海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
うまくいっている商売の話を聞くと、まわりの人が急に前のめりになる、という場面があります。手伝いたいというより、自分もその輪に入って取り分がほしい。そういう空気は、業種を問わずどこにでも生まれるものです。
そんなときに出てくる「a piece of the action」を、『メンタリスト』シーズン4第14話の中盤、ジェーンがワイナリーで妹のグレッチェンから家族の事情を聞き出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「a piece of the action」の意味とニュアンス
a piece of the action
意味:分け前、取り分、儲けに加わる権利
ここでの action は「動いているもの」を指します。人と金が実際に動いている現場のことで、where the action is(盛り上がっている場所)という言い方と同じ用法です。piece はそこから切り出された一切れ。回っている商売を丸いパイに見立てると、自分の皿に一切れ載っているかどうかが所有権の話になります。
出資、利益配分、事業の持ち分など、金銭的な取り分の話に幅広く使える口語です。want、get、own、have といった動詞と組み合わせるのが基本の形になります。
響きとしては、少し前のめりです。うまくいっているものに後から加わろうとする、という含みがあるため、群がるような雰囲気が出ることもあります。同じ内容でも、契約書や正式な文書では equity stake や profit share といった中立的な語に置き換わり、この言い方が選ばれるのは交渉や雑談の場に限られます。単数形の a piece of ~ で使うのが基本で、取り分をいくつも並べて数える言い方はしません。
【ここがポイント!】
- action は「人と金が動いている現場」を指し、piece はそこからの一切れ
- うまくいっているものに加わろうとする、前のめりな響きを含む言い方
- 話し言葉の表現で、文書では stake や share といった語に置き換わる
『メンタリスト』S04E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
裁判の合間、ジェーンはワイナリーを再訪します。応対したのはエヴの妹グレッチェンで、試飲のワインを注ぐ手つきに慣れがありません。ジェーンはそこから、この人は経営側ではないと当たりをつけ、雑談を装って家族の力関係を探っていきます。相手が構えないうちに、聞きたいところへ近づいていく場面です。
Jane: New to the business?
(この仕事は初めて?)Gretchen: Is it that obvious?
(そんなに分かりやすい?)Jane: You poured red wine in a white wine glass.
(白ワイン用のグラスに赤を注ぎましたね)Gretchen: Oh, well. Yeah, just helping out here during the trial.
(まあね。裁判の間だけ手伝ってるの)Jane: You don’t own a piece of the action?
(分け前は持っていないんですね)Gretchen: Uh, no. The wine company belongs to my sister and her B.F.F.
(ええ、ないわ。ワイン会社は姉と姉の親友のものだから)The Mentalist Season4 Episode14 (At First Blush)
シーン解説と心理考察
グラスの取り違えという小さな失敗から入り、二往復で相手の立場まで引き出す運びが表れています。ジェーンは職業を尋ねず、代わりに手の動きを指摘する。指摘された側は言い訳をしながら自分の役割を説明してしまい、その説明の中に必要な情報が入っている、という組み立てです。
a piece of the action という言い方を選んだところにも意味があります。「株を持っているのか」と聞けば取り調べになりますが、この口語なら世間話の続きとして流せます。相手が身構えずに答えられる温度に合わせた語選びが、この一言に重なっています。
返ってきた答えは短いものですが、人物の配置がここではっきりします。会社は姉と、その親友の二人のもの。妹はその外側にいる。誰が持っていて誰が持っていないかという地図が、ワインを注ぐわずかな時間で描かれる手際が見どころです。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
丸いパイをテーブルに置き、ナイフで切り分けていく場面を思い浮かべてみましょう。パイそのものが action、つまり回っている商売です。切り分けられた一切れが piece で、それが自分の皿にあるかどうかが、この表現の問いになります。
劇中でも、ワイナリーという一つのパイをめぐって、持っている人と持っていない人が分かれていました。ジェーンの質問は、目の前の相手の皿を確かめる動作にあたります。誰かが儲け話に加わろうとしている場面に出会ったら、頭の中でパイを一切れ差し出す絵を浮かべてみると、この言い方が自然に出てきます。
例文で覚える「a piece of the action」
動詞は want、get、own などが定番です。3つの例文で、場面ごとの響きの違いを見ていきましょう。
Everyone wants a piece of the action now that the app is taking off.
