海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手の説明が二転三転して、何がどうなっているのか分からなくなる。そんなとき、いったん話を止めて、順番を並べ直したくなる瞬間があります。
そこで使われるのが「let me get this straight」で、話を整理させてくれ、という意味です。『メンタリスト』シーズン2第6話の冒頭、殺人現場で乱闘を起こした男から事情を聞く場面で、チョウがこの一言を口にします。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。
「let me get this straight」の意味とニュアンス
let me get this straight
意味:話を整理させてくれ、確認させてくれ
straight は「まっすぐな」「ねじれのない」状態を指す語です。get this straight で、目の前の話をまっすぐな形に整える。そこに let me が付くことで、整えさせてほしいという申し出になります。
使われるのは、情報が入り組んでいるときです。誰が何をしたのか、順番はどうだったのか。聞いた内容を自分の言葉で並べ直し、それで合っているかを相手に突き合わせる。その前置きとして置かれます。
同じ形でも、温度は二通りに分かれます。純粋な事実確認として使えば、丁寧な整理です。一方、相手の説明に食い違いがあるとき、その食い違いを並べて見せる形にもなります。この場合は確認の顔をした追及になり、言われた側は逃げ場を失います。
this の代わりに具体的な語を置くこともできます。let me get the schedule straight のように、整理したい対象を名指しする形です。会議でも聞き取りでも日常会話でも使える、汎用性の高い一言です。
【ここがポイント!】
- straight は「乱れのない状態」。話をまっすぐに並べ直すイメージ
- 純粋な事実確認にも、食い違いを突く追及にも使える
- 続けるのは、自分の言葉で言い換えた確認内容
『メンタリスト』S02E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者の遺体が見つかった現場で、遺族と土地をめぐって争ってきた男セオドア・ラスコムが乱闘を起こし、チョウに取り押さえられます。CBIに場所を移した聴取で、チョウは現場で誰が誰に何を言ったのかを一つずつ確認しようとしました。ところがラスコムは、州政府そのものを認めないという主張を始めます。横で聞いていたジェーンは、その主張に真顔で乗っていきました。
Cho: Sir, let me get this straight. The victim’s wife is Donna Hines, and it was her brother Rod Gerber that told you to step back. Is that right?
(ちょっと確認させてください。被害者の奥さんがドナ・ハインズで、あなたに下がれと言ったのはその兄のロッド・ガーバー。それで合っていますか)Luscom: My name is Theodore Luscom. I am a citizen of Free California. The so-called federal and state authorities you work for are not legitimate.
(私の名はセオドア・ラスコム。自由カリフォルニアの市民だ。あんたが仕えている連邦だの州だのという当局は、正当なものじゃない)Luscom: You don’t know it, but you people are just tools of the United Nations.
(あんたらは知らんだろうが、あんたらは国連の手先にすぎん)Jane: Oh, yeah, we know it. They told us last June, laid it all out.
(ああ、知ってるよ。去年の6月に全部説明された)Cho: Hush. Ignore him, Mr. Luscom.
(静かに。彼のことは無視してください、ラスコムさん)The Mentalist Season2 Episode6(Black Gold and Red Blood)
シーン解説と心理考察
チョウの質問の作りが分かりやすいです。被害者の妻は誰か、下がれと言ったのは誰か。乱闘でぐしゃぐしゃになった現場の情報を、名前と役割に分けて並べ直しています。最後に Is that right? と添えて、確認の判断を相手に渡す。感情を挟まず事実だけを扱う彼の話し方が、この表現の機能とそのまま重なっています。
ところがラスコムは、質問に答える代わりに立場の表明を始めました。整理しようとする側と、整理の土台そのものを認めない側。話が噛み合わない構図が、ここで出来上がります。
さらにその横から、ジェーンが真顔で加わりました。国連の手先だという主張に、去年の6月に説明を受けたと返す。相手の世界観にそのまま乗ることで、その世界観を内側から崩そうとしています。整理する人と、かき混ぜる人が同じ部屋にいる。チョウの Hush という短い制止が、その状況を一言で表していました。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
机の上に、順番のばらばらな書類が斜めに散らばっている光景を思い浮かべてみましょう。straight は「まっすぐ」「乱れのない状態」です。let me get this straight は、その紙を一枚ずつ拾い上げ、角をそろえて一つの束に直す動作にあたります。
劇中のチョウがやっていたのも、これでした。誰が誰に何を言ったのか、乱闘で散らばった情報を一枚ずつそろえていく。その横で、ジェーンが積み上げた束をわざと崩していきます。
そろえる人と崩す人が同じ机に向かっている絵で覚えておくと、この一言が整理の宣言であることを思い出しやすくなります。
例文で覚える「let me get this straight」
確認にも追及にも使える表現です。三つの例文で、その振れ幅を見ていきましょう。
Let me get this straight — the meeting moved to Thursday, but the deadline stayed the same?
