「a show of good faith」の意味と使い方|『メンタリスト』S05E06で学ぶ英会話

「a show of good faith」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

互いに相手を信用していない状態で、それでも話を前に進めなければならない。どちらかが先に一歩を差し出さないかぎり動かない場面が、交渉にはしばしばあります。

その一歩に名前を与えるのが「a show of good faith」です。誠意という言葉を、心のありようではなく行為として扱うこの表現を、『メンタリスト』シーズン5第6話、身代金交渉が膠着した局面でジェーンが主導権を握る場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「a show of good faith」の意味とニュアンス

a show of good faith
意味:誠意の証、誠意を示すための行為

内心そのものではなく、外から見える行為のほうを指す言い方です。信用の土台がない相手同士が次の段階へ進むために、どちらかが先に何かを差し出すという交渉の作法を表します。show という語が入っているとおり、測られるのは気持ちではなく差し出されたものです。

この語の重心は good faith ではなく a show of のほうにあります。good faith だけなら誠実な姿勢そのものを指しますが、a show of が付くことで、その姿勢を外から見える形にした具体的な行為へと焦点が移ります。値引き、前倒しの支払い、情報の先出し。何であっても、相手に確認できる形をとっていることが条件になります。

差し出す側にとっては、見返りの保証がないまま先に動くという負担があります。その負担を引き受けたこと自体が信用の材料になる、という前提でこの表現は機能します。だからこそ、相手に同じ行動を促す圧力としても使えます。

【ここがポイント!】

  • 「誠意」を心のありようではなく、外に示す行為として語る表現
  • as a show of good faith の形で、譲歩の理由づけによく使われる
  • 交渉・和解・契約前の信用確認など、次の段階を引き出す目的が伴うことが多い
  • 見返りの保証がないまま先に動く負担を引き受けた点が、信用の材料になる

『メンタリスト』S05E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

身代金の準備が間に合わず、リズボンが電話で時間を稼ごうとしていた場面です。犯人はそれを見抜いて激高し、リズボンを罵倒します。そこへジェーンが割り込み、時間稼ぎではなく要求を突きつける形へと、交渉の性格そのものを一瞬で切り替えてしまいます。

Kidnapper: You’re lying. Stop lying to me! I know they have it!
(嘘だ。嘘をつくな、金はあるはずだ)

Jane: Hey, just for that, you’re not gonna see a dime, not unless you do as I say. You’re gonna release one hostage in exactly one hour. Consider it a show of good faith.
(いいか、その言い方をした以上、こちらの言うとおりにしないかぎり一銭も渡さない。1時間ちょうどで人質をひとり解放しろ。誠意の証だと思え)

Kidnapper: Wait–
(待て——)

Jane: You heard me! One hostage in one hour.
(聞こえたはずだ。1時間でひとりだ)

The Mentalist Season5 Episode6 (Cherry Picked)

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シーン解説と心理考察

ジェーンは相手の誠意を信じたいからこの要求を出しているわけではありません。誠意という言葉を交渉の材料として差し出し、相手に選択を迫っています。a show of good faith が「誠意」そのものではなく「誠意を示す行為」を指す語であることが、この場面の設計と正確に噛み合っています。物語の核心に触れない範囲で言えば、誰を解放するかという選択そのものが、後の展開を左右する仕掛けになっています。リズボンが穏当に時間を稼ごうとしていたところへ、ジェーンが強気の要求に切り替えた温度差も、このやり取りの緊張感を支えています。心の中を測るのではなく、行為として差し出させることに徹する交渉術がここに表れています。信用を求めるのではなく、信用の証拠を提出させる発想だと言えます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

交渉のテーブルを思い浮かべてみてください。互いに相手を信用していないので、どちらも手札を伏せたまま動けません。そこで一方が、カードを1枚だけ表にして相手のほうへ滑らせる。この1枚が a show of good faith にあたります。大事なのは、心の中で相手を信用したかどうかではなく、テーブルの上に何を出したかという一点です。劇中のジェーンは、人質ひとりの解放をこの1枚として要求しました。伏せられたカードのうち、どれを表にするかを相手に選ばせている点も、あわせて押さえておくと理解が深まります。

