「grow on someone」の意味と使い方|『メンタリスト』S05E03で学ぶ英会話

「grow on someone」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

最初はまったく好みじゃなかったはずのものが、気づけばすっかり手放せなくなっている。そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
今回取り上げる「grow on someone」は、時間とともにだんだん好きになってくることを表す表現です。『メンタリスト』シーズン5第3話、事件解決後にジェーンが借り物の靴について語る、ちょっとした締めくくりの場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「grow on someone」の意味とニュアンス

grow on someone
意味:時間とともにだんだん好きになってくる

grow on someone では、好きになる対象のほうが主語に立ち、人は働きかけを受ける側になる。最初は好みでなかったものが、繰り返し触れるうちに評価が上がっていく、という時間の経過が前提になっている表現である。音楽・食べ物・住む町・人柄など、第一印象がすべてではないと分かるものに対して幅広く使われる。

似た意味の表現に take a liking to があるが、こちらは人が主語に立ち、比較的早い段階で好意を持つ場合に使う。grow on someone のように、本人の意思とは関係なく評価が変わっていく感覚は、take a liking to には含まれていない。時間の経過を伴わない一目惚れのような場面には向かない表現だと考えると、使い分けの線引きがしやすくなる。

【ここがポイント!】

  • 対象のほうが主語になり、人は「気に入ってくる」を受け取る側になる表現
  • 時間の経過が前提で、即座に好きになる場合には使いにくいのがコツ
  • 第一印象が良くなかったものに対して使うと、変化のニュアンスがよく伝わる

『メンタリスト』S05E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

このエピソードは、ジェーンが行きつけの店に靴の修理を頼む場面から始まります。修理が終わるまでの代用として借りた靴を履いたまま、彼は一話を通すことになりました。行く先々で同僚から服装を突っ込まれ続けた一日の終わり、事件が解決したあとで、ジェーンは自分からその靴の話を持ち出します。

Jane: You know, these shoes are actually quite comfortable. They’re growing on me.
(この靴、実はけっこう履き心地がいいんだ。だんだん気に入ってきた)

Lisbon: Not on me.
(私は気に入らないけど)

Jane: No?
(そう?)

The Mentalist Season5 Episode3(Not One Red Cent)

Amazon Prime Videoで見る ※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)

シーン解説と心理考察

一話を通して周囲から服装を突っ込まれ続けたジェーンが、事件解決後に自分からその靴を認めてみせるところに、この日一日の締めくくりらしい軽さがあります。からかわれ続けた話題を、自分の口から肯定に転じさせる余裕が感じられる場面です。

対して、リズボンの「Not on me」という二語だけの返しが、二人の距離感をそのまま表しています。多くを語らずに切り返す呼吸の合い方に、長年一緒に仕事をしてきた関係性が表れています。ジェーンの軽い問いかけに対して間を置かず返す様子から、二人のあいだにある気安さも伝わってきます。冒頭のちょっとした伏線が、最後の短いやり取りで回収される構成になっているのも見どころです。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

庭に置かれた石を思い浮かべると覚えやすくなります。置いた当初は何もなかったはずが、数か月たつと苔が表面を覆い、蔦が縁に巻きついている。誰も植えていないのに、時間だけが仕事をした結果です。

grow on someone はこの苔と同じで、好きになろうと決めたわけではないのに、気づけば評価が変わっている状態を指します。だから主語は苔の側、つまり靴や曲や町のほうになります。一話をかけて借り物の靴が主人公になじんでいった今回のエピソードは、この表現の絵をそのまま体現していると言えます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「grow on someone」

音楽や場所の好みが変わっていく場面でよく使われる表現なので、3つの状況で確認してみましょう。

I didn’t like the song at first, but it’s growing on me.
(最初は好きじゃなかったけど、だんだん良く思えてきた)
友人と音楽の話をするときによく使われる形です。at first と組み合わせるのが最も自然な使い方になります。

The town grew on me after the first winter.
(最初の冬を越したころから、この町が好きになってきた)
移住や転勤の経験を語るときに使える表現です。期間を示す語句と組み合わせると、変化の過程が伝わります。

A: You still wearing those old sneakers?
B: Yeah, I know they look rough, but they’ve really grown on me.
(A:まだその古いスニーカー履いてるの?)
(B:うん、見た目はボロいんだけどね、すっかり気に入っちゃって)
見た目より愛着を優先する場面での、軽い切り返しです。

あわせて覚えたい関連表現

warm up to
(打ち解ける、〜が好きになってくる)
人が主語になり、自分から距離を縮めていく能動的な動き。grow on someone は対象が主語で、人は受け手になる点が異なる。

take a liking to
(〜を気に入る)
人が主語で、比較的早い段階で好意を持つ場合に使う。grow on someone のような時間の経過は含意しない。

acquire a taste for
(〜の良さが分かるようになる)
味覚や嗜好が中心で、慣れるまでの努力や訓練の含みがある。grow on someone は本人の努力を前提としない点が異なる。

Note|好意が「向こうから生えてくる」という発想

日本語で気持ちの変化を語るときは、「好きになった」と人を主語に置くのが自然で、対象を主語にすると不自然になりやすい。

英語の grow on someone は逆で、対象のほうが主語に立ち、人は変化を受ける側に回る。好意という心の動きを、自分の内側で起きることとしてではなく、外から向こうがやってきて根を張るものとして描く発想がここにある。同じ構図は appeal to や occur to にも見られ、感情や思考の動きを外から到来する出来事として扱う英語の型のひとつだと整理できる。日本語の「思いつく」が「思いが浮かぶ」という受け身寄りの言い方を持つのと、少し似た感覚かもしれない。

この型を知っておくと、grow on someone に限らず、対象が主語に立つ英語表現に出会ったときの戸惑いが減る。誰が誰に働きかけているのかを、日本語の発想のまま読もうとすると主語と目的語が逆に見えてしまうことがあるためである。

grow on someone という一語の裏には、こうした主語の置き方の違いが横たわっている。

心の動きを、誰の側から描くかという違いである。

まとめ|時間が運んでくる好意を表す一言

grow on someone は、最初は好みでなかったものが、時間の経過とともにだんだん気に入ってくる過程を表す表現である。対象が主語に立つという構造そのものに、この変化が本人の意思を超えて起こることが表れている。

音楽でも場所でも人柄でも、第一印象だけでは測れない魅力に気づく瞬間は、生活のなかで繰り返し訪れる。そうした変化を言葉にできると、自分の気持ちの動きを振り返るときの表現の幅が広がる。

職場でも、旅先でも、最初は距離があったものが少しずつ近づいてくる瞬間に出会ったとき、表現の引き出しに加えてみてください。

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