(整理させてください。会議は木曜に動いたけれど、締め切りは変わらないんですね)
変更の連絡が何度も届いたあとで、認識をそろえる場面です。ダッシュでつなぐと、確認したい内容がそのまま一息で続きます。会議やメールで最も使いやすい形です。
Okay, let me get this straight. You want me to fly out tomorrow and present the whole thing alone.
(なるほど、確認させてください。私に明日飛んで、全部一人でプレゼンしろと)
無茶な依頼を、あえて復唱して相手に自覚させる場面です。疑問形にせず平叙文で言い切ると、あきれの感情がにじみます。
A: I’m not saying I don’t want to go. I’m saying I can’t go right now.
B: Let me get this straight. So you do want to go, just not today.
(A:行きたくないとは言ってない。今は行けないと言ってるんだ)
(B:確認させて。行きたいけど、今日は無理ってことね)
遠回しな言い方を、はっきりした形に置き直す会話です。相手の否定文を肯定文に直す整理役として働いています。
あわせて覚えたい関連表現
just to be clear
(念のためはっきりさせておくと)
整理する対象が自分の発言である点が違います。誤解されそうな内容を、自分から先に明確にする前置きです。相手の話を整理する今回の表現とは、向きが逆になります。
correct me if I’m wrong
(間違っていたら訂正してほしいのですが)
自分の理解が誤っている可能性を先に差し出す言い方です。低姿勢な分、追及の色は出ません。目上の相手や、関係を保ちたい場面で選ばれます。
so what you’re saying is
(つまりあなたが言っているのは)
相手の発言を要約して返す点は同じですが、前置きを挟まずに要約へ入ります。その分だけ踏み込んだ印象になり、言い換えが的外れだと反発を招くこともあります。
Note|確認の言い方、三つの入口
英語で確認を切り出すとき、入口は一つではありません。よく使われる三つを並べると、それぞれ整理する対象が違うことが見えてきます。
just to be clear が整理するのは、自分の発言です。相手に誤解されそうな内容を、自分から先に明確にしておく。責任の所在は話し手の側にあります。
correct me if I’m wrong が整理するのは、自分の理解です。聞いた内容をこう受け取ったが、違っていたら直してほしい。誤りの可能性を自分に引き受けるため、相手を立てる言い方になります。
そして let me get this straight が整理するのは、相手の説明です。話が入り組んでいる、あるいは辻褄が合わない。その乱れを並べ直すのだから、整理が必要になった原因は相手の側にある、という前提が言外に置かれます。三つの中でこの表現だけが追及に転びやすいのは、ここに理由があります。
劇中のチョウは、聴取の相手に対して三つ目を選びました。取り調べという場面では、整理の責任を相手側に置くのが自然です。一方で、上司に予定を確認するときに同じ言い方をすると、少し尖って響くことがあります。その場では一つ目や二つ目のほうが収まりがよくなります。
同じ確認でも、誰の言葉を整えるのか。そこを意識すると、三つの入口は自然と選び分けられるようになります。
まとめ|散らばった話を、一列に
let me get this straight は、入り組んだ話を自分の言葉で並べ直し、相手に突き合わせる前置きでした。straight という語が持つ乱れのなさが、そのまま表現の機能になっています。
会議で変更点をそろえるとき、聞いた話の辻褄が合わないとき、あるいは相手の言い分をあえて復唱してみせたいとき。語尾を疑問形にするか言い切るかで、確認にも追及にも姿を変えます。
乱闘の現場を名前と役割に分けて並べ直したチョウと、その束を横から崩していったジェーン。整理という仕事がどれだけ骨の折れるものか、静かに伝わってくる場面でした。


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