「good luck with that」の意味と使い方|『メンタリスト』S05E06で学ぶ英会話

「good luck with that」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

どう考えても無理がありそうな計画を、相手が自信たっぷりに宣言してくる。頭ごなしに否定すれば角が立つし、かといって心から応援する気にもなれない。そんな板挟みになった経験はありませんか。

英語には、この微妙な立ち位置をそのまま言葉にできる一言があります。それが「good luck with that」です。『メンタリスト』シーズン5第6話、携帯電話の扱いをめぐってリズボンと住民が対立した直後、そばで見ていたジェーンがひとことだけ残して立ち去る場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「good luck with that」の意味とニュアンス

good luck with that
意味:せいぜい頑張って、まあうまくいかないと思うけど

字義どおりに読めば、相手の幸運を祈る励ましの言葉です。ところが実際の会話では、話し手がその計画をうまくいかないと踏んでいるときの決まり文句として使われることが圧倒的に多くなります。応援の形を保ったまま、内容をまったく信じていないことを伝えられる。この二重構造が、この表現の中心にあります。

鍵になるのは with that の3語です。Good luck. だけなら、相手そのものに向けられた素直な激励として受け取られます。そこに「そのことについては」という限定が加わると、話し手が相手の計画を一度検討し、そのうえで距離を置いたという含みが生まれます。応援しているのは人であって、計画ではない。この線引きが言葉の形に表れているわけです。

もちろん、皮肉専用の表現というわけではありません。声のトーンや前後の文脈しだいでは、純粋な励ましとしても機能します。判断材料になるのは、話し手がその計画の実現可能性をどう見ているかという一点です。

【ここがポイント!】

  • 表面は応援、中身は「無理だろう」という予測を含む二重構造の一言
  • with that が付くことで、応援の対象が相手ではなく相手の計画にずれる
  • 短く言い切るほど皮肉が濃くなり、事情を一文添えると根拠つきの皮肉になる

『メンタリスト』S05E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

誘拐犯から連絡を受けた本人であるアイザックの携帯電話を、CBIが管理下に置こうとしている場面です。アイザックは、警察の関与が知られれば人質が殺されると主張して譲りません。リズボンは権限を盾に正面から押し返しますが、アイザックも折れず、押し問答は宣言合戦のまま終わります。その一部始終を、ジェーンは黙って眺めていました。

Lisbon: We’re gonna deal with the kidnapper from here on out.
(誘拐犯への対応は、これ以降こちらが引き受けます)

Isaac: No. No, I’m not gonna have their blood on my hands, okay?
(だめだ。ふたりの命を背負い込むのはごめんだ)

Lisbon: You are not leaving this house with that phone.
(その携帯を持ってこの家から出ることは許しません)

Isaac: Fine. I’ll stay. But nobody’s touching my phone.
(わかった、残る。でも携帯には誰にも触らせない)

Jane: Hmm. Good luck with that.
(ふうん。せいぜい頑張って)

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シーン解説と心理考察

ジェーンはこの押し問答に一度も加わりません。リズボンが権限を、アイザックが感情をぶつけ合っているあいだ、口を挟まずに立っているだけです。そして両者が引かないまま膠着したところで、最後にひとことだけ置いて去っていきます。

宣言を否定するでもなく、説得を試みるでもない態度に、この先の成り行きをすでに見透かしている余裕がにじみます。リズボンは相手を説き伏せようとし、アイザックは自分の立場を守ろうとしている。ふたりが同じ土俵で押し合っているのに対し、ジェーンだけがその土俵の外から結末を眺めている構図です。

Hmm という一拍の反応が置かれているのも効いています。驚きでも同意でもない、ただ聞き取ったことを示すだけの音が、続く一言の温度をいっそう低くしています。相手の顔を見ずに言い、そのまま歩き出すという動きまで含めて、この短い台詞に人物像が凝縮されていると言えます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

Good luck. だけなら、相手の背中を押す手のひらの絵になります。そこに with that が加わると、押す手はそのままで、視線だけが相手ではなく相手の計画のほうへ向きます。手は励まし、目は品定め。この視線のずれが、そのまま言葉のずれになっていると考えると覚えやすくなります。

