海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
話しているうちに脱線してしまい、「まあ、それはどうでもいい話なんだけど」と自分で話を切り上げた——そんな経験はありませんか。
今回は、そんなときにぴったりの「neither here nor there」を、『CHUCK』シーズン4第19話の前半、新チームの前でリーダーぶろうとしたチャックが、つい過去の話に脱線しかけて自分で打ち切るワンシーンから、一緒に見ていきましょう。
「neither here nor there」の意味とニュアンス
neither here nor there
意味:本題と関係ない、どうでもいい、大したことではない
議論の対象として「取るに足らない」「脱線している」ことを示し、話を先へ進めたいときに使う表現です。here(ここ)と there(そこ)という位置を表す語を両方とも否定することで、「どこにも属さない=論点にならない」という感覚を作り出しています。細かい点や都合の悪い話題を「それは重要じゃない」とさらりと片づけて、本筋に戻したいとき——そんな場面で活躍します。角を立てずに脱線を打ち切る、便利なクッションのような一言です。
【ここがポイント!】
- 「ここでもそこでもない=どこにも属さない」から「重要でない」が生まれる
- 脱線や細かい点を「本題と関係ない」とさらりと片づける一言
- 都合の悪い話題を角を立てずに打ち切りたいときにも使える
『CHUCK』S04E19のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
チャックが新チームの前でリーダーとしての威厳を示そうとした矢先、相棒のモーガンが過去のテーブルトークRPGでの失敗を蒸し返します。反論しかけたチャックですが、脱線に気づいて自分で話を打ち切り、本題へ戻ろうとします。
Morgan: But, be careful, ‘cause remember last time you were in charge, you led our party of D and D adventurers to their fiery deaths.
(でも気をつけろよ。前にお前がリーダーやったとき、俺たちの冒険パーティーを全滅の炎に導いたんだからな。)Chuck: We’ve been over this, Morgan, okay? If Tom had cast the spell of confusion, then we would have been out of that situation… Well anyway… that’s neither here nor there!
(その話はもう済んだだろ、モーガン。もしトムが混乱の呪文を唱えてたら、あの状況を切り抜けられてたんだ……まあとにかく、そんなのはどうでもいい話だ!)Chuck Season4 Episode19 (Chuck Versus the Muuurder)
シーン解説と心理考察
リーダーとして格好をつけたいチャックが、モーガンの蒸し返しに思わず反論しかけて、はっと我に返る様子が見どころです。「もしトムが呪文を唱えていたら」と言い訳を始めたところで、これは本筋から外れていると気づき、that’s neither here nor there! と自分で話を強制終了させます。ここには、反論したい気持ちを飲み込みつつ、リーダーとしての体面を保とうとする自己防衛が働いていると言えます。仲間内の気安い内輪ネタと、新チームの前で威厳を示したい焦りが同居しているところに、チャックらしい人間味がにじみます。脱線を「どうでもいい」と手早く片づけて前に進もうとする、その素早い切り替えにこのフレーズの機能がよく表れています。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
このフレーズは、「ここ(here)の棚にも、あそこ(there)の棚にも入らない」という空間のイメージで覚えると定着します。どの置き場にも収まらないもの——つまり、議論のテーブルに乗せる価値のない、取るに足らない話。チャックが過去の失敗談に反論しかけて、途中で「まあ、そんなのはどっちでもいい!」と手を振り、話を宙に浮かせてポイと脇へ追いやる。あの「話を片づけるしぐさ」と結びつければ、neither here nor there =「本題と関係ない」がすっと出てくるようになります。
例文で覚える「neither here nor there」
脱線を打ち切るときにも、細かい点を流すときにも使えるのがこの表現です。3つの場面で感覚をつかんでみましょう。
Whether he apologized first or I did is neither here nor there. Let’s just move on.
(どっちが先に謝ったかなんてどうでもいい。とにかく先に進もう。)
口論の細部にこだわる相手を落ち着かせる場面です。「どちらでもいい」を強調して、本質に話を戻すときの典型パターンです。
The exact figures are neither here nor there; what matters is whether we can deliver on time.
(正確な数字はどうでもいい。問題は、期日どおりに納品できるかどうかだ。)
会議で枝葉の議論を本題へ引き戻す場面です。細部を退けて、核心の論点を際立たせています。
A: Wait, was it Tuesday or Wednesday when we met?
B: Honestly, that’s neither here nor there. The point is, we did meet and agreed on the plan.
(A:待って、僕たちが会ったのって火曜だっけ、水曜だっけ?)
(B:正直、そこはどうでもいいよ。大事なのは、実際に会って計画に合意したってことさ。)
思い出せない細部にこだわる相手を軽くいなす会話です。劇中のチャックと同じ「脱線を打ち切る」使い方になっています。
あわせて覚えたい関連表現
beside the point
(的外れ、本題と関係ない)
beside the point は「論点からずれている」という論理的な的外れを指します。neither here nor there は「重要でない・どちらでもいい」という価値の低さに寄る点が違いです。
that’s not the point
(そこが問題じゃない)
相手の論点を明確に否定して、本質へ引き戻す表現です。neither here nor there が自分の脱線を軽く流すのにも使えるのに対し、こちらは相手の話のズレを指摘するニュアンスが強くなります。
it doesn’t matter either way
(どちらにしても問題ない)
より平易で直接的な言い方です。neither here nor there は慣用句らしい響きがあり、脱線をさらりといなす手触りがある点が異なります。
Note|here と there を両方否定する英語の発想
「本題と関係ない」を、なぜ英語は「ここでもそこでもない」と表すのでしょうか。この言い回しの面白さは、その構文そのものにあります。
neither here nor there は、場所を表す here と there という一対の語を、neither … nor … でそろって否定する構文になっています。「ここにもない、あそこにもない」——つまり、どこにも居場所がない、という状態を作り出しているわけです。そして「どこにも属さない」ものは、議論の場においては「取り上げる価値がない=重要でない」ものとして扱われます。位置の否定が、そのまま価値の否定へと横すべりしているのです。この表現はかなり古くから使われてきたとされ、位置を示す素朴な言葉の組み合わせが、抽象的な「どうでもよさ」を表すようになった点に、英語の比喩感覚がよく表れています。具体的な「場所」を手がかりに、目に見えない「重要度」を語る——その飛躍が、この言い回しに独特の味わいを与えています。
チャックが脱線した話を「どっちでもいい」と片づけたのも、まさにこの構図です。過去の失敗談を、今の本題という「場所」から外へ追い出している、と見ると腑に落ちます。
どこにも置き場のない話題を、そっと脇へどける言葉なのです。
まとめ|チャックの脱線に学ぶ「話の片づけ方」
neither here nor there は、here と there の両方を否定することで「どこにも属さない=重要でない」を表す、少し凝った言い回しでした。細かい点や脱線を「本題とは関係ない」とさらりと片づける、便利なクッション表現です。
込み入った議論を本質へ引き戻したいときや、都合の悪い話題を角を立てずに切り上げたいとき——この一言があると、会話の流れをスマートに整えられます。beside the point との使い分けも意識しておくと、表現の精度が上がります。
リーダーぶりたいチャックが、つい脱線して自分で話を打ち切るあの姿を思い浮かべながら、この表現をあなたの会話のレパートリーに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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