海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
あと一歩で事故や失敗になるところを、すんでのところで免れて「危なかった…」と胸をなでおろした経験、ありませんか。何事もなかったのに、心臓だけが速く鳴り続けているような瞬間です。あとから思い返して、ようやく怖くなることもあります。
そんなときに使える「close call」を、『フレンズ』シーズン5第20話の終盤、勘違いの「臨死体験」で舞い上がるロスを、レイチェルが巧みに現実に引き戻すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「close call」の意味とニュアンス
close call
意味:危機一髪、間一髪、きわどいところ
close call は、あと少しで事故・失敗・災難になるところを「すんでのところで免れた」状況を指す名詞表現です。
close は「(距離が)近い」、call はもともとスポーツの審判が下す「判定・コール」を指すとされ、「セーフかアウトか際どい判定」から転じて「危うく〜するところだった」という意味に広がりました。That was a close call!(危機一髪だった!)という形が定番で、事故を回避したときはもちろん、締切や失敗をぎりぎりで免れたときにも使えます。
似た表現に near miss(ニアミス)や narrow escape(間一髪の脱出)がありますが、close call はそれらより口語的で、「危なかった」という状況全般を幅広くカバーします。深刻な事故の報道から、日常の「危なかったね」という軽い言い合いまで、温度を選ばず使える便利な表現と言えます。名詞なので、a や that was a を前に置いて使うのが基本の形です。動詞的に「危なかった」と言いたいときも、was a close call のように名詞のまま組み立てるのが自然な形になります。
【ここがポイント!】
- 審判の際どい「判定(call)」がぎりぎり(close)だった、という情景が核のイメージ
- That was a close call! の形で「危なかった!」と言えるのが定番
- 事故だけでなく、締切や失敗をぎりぎりで免れた場面にも広げて使えるのがコツ
『フレンズ』S05E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
「臨死体験」で生に目覚めたと思い込むロス。元妻エミリーに連絡しようとする彼を、レイチェルは「今日は何かをつかむ日じゃなく、逃げ切る日だったのよ」と言葉巧みに再解釈し、思いとどまらせます。説得を受け入れたロスが、その一日に名前を付ける締めくくりの場面です。
Ross: Yeah, I do wanna seize some opportunity, but I really don’t wanna see or talk to her.
(うん、何かをつかみたいのは本当だけど、彼女に会ったり話したりは本当にしたくないんだ。)Rachel: Well, there you go!
(ほらね、そういうこと!)Ross: Yeah. Maybe today is just, close call day.
(そうだね。今日はただの……「危機一髪の日」なのかもな。)Friends Season5 Episode20(The One With The Ride-Along)
シーン解説と心理考察
このエピソードでロスが繰り返していたのは「seize(つかむ)」という言葉でした。それをレイチェルが「今日は逃げ切る(escape)日だった」と反転させ、エミリーへの電話を思いとどまらせます。説得の巧みさが光る場面です。
その説得を受け入れたロスが、締めくくりに close call day と名づけます。ここでの close call には、二重の意味が重なっています。ひとつは車の排気音で「死」を間一髪で免れたこと、もうひとつはレイチェルの説得で「エミリーとの復縁」という別の危機を回避したこと。ひとつの言葉に、その日ロスが避けた二つの「危うさ」が重なっています。
深刻ぶっていたロスが、最後はユーモラスに落ち着きを取り戻す——その和やかな幕引きが、close call day という即席の造語をやわらかく見せています。名詞に day を足して「◯◯の日」と名づける遊び心も、会話の余韻として響きます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
野球のベース上で、審判が「セーフ!」か「アウト!」かを叫ぶ、あの際どい瞬間を思い浮かべてみてください。判定(call)がぎりぎり(close)だった——それが close call の絵です。
ロスが、「死」と「エミリーとの復縁」の両方を間一髪で避けた一日を close call day と名づける姿を重ねれば、「あやうく〜するところだった」という感覚がそのまま記憶に残ります。判定がどちらに転んでもおかしくなかった、という緊張感ごと覚えるのがコツです。危うかった瞬間ほど、あとから鮮明に思い出せるものです。
例文で覚える「close call」
close call は、危険や失敗をぎりぎりで免れた場面で使えます。事故から仕事のヒヤリまで、3つの例文で見ていきましょう。
That was a close call! The car almost hit us.
