海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
失敗や苦労の多さを、深刻ぶらずにさらっと打ち明けたいとき、英語ではどう言えばいいのだろうと考えたことはありませんか。
そんなときに役立つ「one’s fair share of」は、かなりの数の〜を経験してきた、という大人びた言い回しです。『ビッグバン★セオリー』シーズン9第15話の、ラージから別れ方の相談を受けたペニーが、自分の豊富な”別れ”の経験を引き合いに助言するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「one’s fair share of」の意味とニュアンス
one’s fair share of
意味:かなりの数の〜、それなりの数の〜(を経験してきた)
fair share はもともと「公平な取り分」を指す表現です。それが口語では「平均並み、もしくはそれ以上の量」という意味へと広がり、one’s を付けることで「自分はそれなりに多くの〜を引き受けてきた」という個人の経験量を語る言い回しになりました。
特徴的なのは、語られる対象がしばしば失敗・苦労・困難など、必ずしも嬉しくない経験だという点です。「人並み以上に経験してきた」という事実を、深刻になりすぎず、どこか軽いユーモアをまとわせて振り返るときに選ばれます。share of の後には名詞が続き、my fair share of mistakes(かなりの数の失敗)のように使います。
【ここがポイント!】
- fair share=「公平な取り分」が、口語では「人並み以上の量」へと意味がふくらむ表現
- 失敗や苦労など、ちょっとほろ苦い経験の多さを語るときに似合う一言
- 自慢でも卑下でもなく、軽い自虐としてさらっと差し出すのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S09E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
エミリーと別れるべきか悩むラージが、恋愛経験豊富なペニーに別れ方のアドバイスを求めます。ペニーは自分の”実績”を引き合いに、説得力を持たせて助言を始めます。そばにいるレナード自身も、何度もペニーに振られた当事者でした。
Penny: Well, I have broken up with my fair share of guys. I mean, how many times did I break up with Leonard?
(まあ、それなりの数の男と別れてきたからね。っていうか、レナードとは何回別れたっけ?)Leonard: I stopped counting at four.
(4回で数えるのをやめたよ)The Big Bang Theory Season9 Episode15(The Valentino Submergence)
シーン解説と心理考察
ペニーが自分の恋愛遍歴を「アドバイスの根拠」として持ち出すあたりに、頼られた側のちょっと得意げな心理がにじむ場面です。自慢にも反省にも傾けず、my fair share of guys という言い方ひとつで「私はこの道のベテランだから」という余裕を漂わせています。
おもしろいのは、その”実績”の一部が、まさに隣にいるレナードとの数えきれない別れだという点です。当のレナードが「4回で数えるのをやめた」と乾いた相槌を打つことで、ペニーの経験量がコミカルに裏づけられています。fair share of の持つ「人並み以上に」というニュアンスが、二人のやりとりそのものに重なっています。深刻な相談の場でありながら、笑いに変えていくこの空気が、グループの距離の近さをやわらかく見せています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
fair share は、みんなで等しく切り分けたケーキの「一切れ」を思い浮かべると入りやすい表現です。本来は公平な取り分を指す言葉ですが、口語ではその一切れがどんどん盛られて、「自分の皿には人並み以上にたっぷり」という量に変わっていきます。
ペニーが「私の皿には”別れ”がてんこ盛り」と笑って差し出し、その隣でレナードが「4回で数えるのをやめた」とその”盛り”を裏づける。この絵を思い浮かべれば、one’s fair share of が「平均以上の経験量」を語る表現だということが、皿の上の光景ごと記憶に残ります。
例文で覚える「one’s fair share of」
fair share of は、過去の経験量を語る場面で幅広く使えます。失敗から旅の話まで、3つの例文で感覚をつかんでみましょう。
I’ve had my fair share of bad bosses, so I know how you feel.
(ひどい上司ならそれなりに経験してきたから、その気持ちわかるよ)
同僚の愚痴に共感しながら、自分の経験を持ち出して寄り添う場面です。fair share of を挟むことで「私もさんざん経験してきた」という重みが自然に加わります。
Our team has faced its fair share of challenges this year.
(今年、私たちのチームはかなりの数の困難に直面してきました)
振り返りのミーティングやスピーチで使える、ややあらたまった言い方です。its にすると組織やチームを主語にして語ることができます。
A: You seem so calm about moving abroad.
B: Well, I’ve done my fair share of traveling, so I’m used to the chaos.
(A:海外移住なのに、ずいぶん落ち着いてるね)
(B:まあ、それなりに旅はしてきたから、こういう慌ただしさには慣れてるんだ)
友人同士の会話で、自分の経験値をさらっと示す場面です。fair share of が「場数を踏んできた」という余裕を一言で伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
plenty of
(たくさんの〜)
単純に量が多いことを示す中立的な表現です。fair share of のような「人並み以上に」「経験として引き受けてきた」という主観的な含みはなく、より淡々と数の多さを伝えます。
more than enough
(十分すぎるほどの〜)
量の多さを強調する点は近いですが、「公平な取り分」という出発点のニュアンスを持たないぶん、やや直接的に響きます。fair share of の方が、苦労を笑いに変えるような余裕があります。
one’s share of ups and downs
(それなりの浮き沈み)
fair share of の応用形で、良いことも悪いことも含めた人生経験を語る定番フレーズです。fair share of guys が特定の対象を数えるのに対し、こちらは人生全体の起伏をまとめて語ります。
Note|fair share of と a lot of の距離感
「多い」を表す英語はいくつもありますが、one’s fair share of と a lot of では、同じ「多い」でも語り手の立ち位置がずいぶん違います。
a lot of は純粋に量の多さを示す中立的な表現で、a lot of guys と言えば「たくさんの男性」という客観的な数の話に近くなります。一方 fair share of guys には、語り手が「その経験を自分のこととして引き受けてきた」という主観がにじみます。fair(公平な)と share(取り分)という、もともと分配を語る言葉が土台にあるため、「人生という配分の中で、自分の手元に回ってきたぶん」という感覚が残っているのです。だからこそ、fair share of は失敗や苦労といった、できれば少ない方がよかった経験を語るときにしっくりきます。「人並みには引き受けましたよ」という、諦めとユーモアの混じった距離感が生まれます。
劇中のペニーが a lot of guys ではなく my fair share of guys を選んだのも、単なる人数の報告ではなく、「私もそれなりに痛い目を見てきた」という経験者の余裕を示すためでした。
同じ「多い」でも、どんな気持ちで振り返るかで言葉は変わります。
まとめ|ペニーの”別れの実績”が教えてくれること
one’s fair share of は、ただ数が多いと言うのではなく、「人並み以上に経験として引き受けてきた」という主観をひとさじ加える表現です。失敗や苦労を、深刻ぶらずに軽やかに語りたいときに、この一言が効いてきます。
「私もそれなりに経験してきたから」と前置きできれば、相手の悩みに寄り添いながら、自分の言葉に重みを持たせることができます。ペニーが別れの相談に余裕をもって応じられたのも、この言い回しが支えていました。
ほろ苦い経験を笑いに変えながら語れる表現として、あなたの引き出しに加えてみてください。


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