(アプリが軌道に乗った途端、誰もが分け前を欲しがっている)
急に伸びたサービスの周辺で起きることを説明する場面です。now that ~ と組み合わせると、後から群がってきた感じがはっきり出ます。持っている側ではなく、外から加わろうとする側を描くときの定番の形です。
My brother heard about the food truck and wanted a piece of the action.
(兄はフードトラックの話を聞いて、自分も一枚かみたがった)
身内の商売に親戚が寄ってくる、という日常的な場面です。身内について語ると、軽い呆れの色がにじみます。口調しだいで、からかいにも本気の相談にも聞こえる言い方です。
A: If the deal goes through, do we get a piece of the action?
B: That depends on how much you’re putting in.
(A:この取引が成立したら、うちにも取り分はありますか)
(B:それはそちらがいくら出すか次第ですね)
提携条件を詰めている場面です。疑問文にすると要求が柔らかくなり、相手も条件で返しやすくなります。
あわせて覚えたい関連表現
a slice of the pie
(取り分、シェア)
同じく切り分けの比喩を使いますが、市場や利益の全体に対する占有率に寄る表現です。競争相手がいる文脈で選ばれることが多くなります。取り分の大きさを他社と競う話でなければ、a piece of the action のほうが自然に収まります。
have a stake in
(利害関係を持つ、出資している)
より中立でかたい言い方です。契約書や報道でも使えるため、a piece of the action を文書向けに言い換えたいときの受け皿になります。口頭では前者、書面では後者と切り替えると、同じ内容を場面に合わせて運べます。
want in on something
(加わりたい)
取り分そのものではなく、参加させてほしいという意思表明の側に立つ表現です。金銭が絡まない企画や計画にも使えます。加わったあとの分け前まで含めて言いたいときは、a piece of the action に置き換わります。
Note|action が指す「金の動いている場所」
英語の action には、映画の掛け声や動作とは別に、もう一つの顔があります。それが、この表現の下地になっています。
賭場や興行のように、人と金が集まって動いている現場そのものを action と呼ぶ用法です。Where’s the action tonight? と言えば、今夜はどこが盛り上がっているのか、という意味になります。ここでの action は、出来事の集合というより、熱を持った場所そのものを指しています。この場所から取り分を切り出すとき、英語は「切る」系統の語を選んできました。a piece of the action、a slice of the pie、そして誰かを仲間に入れることを意味する cut someone in。どれも、利益をひとかたまりの物として扱い、ナイフを入れて分ける絵を共有しています。金額という抽象的なものを、手で持てる大きさの塊に置き換えて語る発想が、そこにあります。
この下地が分かると、劇中の質問が持つ軽さの理由も見えてきます。ワイナリーという回っている現場があり、その一切れを持っているか持っていないかを聞いただけ。株式や登記の話に踏み込まずに済むため、雑談の温度を保ったまま核心を確かめられます。
金額ではなく塊で数える言い方が、会話の速度を作っています。
まとめ|自分の皿に、一切れあるか
a piece of the action は、金額の大小を問う表現ではありません。回っているものの内側にいるか、外にいるか。その線を一言で引く言葉です。だからこそ、持っていない側が答えるとき、その一言に立場がそのまま出ます。
この表現があると、儲け話に加わりたいという気持ちを、露骨にならずに切り出せます。逆に相手の立場を確かめたいときにも、堅苦しい質問を避けたまま同じ情報にたどり着けます。聞く側にも答える側にも使える、両向きの表現です。
うまくいっている話を聞いたとき、自分の皿に一切れ載っているのかどうか。輪の内側と外側を分ける言葉として、表現の引き出しに加えてみてください。


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