(危機一髪だった! 車にひかれるところだったよ。)
道路で車が目の前をかすめ、思わず立ちすくんだ直後の場面です。That was a close call! だけで「危なかった!」という気持ちを言い切れるので、とっさに口をついて出る一言としてそのまま使えます。
We caught the error just before launch. Talk about a close call.
(公開直前でミスに気づいたよ。まさに間一髪だった。)
リリース直前に不具合を見つけ、公開後の事故を寸前で回避した仕事の場面です。Talk about a 〜(まさに〜だ)と組み合わせると、際どさをひときわ強調する自然な言い回しになります。
A: You made your flight?
B: Barely! They were already closing the gate. Total close call.
(A:飛行機、間に合った?)
(B:ぎりぎりね! もうゲート閉まりかけてた。完全に危機一髪だったよ。)
閉まりかけた搭乗ゲートに、間に合うかどうかの瀬戸際で滑り込んだ旅行中の場面です。barely(かろうじて)や total(完全に)と一緒に使うと、どれくらい際どかったのかがはっきり伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
a narrow escape
(間一髪の脱出、危機一髪)
「危険から逃げ切った」という脱出の側面を強調する表現です。close call が「際どかった」状況全般を指すのに対し、narrow escape は危機から抜け出すという動きの側に焦点があります。
a near miss
(ニアミス、危うく衝突しかけたこと)
特に衝突や接触を「すれすれで免れた」場面で使われ、航空や交通の文脈で頻出します。close call がより広く「危なかった」全般を指すのに対し、near miss は物理的な近さに寄った表現です。
too close for comfort
(安心できないほどきわどい)
「近すぎて落ち着かない」という感情に焦点を当てた表現です。close call が出来事そのものを名詞で指すのに対し、こちらは「ヒヤヒヤした」という心理の側を表します。
Note|スポーツの「コール」と close call
close call の call は、なぜ「電話」でも「呼ぶ」でもなく「危機一髪」につながるのでしょうか。今回のフレーズの成り立ちをたどってみましょう。
有力とされるのは、スポーツの審判が下す「判定」に由来するという説明です。野球などで、セーフかアウトかがきわどく、どちらとも取れるような際どい判定のことを close call と呼びます。ボール一個分、コンマ数秒の差で結果が分かれる——その「ぎりぎりの判定」の緊張感が一般語に広がり、「あと少しで大変なことになるところだった」という意味の close call になったとされます。call には「判断・決定」という意味もあり(a tough call で「難しい判断」)、その判断の紙一重さが核にある点が、この表現の面白いところです。似た仲間の near miss は、航空業界で「接触寸前の事案」を指す用語として広まった経緯があるとされ、close call が判定(判断の際どさ)、near miss が距離(物理的な近さ)と、着目点が違うのも興味深いポイントです。
このシーンでロスが名づけた close call day は、まさに「危うく二つの災難を免れた、際どい一日」。判定がきわどかった一日、という原義がそのまま生きています。
由来を知ると、何気ない一言の奥行きが見えてきますね。
まとめ|ロスの「危機一髪の日」から学ぶこと
close call は、あと一歩で事故や失敗になるところを「すんでのところで免れた」状況を表す名詞です。審判の際どい判定(call)という核を押さえておくと、意味を思い出しやすくなります。
この一言を覚えておくと、危ないところを切り抜けたときに「危なかった!」「間一髪だったね」という気持ちを、英語らしくさらりと言い表せるようになります。深刻な事故から日常のちょっとしたヒヤリまで、場面の温度を選ばずに使えるのも心強いところです。
ロスがその一日を close call day と名づけたように、ヒヤリとした出来事をあとから振り返る一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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