「grow apart」の意味と使い方|『メンタリスト』S03E06で学ぶ英会話

「grow apart」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

長く一緒にいた相手との距離が、いつのまにか開いていた。そんな時間の流れが一言でこぼれ落ちる瞬間が、ドラマには時々あります。

その静かな一言にあたる「grow apart」を、『メンタリスト』シーズン3第6話の中盤、判事ポーリーンが行方の分からない娘との日々をジェーンに語るシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「grow apart」の意味とニュアンス

grow apart
意味:疎遠になる、気持ちが離れていく

grow apart は、人どうしが時間とともに徐々に親密でなくなることを表します。grow が入ることで、急な断絶ではなく変化が進んだ過程に焦点が当たります。

表現自体は、なぜ親密さが薄れたのかを指定しません。生活や関心の変化による場合にも、衝突など別の事情があった場合にも使えます。we grew apart と言えば原因を詳しく述べずに関係の変化を伝えられますが、「誰も悪くない」という評価まで自動的に含むわけではありません。

主語は we や they のほか、I grew apart from a friend のように一人を主語にして from で相手を示すこともできます。over time や these past few years のような時間を示す語句と組み合わせると、変化がゆっくり進んだことがより伝わります。

【ここがポイント!】

  • 同じ鉢の二本の若木が、別々の方向へ伸びていくイメージが核
  • 原因を名指しせず、徐々に親密でなくなった変化を表す一言
  • we / they のほか、grow apart from someone の形でも使える

『メンタリスト』S03E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

判事として一貫して隙を見せてこなかったポーリーンが、書斎でジェーンと言葉を交わすうちに、少しずつ母親の顔を見せていきます。敷物の上で遊ぶなと言っても聞かなかった娘の話から、二人の距離そのものへ会話が移っていく場面です。

Jane: Hard for someone like you to handle, I imagine.
(あなたのような人には、扱いにくかったでしょうね)

Pauline: Someone like me?
(私のような人?)

Jane: Disciplined. Rigorous. Wound. You are wound.
(規律正しくて、厳格。張り詰めてる。あなたは張り詰めてるね)

Pauline: It wasn’t all bad. She’s a beautiful girl. She’s strong and funny… and we’d grown apart these past few years because…
(悪いことばかりじゃなかったわ。あの子はきれいな子。強くて、面白くて…この数年は疎遠になっていたけれど…)

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シーン解説と心理考察

ジェーンは disciplined、rigorous、wound と短い語を重ね、ポーリーンの張り詰めた姿勢を言い当てます。ポーリーンは問い返したあと、娘の長所と、二人の距離が変わった数年間を語り始めます。短い応酬から長い告白へ移る流れに、抑えていた言葉がほどけていく様子が表れています。

we’d grown apart の過去完了は、いまの会話より前の数年間に進んだ関係の変化を振り返る形です。because のあとで説明が途切れているため、理由を一息では言い切れない状態も、正本の台詞どおりに見えます。

主語が we になっているため、この発話は娘だけ、あるいは母だけを変化の主体として名指ししません。ただし、grow apart 自体は原因や責任を評価する表現ではなく、この場面でもそれらは後続の説明に委ねられています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

同じ鉢に植えられた二本の若木を思い浮かべてください。植えたときは幹が触れ合うほど近かったのに、何年も伸びるうちに枝はそれぞれ別の方角へ向かい、気づけばどこも触れていません。折られたわけでも切られたわけでもなく、ただ育った方向が違っただけです。

劇中でポーリーンが数年間を振り返るとき、まさにこの年輪のような時間が背景に流れています。二本の木が別々に伸びていった変化を、彼女は一言で示しました。衝突の有無や原因はこの表現だけでは決まらず、焦点は徐々に親密でなくなった過程にあります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「grow apart」

理由を並べずに関係の変化だけを伝えられるのが、この表現の強みです。友人にも家族にも、そしてかつての恋人にも使える形を見ていきましょう。

We just grew apart after college.
(大学を出てから、私たちはただ疎遠になっただけ)
旧友との関係を説明する場面です。この例の just は、経緯を簡潔にまとめる話し手の姿勢を添えています。大きな出来事がなかったという含みは、フレーズ単体ではなく、この語と文脈から生まれます。

They didn’t fight; they simply grew apart.
(二人は喧嘩したわけじゃない。ただ心が離れていっただけ)
別れの経緯を人に伝える一文です。衝突がなかったことは前半の didn’t fight が明示しており、grow apart 自体が衝突の有無を決めているわけではありません。

A: I heard you and Mark don’t really talk anymore.
B: Yeah. Nothing happened, we just grew apart.
(A:マークとはもうあまり話さないって聞いたけど)
(B:うん。何かあったわけじゃなくて、ただ疎遠になっただけ)
事情を尋ねられたときのやり取りです。B のように返すと経緯を簡潔に伝えられますが、詮索をどの程度やわらかく区切れるかは口調や相手との関係にも左右されます。

あわせて覚えたい関連表現

drift apart
(少しずつ離れていく)
意味の重なる表現です。drift の「漂う」という像から受け身の変化を感じることはありますが、文脈による差が大きく、grow apart が必ず個々の成長を示すとは限りません。

lose touch
(連絡が途絶える)
気持ちではなく連絡そのものが切れた状態を指します。grow apart は連絡を取り合っていても心が離れている場合を含むため、指している層が違います。

fall out with someone
(仲たがいする)
口論などで仲たがいしたことを表します。grow apart は原因を指定しないため、衝突の有無を明示したいときに対比しやすい表現です。

Note|「疎遠になる」と grow apart のあいだにあるずれ

grow apart の訳語として、日本語では「疎遠になる」が当てられます。意味は確かに近いのですが、二つの言葉が見ているものは少しずれています。

日本語の「疎遠になる」は、親しさが薄れ、行き来や連絡が少なくなることを幅広く表します。grow apart も近い意味ですが、辞書上の核は「徐々に親密でなくなる」です。grow を「それぞれが成長した」と読める場面はあっても、その成長や責任の所在まで語義として固定されているわけではありません。訳すときは、連絡の減少を述べているのか、心理的な距離を述べているのかを文脈で補います。

劇中でポーリーンが主語を自分と娘の二人にしたのも、この含みと重なります。娘だけ、自分だけを変化の主体として名指しせず、二人の関係が変わった数年間を振り返る語り方です。

原因や責任を別に説明できる余地が残ることが、この表現の特徴です。

まとめ|徐々に変わった関係を、言葉にする

grow apart は、徐々に親密でなくなった関係の変化を表します。原因や責任を語句だけで決めず、必要なら前後の説明で補う表現です。

この言い方を持っていると、原因や責任の説明を保留したまま、人との距離の変化に焦点を当てられます。別れの理由を尋ねられたときにも、必要以上に説明を重ねずに区切りをつけられます。

娘の話をしながら主語を二人にしたポーリーンの選び方に、責める場所を持たない哀しみが静かに重なっていた場面でした。

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