「get the better of someone」の意味と使い方|『メンタリスト』S05E01で学ぶ英会話

「get the better of someone」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

好奇心を抑えられずに、つい見なくていいものを見てしまった。そんなふうに、自分の意志ではどうにもならなかった瞬間はありませんか。

そんな感覚にぴったりなのがget the better of someone。「感情や欲求が人に打ち勝つ」という意味の言い方です。『メンタリスト』シーズン5第1話、事件の顛末をジェーンが淡々と語り直す終盤のシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「get the better of someone」の意味とニュアンス

get the better of someone
意味:感情や欲求が人を打ち負かし、行動を支配する

主語には curiosity(好奇心)や greed(欲)、anger(怒り)といった感情や欲求が立ち、それが人を打ち負かすという構図で使われます。本人の意志ではどうにもならなかった、という含みが伴う点が特徴です。

better はここでは「より良い」ではなく「優位」を表す名詞用法で、the better of someone で「人に対する優位」を意味します。get の代わりに have を使う形もあり、have the better of someone と表現しても近い意味になります。感情に負けた本人を主語にせず、感情の側を主語に立てる構文そのものが、この表現の面白さでもあります。

【ここがポイント!】

  • 主語に立つのは人ではなく感情や欲求そのものという構文の面白さ
  • 本人の意志ではどうにもならなかった、という含みを持つ一言
  • curiosity や greed が主語になりやすい、定番の組み合わせがあるのがコツ

『メンタリスト』S05E01のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

事件の終盤、ジェーンが事件当夜の出来事を時系列で組み立て直して語ります。ごく普通の夜に思いがけない幸運が飛び込み、その直後に事態が動き出す流れを、彼は淡々とした口調で並べていきます。物語の核心に触れない範囲での引用です。

Jane: Callie was checking the lottery numbers while Rex tried to fix her computer. She kissed Rex, got the champagne out of the fridge, then she called her sister. Then greed got the better of Rex.
(レックスがパソコンを直そうとしている間、キャリーは宝くじの番号を確かめていた。彼女はレックスにキスをして、冷蔵庫からシャンパンを出し、姉に電話をかけた。そこで欲がレックスに勝った。)

The Mentalist Season5 Episode1(The Crimson Ticket)

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シーン解説と心理考察

ジェーンの語りには非難の色がほとんど感じられません。人が一線を越える瞬間を、責めるのではなく起きた出来事として淡々と置いていくその口調が、かえって場面の冷たさを際立たせます。

主語をレックス本人ではなく greed(欲)に置くことで、事件の因果を感情の力学として説明しているようにも読めます。

高額の当選金という数字の大きさと、ごく普通の夜の描写との落差が、この短い一文に重なっています。淡々とした再構成の語りこそが、ジェーンという人物の観察者としての本質を表しています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

腕相撲をしている場面を思い浮かべてみてください。ただし相手は人ではなく、自分の中の欲や好奇心。押し合っているうちに、こちらの腕が少しずつ倒れていきます。

負けたのは意志のほうで、行動はその結果として起きる。だからこの表現を使うと、話し手はいつも少しだけ言い訳をしていることになります。ジェーンが人の心の動きを、本人ではなく欲を主語にして語っているあの場面と、倒れていく腕の絵を重ねておくと定着しやすくなります。

例文で覚える「get the better of someone」

自制心が及ばなかった瞬間を説明するときに便利な表現です。

Curiosity got the better of me, so I opened the box.
(好奇心に負けて、箱を開けてしまった。)
つい我慢できなかった行動を打ち明ける場面です。curiosity を主語にする形が最も定番の組み合わせです。

A: Why did you say that in the meeting?
B: I don’t know. My temper got the better of me.
(A:どうして会議でそんなことを言ったの?)
(B:自分でも分からない。怒りに我を忘れてしまったんだ。)
反省を交えたやり取りの会話形式です。got を使うと、防ぎきれなかったという受け身のニュアンスが出ます。

Impatience got the better of us and we shipped it too early.
(焦りに負けて、早くリリースしすぎた。)
反省点を振り返る場面で使われる言い方です。主語を感情に置くことで、個人攻撃を避けた柔らかい響きになります。

あわせて覚えたい関連表現

get carried away
(調子に乗りすぎる、我を忘れる)
勢いに流されて度を越す動きが中心で、主語は人になります。get the better of は感情の側が主語に立ち、負けたという構図がはっきり表れる点が異なります。

lose control of oneself
(自制を失う)
制御を失った状態そのものを言う直接的な表現です。何に負けたのかを名指ししない分、get the better of よりも説明的な響きになります。

give in to
(誘惑などに屈する)
本人が折れて受け入れる形で、選択の余地があった含みが残ります。get the better of は打ち負かされた側の受け身に寄る言い方です。

Note|感情を主語に立てる英語の言い方

英語は curiosity got the better of me のように、感情そのものを行為者として文の先頭に置くことがあります。

日本語で同じ内容を言うなら「好奇心に負けた」のように、人を主語に据えたまま感情を対象の位置に回すのが自然です。ところが英語では感情や欲求のほうを主語に立て、人をその目的語に置く構文が定着しています。この違いは、行動の責任をどこに置くかという発想の差として読み解くこともできます。

感情を主語にする言い方は、本人の意志の弱さを強調するというより、感情という制御しがたい力の存在を前面に出す働きを持っています。同じ構図は Something came over me.(魔が差した)のような言い方にも通じるところがあり、英語には「自分ではなく、何かが自分を動かした」と語る型が複数存在しています。文法の奥にある発想の違いが垣間見える一例です。

主語をどこに置くかで、同じ出来事の見え方が、これほど変わってくるのです。

まとめ|負けたのは、意志のほうだった

get the better of someone は、感情や欲求が人を打ち負かし、行動を支配してしまう様子を表す表現です。

curiosity や greed のような感情そのものを主語に立てるこの構文には、本人の意志ではどうにもならなかったという含みが伴います。劇中でジェーンが事件の経緯をこの一語で言い表したように、人が一線を越える瞬間を静かに言い当てる言葉として使われていました。

我慢できなかった瞬間を振り返るときや、感情に流された自分を柔らかく説明したいときに、表現の幅を広げてみてください。

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