「all due respect」の意味と使い方|『メンタリスト』S04E04で学ぶ英会話

「all due respect」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

目上の相手の判断に、どうしても納得できない。かといって、真っ向から否定するわけにもいかない。そんなとき、最初のひとことをどう切り出すか迷った経験はありませんか。

英語でその役目を担う「all due respect」を、『メンタリスト』シーズン4第4話から、着任したばかりの上司と捜査方針がぶつかった会議で、ヴァンペルトが食い下がるシーンを通して、一緒に見ていきましょう。

目次

「all due respect」の意味とニュアンス

all due respect
意味:お言葉ですが、失礼を承知で申し上げますが

もとの形は with all due respect です。due には「当然払われるべき」という意味があり、直訳すれば「払われて当然の敬意はすべて払ったうえで」となります。会話では with が落ちて all due respect だけで使われることも多く、劇中もこの短い形です。

働きははっきりしています。直後に but が続き、その後ろに反対意見が置かれる。つまりこの一言は、敬意の表明であると同時に、これから異議を唱えるという予告になっています。聞き手のほうも、この前置きが出た時点で身構えることになります。

そのため、丁寧さの度合いと言われる内容の強さは一致しません。形式の上では最上級に礼儀正しく、中身は真っ向からの反論。この落差があるからこそ、上下関係を崩さずに意見を通したい場面で選ばれます。相手の面子を保ったまま、立場ではなく中身で争う構えに切り替える一言です。

【ここがポイント!】

  • 直訳は「払われて当然の敬意はすべて払ったうえで」、due が要になる一言
  • 直後に but が来て反対意見が続く、予告つきの前置き
  • 丁寧さと中身の強さが一致しない点を押さえておくのがコツ

『メンタリスト』S04E04のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

まだ罪を犯していない男性を泳がせ、犯行の瞬間を押さえるべきだ。ジェーンのその案に対して、着任したばかりの上司ウェインライトは、逮捕とカウンセリングによる介入を主張します。方針が正面からぶつかったところで、ヴァンペルトが上司に向けて口を開きます。

Wainwright: You are quite the Pied Piper, Mr. Jane. Quite the salesman. I happen to think counseling is our best option right now.
(あなたはまるでハーメルンの笛吹きだ、ジェーンさん。たいしたセールスマンだよ。私は今のところ、カウンセリングが最善だと思っている)

Van Pelt: All due respect, Chief, but isn’t it worth a shot?
(お言葉ですが、チーフ。やってみる価値はあるんじゃありませんか)

Wainwright: I will not follow around an almost-bad guy, just waiting for him to snap.
(まだ悪人になっていない男を、キレるのを待ちながら尾け回すつもりはない)

Jane: I vowed to make a prediction, so predict I shall. Before the sun sets today, Henry Tibbs will make his move. Give us that long.
(予言すると誓いました。ですから予言しましょう。今日、日が沈む前にヘンリー・ティブスは動きます。その時間だけください)

Wainwright: You have until the end of the day.
(今日いっぱいだ)

The Mentalist Season4 Episode4 (赤いバラの庭で)

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シーン解説と心理考察

ヴァンペルトの一言は、Chief という呼びかけと組になっています。役職名を添えることで上下関係を確認し、そのうえで but 以下に反論を置く。敬意の形式を先に整えてから中身で押す、という順序がきれいに表れています。

ウェインライトの応じ方も、この前置きが機能していることを裏づけています。彼が返しているのは「口の利き方」ではなく方針の中身です。まだ罪を犯していない相手を尾行することへの拒否感を、自分の言葉で述べている。前置きが働いた結果、議論が立場の争いへ流れずに済んでいます。

続いてジェーンが具体的な期限を示して押し、最終的に上司は今日いっぱいという条件つきで折れます。完全な譲歩ではなく、期限を区切った容認です。反論を受け入れつつ管理者としての責任は手放さない、という選び方がこの一言に重なっています。着任直後の上司と現場チームが、互いの立ち位置を探り合う空気が伝わってきます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