例文で覚える「a show of good faith」

契約や交渉の場面で頻出する表現です。多くの場合、as a show of good faith という副詞句の形で、行為の理由を説明する位置に置かれます。硬い文脈から日常のやり取りまで、3つの例文で幅を確認してみましょう。

They released the funds early as a show of good faith.
(先方は誠意を示すため、資金を前倒しで振り込んだ)
取引先の対応を社内で報告する場面です。as a show of good faith の形が実務でいちばん多く使われます。early を添えることで、義務より早く動いた点が誠意の証になっています。

We’ll drop the fee for the first month as a show of good faith.
(誠意の証として、初月の料金は無料にします)
契約条件を提示して合意へ寄せる場面です。譲歩の理由づけに使うと、値引きが弱腰に見えなくなります。同じ減額でも、名目を与えるかどうかで印象が変わります。

A: Both sides agreed to a ceasefire as a show of good faith.
B: Let’s hope it actually holds this time.
(A:双方は誠意を示すものとして停戦に合意した)
(B:今回こそ本当に持ちこたえてほしいものだね)
ニュースを話題にする場面です。報道でよく見る硬い形が、そのまま会話にも持ち込めることを示しています。国家間の合意から個人の約束まで、同じ骨組みで語れます。

あわせて覚えたい関連表現

in good faith
(誠実に、善意で)
副詞的に働き、行為がどのような姿勢で行われたかを表します。a show of good faith は行為そのものを名詞で指すため、「何を差し出したか」に焦点がある点が異なります。契約書では前者、交渉の会話では後者が選ばれやすくなります。

a gesture of goodwill
(好意の表明)
謝罪や埋め合わせの文脈でよく使われ、交渉というより気遣いの色が濃い表現です。good faith は取引や契約寄りで、次の段階を引き出す目的が伴う点が違います。見返りを期待しないなら goodwill のほうが正確です。

extend an olive branch
(和解を申し出る)
対立が先にあり、それを収めるための申し出を指します。good faith は対立の有無を問わず、信用が足りない場面全般で使える点が異なります。争いを収めるのか、信用を作るのかで選び分けます。

Note|契約社会が育てた「示す誠意」

英米の契約実務では、当事者が誠実に振る舞う義務が、明文・不文の両方で語られてきたとされています。この背景があるため、good faith は単なる感情語ではなく、取引の条件を語る言葉として日常にも降りてきています。

日本語の「誠意」が心のありようを指しやすいのに対し、good faith は外形的な行為で測られる傾向が強い語です。この差が、a show of という前置きが自然に付く理由にもなっています。誠意は語るものではなく、示すもの。この発想が、交渉の場面で「何を差し出すか」という具体的な行為への注目を生みます。値引き、前倒しの支払い、人質の解放。差し出されるものは場面によってまったく違いますが、いずれも「口ではなく行為で示す」という一点で共通しています。

ジェーンが要求した人質の解放も、まさにこの発想の延長線上にあります。犯人の内心を信じるかどうかではなく、行為として何を差し出せるかを問うている点で、good faith という語の性質と場面がぴったり重なっています。

契約の言葉が、緊迫した交渉の現場でも同じ骨組みのまま生きている一例です。

まとめ|誠意は語るものではなく、示すもの

a show of good faith は、内心の誠実さではなく、外に示された行為のほうを指す表現です。信用の土台がない相手同士が次の段階へ進むための、具体的な一歩を言い表します。

契約書のような硬い文脈にも、日常の揉めごとの後にも同じ骨組みで使え、in good faith や a gesture of goodwill といった近い表現との使い分けも押さえておくと、交渉の場面で選べる言葉が増えます。

見返りの保証がないまま先に動く。その負担を引き受けた事実そのものが、相手にとっての判断材料になります。何を差し出すかを決めるとき、この視点があると選択肢の見え方が変わります。

差し出すものが決まったとき、この一言がその行為に名前を与えてくれます。

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