海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
不自然に進まない手続きや、都合よく見逃される違反を前にして、「この人、裏で何かもらっているのでは」と勘ぐってしまった経験はありませんか。
そんな疑いを一言で表す「be on the take」を、『メンタリスト』シーズン4第8話から、殺害された潜入捜査官自身に疑いが向けられるシーンを通して、一緒に見ていきましょう。
「be on the take」の意味とニュアンス
be on the take
意味:賄賂を受け取っている / 買収されている
ここでの take は動詞ではなく名詞で、「取り分」を指します。定冠詞がついて the take となると、表の収入とは別に流れてくる金の流れそのものを表すようになります。
on が担っているのは、その流れに乗っているという状態です。on the bus が「バスに乗っている」、on duty が「勤務中である」を表すのと同じ働きで、一度きりの出来事ではなく続いている状況を示します。だから、たまたま一度受け取っただけの場面には使いにくく、その関係が継続しているという含みを持ちやすい表現です。
向けられる相手にも傾向があります。警察官、検査官、審判、公務員。公正であることが職務の前提になっている立場に対して使われるのが典型です。裏切りの重さが大きいぶん、口にする側にも覚悟が要る表現になっています。
【ここがポイント!】
- the take は「表に出せない取り分」。金の流れそのものを名詞で言い切る形
- on が示すのは継続。一度の授受ではなく、乗り続けている状態を指す一言
- 公正が前提の立場に向ける言葉なので、軽々しく使えないと心得ておくのがコツ
『メンタリスト』S04E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
殺害された女性は、麻薬課の潜入捜査官でした。携帯に残されていた大量のメッセージは、当初は不倫を思わせる内容に見えましたが、上司のヘンダーソンによってギャングの隠語だと明かされます。さらに、標的だったヴェガの隠し場所が襲撃されていた事実も浮かび上がり、彼女自身が別の一味と通じていた可能性が、この場で初めて口にされます。
Henderson: Vega was robbed?
(ヴェガが襲われた?)Jane: Two days before Yoli’s murder. She didn’t tell you about it?
(ヨリが殺される二日前にね。聞いていなかったのかい?)Henderson: Look, nothing in Yoli’s surveillance reports ever mention the Perrys.
(いいか、ヨリの監視報告書にペリー兄弟の名前は一度も出てこない)Lisbon: Is it possible that she was working with them? That that’s why she didn’t tell you about the robbery?
(彼女が彼らと組んでいた可能性は? だから強盗の件を報告しなかったのでは?)Henderson: She wouldn’t compromise her team that way. Yoli wasn’t dirty.
(彼女がそんな形でチームを裏切るはずがない。ヨリは汚れちゃいなかった)Lisbon: Van Pelt, new marching orders. I need you to find out if Yoli was on the take or in contact with a gang called the Perry Boys.
(ヴァンペルト、指示変更よ。ヨリが金を受け取っていなかったか、ペリー兄弟というギャングと接触がなかったかを調べて)The Mentalist Season4 Episode8
シーン解説と心理考察
ヘンダーソンの Yoli wasn’t dirty. という否定には、二つの立場が重なっています。部下を守る上司としての言葉であり、同時に、その部下を管理していた自分を守る言葉でもあります。即答であることが、かえってその重なりを浮かび上がらせています。
注目したいのは、リズボンがその場で言い返さない点です。反論を避けたうえで、ヘンダーソンに聞こえる形で部下へ指示を出す。否定を受け入れたように見せながら、手順は一つも変えていません。相手の感情を尊重することと、捜査の筋を通すことを両立させる振る舞いが表れています。
指示の中身も具体的です。金を受け取っていたか、特定のギャングと接触があったか。感情論に踏み込まず、確かめられる事実だけを並べています。on the take という言い方が選ばれたのも、この具体性と無関係ではありません。
疑われているのが被害者本人だという点も、この場面を重くしています。殺された人物の潔白を確かめる作業が、そのまま名誉を疑う作業にもなる。捜査という仕事の難しさがにじむ場面です。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
机の上に、封筒がそっと置かれる場面を想像してみてください。給与明細とは別の、名前のない封筒です。それが月に一度、あるいは何かが見逃されるたびに置かれていく。the take とは、この繰り返し届く取り分のことです。
そこに on がつくと、封筒の流れに乗っている状態になります。降りていないかぎり、乗り続けている。バスに乗っている状態と同じ発想です。
リズボンが確かめようとしたのも、被害者が一度だけ金を受け取ったかどうかではなく、その流れに乗った関係が続いていなかったか、でした。「一度きりではなく、乗り続けている」という絵で覚えておくと、単発の授受にこの表現が使いにくい理由まで一緒に腑に落ちます。
例文で覚える「be on the take」
不正を疑う場面、公式に否定する場面、発覚までの長さを語る場面。3つの例文で幅を見ていきましょう。
They suspected that two of the inspectors were on the take.
