「have a brush with the law」の意味と使い方|『メンタリスト』S05E03で学ぶ英会話

「have a brush with the law」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

自分の過去について聞かれたとき、深刻に響かせずに軽く受け流したい。そんな言い回しを探した経験はありませんか。

今回取り上げる「have a brush with the law」は、警察沙汰になった経験を、重すぎない言葉で伝えるときに使われる表現です。『メンタリスト』シーズン5第3話、取調室で容疑者が自分の前科をあっさり認めてみせる場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「have a brush with the law」の意味とニュアンス

have a brush with the law
意味:警察沙汰になったことがある、法に触れかけた経験がある

brush には「かすめる」という接触の軽さを表す意味があり、正面からぶつかるのではなく側面を触れて通り過ぎた程度、という距離感を伝える語である。have a brush with the law は、前科や逮捕歴を直接的に言わずに済ませる婉曲表現として使われ、話し手が自分の過去を軽く扱いたいときや、他人の過去を必要以上に重く語りたくないときに選ばれる。

同じ型は have a brush with death(死にかけた)にも見られ、危険なものに触れて生還した、という構図を共有している。criminal record のような記録としての言い方とは違い、あくまで「かすめた程度」という主観的な距離の表現である点が特徴になる。

【ここがポイント!】

  • brush の核は「かすめる」で、正面衝突ではなく軽い接触という距離感を作る表現
  • 前科・逮捕歴を婉曲に伝えられ、重さを調整できる表情豊かな言い回し
  • 過去形+複数形(brushes)で使われることも多く、辞書形との違いに注意するのがコツ

『メンタリスト』S05E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

一連の銀行強盗を計画したとみられる人物が、顔認証によって浮上した。リズボンは弁護士同席のもとで取調べに臨み、4つの銀行の防犯カメラに写っていた記録を順に突きつけていく。ところがハッテンはまったく動じない。前科を問われた場面で、彼が選んだのは否定でも開き直りでもない言い方だった。

Lisbon: You were caught on camera at four banks in the central valley.
(セントラルバレーの4つの銀行で、あなたはカメラに写っていた)

Lawyer: Which is conclusive evidence of what?
(それが何の決定的証拠になると?)

Hutten: I didn’t rob Sacramento Federal. I didn’t rob any bank. Now I’ve had my brushes with the law, but I’ve learned some things from them, like the fact that you can’t use my past against me in court.
(サクラメント連邦銀行は襲っていない。どの銀行もだ。確かに法に触れかけたことはある。だがそこから学んだこともある。過去を法廷で不利な材料には使えない、とかね)

The Mentalist Season5 Episode3(Not One Red Cent)

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シーン解説と心理考察

証拠を積み上げても表情ひとつ変えないハッテンの態度に、追及する側と受ける側の力関係が透けて見えます。前科を否定するのではなく、あえて認めたうえで「使えない」と切り返す返し方に、場数を踏んだ余裕がにじみます。

自分の過去を brush という軽い語に乗せて語る選び方そのものが、彼の人物像を物語っています。深刻な言葉を避けることで、追及の勢いを静かにそらしているのが伝わってきます。証拠を並べるリズボン側の言葉が具体的で硬いのに対し、ハッテンの返しは短く軽やかで、この温度差がそのままやり取りの主導権を映し出しています。取調室という緊張した空間で、言葉の選び方だけで場の空気を握り返す様子が印象に残る場面です。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

車のミラーがガードレールに軽く触れて、そのまま走り去っていく場面を思い浮かべると覚えやすくなります。ぶつかって大破したのではなく、触れてすぐ離れた。だから傷は残るものの、そのまま走り続けることができます。

ハッテンが自分の前科をこの語で語ったのも、正面衝突ではなく側面をかすめた程度、という印象を持たせるためでした。深刻な出来事を軽く扱いたい場面に出会ったとき、車がかすめて通り過ぎる絵を思い出すと、brush の感覚がつかみやすくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「have a brush with the law」

日常会話でも報道記事でも使われる表現なので、3つの場面で確認してみましょう。

He had a brush with the law in his twenties, but he’s been clean ever since.
(彼は20代のころ警察沙汰になったが、それ以来は真っ当にやっている)
知人の過去を第三者に説明するときの言い方です。but 以下と組み合わせることで、擁護のニュアンスが自然に出ます。

My uncle’s brush with the law was just a parking dispute that got out of hand.
(叔父の警察沙汰といっても、駐車をめぐる口論がこじれただけです)
身内の話を軽く済ませたいときの表現で、just と組み合わせて重さを下げる典型的な使い方です。

A: I heard the new hire has a bit of a past.
B: A brush with the law years ago, that’s all. Nothing recent.
(A:新しく入った人、ちょっと過去があるらしいね)
(B:昔ちょっと警察沙汰があっただけだよ。最近は何もない)
噂話をやんわり訂正するときの受け答えとして自然に響きます。

あわせて覚えたい関連表現

have a criminal record
(前科がある)
記録として残っている事実を指す中立語。婉曲さがなく、書類や法的な文脈で使われる。have a brush with the law の柔らかさとは対照的な表現。

have a run-in with the police
(警察とひと悶着あった)
一回きりの衝突を指し、より口語的。brush が「かすめた」なら run-in は「ぶつかった」で、摩擦の実感が強く出る。

get into trouble with the law
(法律問題を起こす)
brush ほど軽くはないが criminal record ほど硬くもない、中間的な言い方。トラブルの種類を特定せずに済む便利さがある。

Note|brush with 〜という型の広がり

英語には、brush with the law のほかにも brush with death、brush with fame、brush with greatness といった言い方が並んでいる。

共通しているのは、「本来なら正面から向き合うはずのものに、かすめる程度で触れた」という構図である。対象が危険であれば死にかけた経験を、名声であれば著名人と偶然すれ違った経験を、権威であれば大きな仕事や人物に間近で接した経験を指す。危険・名声・権威のいずれであっても、深く関わったわけではなく、あくまで表面をかすめただけという距離感が保たれている点は共通している。この型を知っていると、初めて見る組み合わせに出会っても意味を推測しやすくなる。

have a brush with the law も、この型のひとつとして捉え直すと理解が深まる。法という重い対象を、あえて軽い接触として語る発想そのものが、brush with 〜 という表現の骨格を成している。

型で覚えておくと、応用が利く一語になる。

まとめ|前科を軽く語るための一言

have a brush with the law は、法に触れた経験を、深刻さを抑えて伝えるための言い方である。criminal record のような硬い言葉とは違い、brush というかすめる感覚が、話し手の距離の取り方をそのまま表している。

自分や身内の過去を話題にするとき、重すぎず軽すぎない伝え方を選びたい場面は少なくない。そんなときにこの表現を思い出せると、会話の温度をうまく調整できるようになる。

取調室で余裕を崩さなかったハッテンの姿に、この一語の軽さがそのまま重なっていた場面でした。

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