劇中のジェーンは、アイザックの顔を見ずに一度だけ息を漏らしてから言い、そのまま立ち去りました。相手を見ないで言う、という動きごと記憶しておくと、口に出したときの温度感がつかめます。逆に、相手の目を見て笑顔で言えば、同じ言葉が素直な励ましに変わります。

例文で覚える「good luck with that」

同僚の宣言を聞き流すときにも、純粋な応援としても使える表現です。どちらの顔を見せるかは文脈が決めます。3つの例文でその振れ幅を確認してみましょう。

A: I’m going to ask my boss for a raise tomorrow.
B: Good luck with that.
(A:明日、上司に昇給を頼むつもりなんだ)
(B:せいぜい頑張って)
同僚の宣言を軽く聞き流す場面です。返しが短いほど、期待していない気持ちがそのまま伝わります。相手を否定してはいないので、後から結果を聞く余地も残ります。

“I’ll convince her to change her mind.” “Good luck with that. She’s already signed.”
(「彼女の気を変えてみせる」「頑張って。もう署名済みだけどね」)
すでに手遅れだと分かっている相手に告げる場面です。後ろに事実を一文添えると、皮肉に根拠がついて、単なる冷やかしではなくなります。相手が状況を把握していないときに使うと、情報の共有も兼ねられます。

Good luck with the move! Let me know if you need a hand.
(引っ越し頑張ってね。手が要るなら言って)
純粋に応援している場面です。感嘆符と手伝いの申し出が続くことで、皮肉ではなく素直な励ましとして読まれます。同じ形でも、添える要素しだいで受け取られ方が変わる好例です。

あわせて覚えたい関連表現

Good luck.
(幸運を、頑張って)
単体では素直な応援になりやすい表現です。with that が加わると対象が具体化され、その対象を話し手が評価しているという含みが生まれます。同じ語でも、限定句の有無で受け取られ方が変わります。

Yeah, right.
(はいはい、そうですか)
応援の形を一切とらない直接的な否定です。good luck with that が表面上は励ましの体裁を保つのに対し、こちらは不信をそのまま出すため、相手との関係によっては角が立ちます。

If you say so.
(あなたがそう言うなら)
同意しないまま引き下がる表現です。結果がどうなるかへの予測は含まず、判断そのものを保留します。うまくいかないという見通しまで伝える今回のフレーズとは、踏み込みの深さが違います。

Note|肯定の言葉で不賛成を伝えるとき

英語には、賛成できないことを賛成の言葉づかいのまま伝える言い回しがいくつもあります。good luck with that はその代表格で、職場でも家庭でも耳にする機会の多い一言です。

同じ働きをする表現を並べてみると、踏み込みの深さに段差があることが見えてきます。If you say so. は判断を保留するだけで、結果への予測を含みません。That’s one way to do it. は方法の存在を認めつつ、最善ではないという含みを残します。good luck with that はさらに一歩進んで、うまくいかないという見通しまで伝えます。同じ「反対を明言しない」グループでも、相手に届く冷たさの度合いは同じではありません。

使える場面かどうかを分けるのは、相手との関係と、その場に第三者がいるかどうかです。同僚同士の雑談なら軽口として流れますが、上司の提案に対して使えば、公然と見限ったことになります。取引先との会話で使う場面はまず想定しにくいでしょう。逆に、親しい間柄で計画の甘さを指摘したいときには、正面から否定するより角が立ちにくい選択肢になります。

劇中のジェーンがこの一言を選んだのも、その場で議論を続ける気がなかったからだと読めます。反論すれば押し問答が長引く。黙って去れば無関心に見える。その中間に置ける言葉として機能しているわけです。

賛成しないことを、賛成の顔で伝える。そういう技法が英語にはあります。

まとめ|励ましの形をした予測

good luck with that は、応援の言葉の形をとりながら、話し手の「うまくいかないだろう」という予測を運ぶ表現です。with that という限定が加わることで、励ましの向かう先が相手そのものから相手の計画へとずれ、その計画を話し手がすでに値踏みしたという含みが生まれます。

短く言い切れば皮肉として響き、感嘆符や手伝いの申し出を添えれば素直な励ましにもなります。同じ形が正反対の温度を持てるのは、good luck という祈願の言葉を土台にしているからこそです。使うときは、相手との関係と周囲の目という2つの条件を確認してから口にすると安全に働きます。

相手の計画に無理を感じたとき、正面から否定せずに距離を置く一言として、表現の引き出しに加えてみてください。

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