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話し合いの途中で「そもそも、なんでこうなったんだっけ」と、いちばん最初の判断まで話を巻き戻したくなった経験はありませんか。
その巻き戻し方をひとことで表すのが「in the first place」で、そもそも、最初の時点で、という意味です。『メンタリスト』シーズン2第18話の後半、ジェーンがヴァンペルトを内緒の遠出に誘い込み、渋る彼女を押し切る場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。
「in the first place」の意味とニュアンス
in the first place
意味:そもそも、最初の時点で
place を「場所」ではなく「順番の位置」として捉えると、この表現は素直に読めます。競技の first place が一位を指すのと同じで、並んだ出来事の一番目を指しているわけです。
意味は置き場所で二つに分かれます。文末に置けば「そもそも」となり、今の状況ではなく、その手前にあった判断まで話を戻します。文頭に置けば「第一に」となり、理由を順に並べる合図になります。
よく使われるのは文末のほうで、批判や後悔と結びつきやすいのが特徴です。shouldn’t have や why と組み合わせると、そこがそもそも間違いだった、という含みがはっきり出ます。責める気がない場面で使うと思ったより強く響くことがあるため、口調で加減したい表現でもあります。
書き言葉でも会話でも使え、あらたまった場でも違和感がありません。
【ここがポイント!】
- 核は順番の一番目。場所ではなく順序を指す place だと分かると意味がつながる
- 文末なら「そもそも」、文頭なら「第一に」。置き場所で役割が切り替わる
- 文末用法は相手の判断を否定する響きを帯びやすいので、口調で加減するのがコツ
『メンタリスト』S02E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
記憶を失った女性を居留地の追悼式へ連れて行こうとするジェーンが、彼女を病院から連れ出したヴァンペルトを巻き込みます。上司二人には黙っていてほしい、と持ちかけられたヴァンペルトが理由を尋ねると、話の向きが急に変わりました。
Jane: Oh, do me a favor. Don’t mention this to Lisbon or Hightower.
(ああ、ひとつ頼みが。このことはリズボンにもハイタワーにも言わないで)Van Pelt: And why not?
(どうしてですか)Jane: Well, why complicate things?
(話をややこしくしても仕方ないでしょう)Van Pelt: Complicate how?
(何がややこしくなるんです)Jane: Hell, Van Pelt, you shouldn’t have taken her out of the hospital in the first place. Your car, parking lot, ten minutes.
(ヴァンペルト、そもそも彼女を病院から連れ出すべきじゃなかったんだ。君の車で、駐車場に、10分後)The Mentalist Season2 Episode18(Aingavite Baa)
シーン解説と心理考察
ヴァンペルトが尋ねているのは、これから何がややこしくなるのか、という一点です。ところがジェーンは答えず、そもそも最初の一歩が間違っていた、と時間を巻き戻して返します。問いの向きを未来から過去へ変えてしまう手つきが、この一言に表れています。
過去の一点は動かせません。すでに終わった判断を持ち出されると、相手はそこから反論を組み立て直すことになります。目の前の問いは宙に浮いたまま、話は次へ進む。ジェーンが会議でも尋問でも使う押し切り方が、ここでも同じ形で出ています。
続く Your car, parking lot, ten minutes. という三語の指示が、その効果を裏づけています。相手が考えている隙に段取りだけを置いて立ち去る。反論の余地を残さない運び方が、短い言葉の連なりから伝わってきます。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
一列に並んだ足跡を思い浮かべてみましょう。いま立っているのは列の末尾で、in the first place はその列のいちばん最初の足跡を指さす動作です。place が場所ではなく順番の位置だと分かると、指の向く先が見えてきます。
指さす位置は同じでも、文のどこに置くかで役割が変わります。文頭なら、まずこの足跡から、と順に説明を始める合図。文末なら、そもそもこの一歩が違った、と発端を突く一言になります。
ジェーンが使ったのは文末でした。目の前の問いに答えず、列の先頭まで話を戻す。あの手つきごと覚えておくと、使いどころを外しません。
例文で覚える「in the first place」
置き場所で表情が変わる表現です。問いかけ、列挙、後悔の三つで見てみましょう。
Why did you agree to it in the first place?
(そもそも、どうしてそれを引き受けたの?)
トラブルの発端をさかのぼって尋ねる場面です。why と組み合わせると、責める色がかなり強く出ます。
In the first place, we don’t have the budget. Second, we don’t have the staff.
(第一に、予算がありません。第二に、人手もありません)
会議で反対の理由を順に挙げる場面です。文頭に置くと「第一に」の意味になり、Second や Third と組んで整理された印象になります。
A: The file’s corrupted again.
B: We shouldn’t have used that old drive in the first place.
(A:ファイルがまた壊れてる)
(B:そもそもあの古いドライブを使うべきじゃなかったんだ)
同じトラブルが繰り返された場面です。shouldn’t have と重ねると、後悔の色が濃くなります。
あわせて覚えたい関連表現
to begin with
(そもそも、まず第一に)
置き換えの利く場面が多い表現です。ただし文頭で使われる比率が高く、列挙の合図としての性格がやや強く出ます。
from the get-go
(最初から、初めからずっと)
開始時点から現在まで続いていることを表します。in the first place のような、そこが間違いだった、という批判の含みはなく、くだけた口語で使われます。
after all
(結局のところ、なんといっても)
視線の向きが逆になります。経緯を経たあとの結論に立つ言い方で、発端に戻る in the first place とはちょうど対になる関係です。
Note|発端に戻る言葉、結論に立つ言葉
in the first place、to begin with、after all。日本語ではどれも「そもそも」「結局」と訳されることがあり、まとめて覚えてしまいがちです。ただ、この三つは話し手の立っている位置が違います。
in the first place は、出来事の列の先頭に視線を向けます。いま起きている問題ではなく、その手前にあった判断へ話を戻す。だから責任の所在を問う場面と相性がよく、批判の色を帯びやすくなります。to begin with は同じ「そもそも」でも、理由を順に並べる入口として使われることが多く、話をこれから組み立てる合図に近い働きをします。after all はまったく逆で、経緯をすべて通過したあとの地点に立ちます。結局こうなった、なんといってもこうだから、と結論の側から振り返る言い方です。三つを一本の時間軸に置くと、先頭を指す語、順に並べる語、末尾から見返す語という並びになります。
劇中のジェーンが選んだのは、列の先頭を指す語でした。ここで after all を使えば「結局そうなったね」となり、責任を問う響きは消えます。同じ場面で語を入れ替えると、会話の圧力まで変わってしまいます。
どこに立って話すかが、そのまま語の選択になります。
まとめ|駐車場に10分後、と言い残して
in the first place は、並んだ出来事の一番目を指し、話を発端まで戻す表現でした。文末なら「そもそも」、文頭なら「第一に」。置き場所で役割が切り替わることを押さえておけば、読むときも書くときも迷いません。
この一言があると、目の前の議論から一段引いて、前提そのものを問い直せます。理由を順に並べる場面でも使えるので、会議でも文章でも出番の多い表現です。
劇中のジェーンは、答えにくい問いを受けた瞬間に列の先頭まで話を戻し、段取りだけ残して去りました。相手の問いに正面から答えないという選択肢まで含めて、表現の幅を広げてみてください。


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