会議室で発言者が席を立ち、まず一礼する場面を思い浮かべてみてください。頭を下げている間は、姿勢としては完全に敬意です。ところが顔を上げた瞬間に出てくるのは、反対意見です。

all due respect は、この一礼にあたります。due は「当然払われるべき」。つまり「相手に払われて当然の分は、いま全部お支払いしましたよ」と先に宣言してから、but で本題へ入る。支払いを済ませてから交渉に入る、という順序になっています。

ヴァンペルトが Chief と呼びかけているのは、この一礼に添えられた所作です。礼と反論がひと続きの動作になっている、と押さえておくと、この前置きが聞こえた瞬間に「次は反対意見が来る」と身構えられるようになります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「all due respect」

会議でも交渉でも、立場のある相手に異議を伝える場面で働きます。3つの例文で見ていきましょう。

With all due respect, I think the numbers say otherwise.
(お言葉ですが、数字は別のことを示していると思います)
上司の見立てに、根拠を添えて反論する場面です。with を付けたこの形が標準で、会議でも書面でも使えます。

With all due respect to the committee, this deadline isn’t realistic.
(委員会には敬意を払ったうえで申し上げますが、この期限は現実的ではありません)
組織の決定そのものに異議を述べる場面です。to 〜 を付けると敬意の向かう先が明示され、特定の個人を責める形になりません。

A: The board has already signed off on it.
B: All due respect, sir, but the contract says something different.
(A:役員会はもう承認済みだ)
(B:お言葉ですが、契約書にはそう書かれていません)
決定済みという理由で議論を打ち切られかけた場面です。with を落とした短い形は口語寄りで、切り返しの速さが出ます。

あわせて覚えたい関連表現

no offense
(悪気はないんだけど)
同じ前置きでも、こちらは対等な相手や親しい相手に、個人的な感想を言う前に添えます。all due respect は上下関係のある場や公の場で選ばれる点が違います。

if I may
(差し出がましいようですが)
発言そのものの許可を求める前置きです。必ずしも反論が続くとは限らないため、all due respect ほど強い予告にはなりません。

I hear you, but
(おっしゃることは分かります、でも)
相手の主張を一度受け止めてから反論する形です。all due respect が中身に触れずに敬意だけを示すのに対して、こちらは内容を受け取ったと示す分、やわらかく響きます。

Note|丁寧な前置きが、警告灯として働くとき

英語を学んでいると、with all due respect はもっとも丁寧な前置きのひとつに見えます。ところが英語圏の職場では、この一言が出た瞬間に空気が張りつめることがあります。

現代の会話では、この表現の直後に反対意見や訂正が続くことが多いため、聞き手は丁寧な導入と同時に「これから異議が来る」と予測します。丁寧さそのものが、反論の重さを予告する目印として働くわけです。

同じ働きをする言い回しは他にもあります。Not to be rude, but(失礼を承知で言いますが)、I’m just saying(言ってみただけですが)、No offense, but(悪気はないけれど)。どれも前半が丁寧で、後半に本音が来る形です。英語では、これから相手の意に沿わないことを言うときに、まず前置きで予告する型が広く共有されています。

一方で、この型は使いすぎると効き目が落ちます。丁寧な形が反論の合図として知られているぶん、多用すれば「またか」と受け取られる。だからこそ、ここぞという場面で選ぶ言葉になっています。ヴァンペルトがこの前置きを使ったのも、方針そのものを覆そうとした場面でした。

丁寧さは、時として強さの前触れになります。

まとめ|反対意見の切り出し方

all due respect は、敬意を先に示したうえで異議を述べるための前置きです。形式としては最上級に礼儀正しく、続く中身は真っ向からの反論。この落差が、上下関係を保ったまま議論の中身で争うことを可能にしています。

立場のある相手に意見を伝えたい場面で、この一言があるかないかで会話の進み方は変わります。相手の面子を守りながら、話題を人の関係から内容へ移すことができるからです。

一礼してから顔を上げ、それでも引かない。ヴァンペルトがChiefと呼びかけて食い下がったのは、まさにそういう場面でした。

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