(検査官のうち二人が金を受け取っていると疑われていた)
報道記事や社内調査の報告でよく見る形です。suspect と組み合わせると、断定を避けた言い方になります。
There’s no evidence that anyone in the department was on the take.
(部内の誰かが賄賂を受け取っていたという証拠はありません)
調査結果を公式に説明する場面です。否定文にすると、疑いを打ち消す会見の定型として働きます。
A: Why did the case go nowhere for two years?
B: Because the lead detective was on the take.
(A:どうしてあの事件は二年も動かなかったんですか)
(B:担当刑事が買収されていたからです)
不自然な経緯の理由を明かす場面です。長く続いた状況の説明として、この表現がぴたりとはまります。
あわせて覚えたい関連表現
take a bribe
(賄賂を受け取る)
一回の行為を指す動詞句で、法律文書や報道でも使える中立語です。状態を表し、口語寄りで非難の色が濃い be on the take とは、使える場所が分かれます。
be in someone’s pocket
(〜の言いなりになっている、抱き込まれている)
誰に支配されているかを明示する形です。金銭とは限らず影響力全般を含むため、be on the take より射程が広くなります。
be dirty
(汚れている、腐敗している)
人物そのものを一語で評価する言い方です。劇中でもヘンダーソンがこの語で否定しており、金銭に焦点を絞る今回のフレーズと対になって使われています。
Note|警察もので「汚れた側」を語る英語の層
捜査ものを見ていると、内部の裏切り者を指す言い方がいくつも出てきます。どれも似た人物を指しているようで、実際には焦点の当て方が少しずつ違います。
be on the take が見ているのは、金の流れです。誰から、いくら、どのくらいの期間。事実として確かめられる要素だけを指しているため、捜査の指示や調査報告になじみます。劇中でリズボンがこの語を選んだのも、確認可能な事実を部下に投げるためでした。
dirty cop は、人物そのものへの評価です。金銭に限らず、証拠の捏造も、暴力も、癒着も含みます。範囲が広いぶん断定の重さが増し、口にした側の立場も問われます。ヘンダーソンが Yoli wasn’t dirty. と全否定で返したのは、この語が人格そのものを扱うからです。
bad apple になると、視線が組織へ移ります。一つの腐ったリンゴが樽全体を駄目にする、という古い言い方が下敷きにあり、個人の問題として片づけたいのか、組織の問題として捉えるのかで、使う側の立場が透けます。組織を守りたい側が「一部の bad apple にすぎない」と言い、批判する側が「樽のほうが腐っている」と返す。この応酬は、実際の報道でも繰り返されてきました。
in someone’s pocket は、支配関係を名指しします。金銭よりも「誰の意向で動いているか」が焦点で、政治家や規制当局を語るときに選ばれやすい言い方です。
同じ人物を指しても、選ぶ語で見えているものが変わります。捜査ものの台詞は、この差を丁寧に使い分けています。台詞の言い換えに気づけると、誰がどの立場から話しているのかまで読めるようになります。
言葉の選び方そのものが、話し手の立ち位置を語っています。
まとめ|乗り続けている、という言い方
be on the take は、表に出せない取り分の流れに乗り続けている状態を指す表現です。一度の授受ではなく関係の継続を表す点に、この言い回しの中心があります。
金銭という確かめられる要素に焦点が絞られているため、人物評価に踏み込まずに疑いを口にできます。調査の指示、報道の一文、会見での否定。事実の側から語りたい場面で、繰り返し選ばれてきました。
疑いを人格ではなく事実の側から言い表せる、そんな一言です。


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