross paths with / run into / bump into / have dealings with を、3つの軸で並べてみます。ひとつめは偶然か意図的か。前の3つは偶然、have dealings with だけが意図的です。ふたつめは、一回きりか継続的か。run into と bump into はその場かぎりの出来事を指しますが、cross paths with は現在完了で使うと複数回の接触もまとめて扱えます。みっつめは、関係の濃さに踏み込むかどうか。ここが決定的で、cross paths with だけが濃さについて何も言いません。交わったかどうかだけを問い、それ以上は相手にゆだねる形になっています。

だからこそ、聞き込みの場面ではこの表現が選ばれます。関係の深さを決めつけずに接点だけを確認できるので、相手は身構えずに答えられる。劇中のレイミーが、問われてもいない距離の遠さまで語ってしまったのは、この中立な問いに対して自分から情報を足しにいった結果でした。

何も決めつけない質問ほど、答えのほうが多くを語ります。

まとめ|交わった点の数を、どう数えるか

cross paths with は、関係の濃さではなく接点の有無だけを言う表現です。深く関わったかどうかを判定せず、道が交わったという事実だけを差し出す。その中立さが、この言い回しの持ち味だと整理しておくと使いどころを見誤りません。

この一言を持っていると、人間関係の説明がぐっと楽になります。知っているとも知らないとも言い切りたくないとき、We’ve crossed paths a few times. と言えば、面識はあるが親しくはないという微妙な位置を、一息で示せます。相手について尋ねるときも、詮索している響きを出さずに済みます。

地図の上で線が交わる、あの一点の絵とセットにして、表現の引き出しに加えてみてください。

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