海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
初対面の相手が何気なく口にした一言から、その人の過去がふと透けて見えてしまう、そんな場面が会話にはあります。
そんな場面で使われる「take the rap for someone」を、『メンタリスト』シーズン5第9話、不動産会社を訪れたジェーンが、社員の隠れた経歴を言い当てるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take the rap for someone」の意味とニュアンス
take the rap for someone
意味:人の身代わりに罪や責任をかぶる
rapはもともと打撃音を表す擬音語ですが、口語では「非難」や「刑事責任」を指すようになりました。take the rapは、本来の責任者ではない人物が、その非難や罰を代わりに引き受けることを表します。
自ら進んで身代わりになる場合にも、押しつけられた場合にも使える表現で、forのあとに身代わりの相手を続けるのが基本の形です。犯罪や不祥事の文脈でよく使われますが、職場でのミスの責任を一人が背負うといった、日常的な場面にも応用できます。
【ここがポイント!】
- rapは「非難」「刑事責任」を表す口語、それを引き受ける動作が核
- for someoneで身代わりの相手を示す
- 自発的な身代わりにも、押しつけられた責任にも使える
『メンタリスト』S05E09のシーンで見てみよう
被害者が勤めていた不動産会社での聞き込みです。ジェーンは、社員の一人が口にしたラテン語の法律用語だけを手がかりに、彼の隠れた経歴を言い当てます。
Jane: You’re a… disbarred lawyer.
(あなたは……資格を剥奪された弁護士だ)Phipps: You reading my mail?
(人の郵便でも読んでるのか?)Jane: No. But you just said “nolo contendere.” Lawyer. And you wouldn’t be working here if you weren’t disbarred. No offense.
(いいや。今 nolo contendere と言った。弁護士だ。剥奪されていなければここで働いてはいない。悪気はない)Phipps: Corporate litigation. 14 years. Partner the last six. I took the rap for a client.
(企業訴訟だ。14年。最後の6年はパートナー。依頼人の罪をかぶった)Dilmer: What we were is not who we are. That’s my motto. We’re big on giving people second chances around here.
(かつて何者だったかは、今何者かではない。それが私の信条だ。ここでは人にやり直しの機会を与えることを大切にしている)The Mentalist Season5 Episode9 (Black Cherry)
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シーン解説と心理考察
ジェーンが手がかりにしたのは、フィップスが口にしたnolo contendereというラテン語の法律用語一語だけでした。日常会話にはまず出てこない専門用語から、弁護士という前職、さらに資格剥奪という経歴まで一息に言い当てる手際に、観察眼で相手の内側を見抜くジェーンらしさが表れています。
フィップスは驚きを軽口で受け流したあと、経歴を自分から差し出します。take the rap for a clientという言い方には、自分は本来の加害者ではなかったという含みが残り、過去の出来事を軽く扱おうとする本人の姿勢がにじみます。
同じ表現は物語の終盤で、ジェーンの口から誰が罪をかぶることになるかという駆け引きの言葉として再び登場し、この場面の自己申告が伏線として働く構成になっています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
rapはもともと、ドアをコツンと叩く音を表す擬音語です。その一撃が「非難」の意味へ広がり、やがて刑事責任そのものを指すようになりました。take the rapは、本来別の誰かに向かうはずだった一撃を、自分の体で受け止める動作です。
劇中のフィップスは「依頼人のために受けた」と語りますが、その一言だけで14年の経歴が終わったことも同時に伝わってきます。誰かに振り下ろされる一撃の下に、別の人物がすっと腕を差し入れる絵を思い浮かべておくと、forのあとに身代わりの相手が来る語順も自然に定着します。
例文で覚える「take the rap for someone」
自発的な身代わりと、押しつけられる責任の両方を、三つの場面で見てみましょう。
He took the rap for his younger brother.
(彼は弟の身代わりに罪をかぶった)
家族をめぐる事情を説明する、日常会話での一言です。
Somebody had to take the rap, and it was the new guy.
(誰かが責任をかぶるしかなく、それが新人だった)
社内の顛末を同僚に話す、少しくだけた言い方です。
A: They’re blaming the whole team for this.
B: I’m not gonna take the rap for a decision I never agreed to.
(A:これ、チーム全体の責任にされそうだよ)
(B:賛成した覚えもない決定の責任なんて、私はかぶらない)
責任の所在をはっきりさせたい、職場でのやり取りです。
あわせて覚えたい関連表現
take the fall
(責任を負わされる、罪をかぶる)
ほぼ同義ですが、仕組まれて落とされる含みが強く、自発的な身代わりにはやや使いにくい表現です。
cover for someone
(人をかばう、代わりに取り繕う)
罰を受ける前の段階で、嘘や口裏合わせによって守る行為を指します。処罰までは含みません。
be the scapegoat
(身代わりにされる、責任を押しつけられる)
名詞で立場を指し、押しつけられた不当さが前面に出ます。自発性のニュアンスはありません。
Note|犯罪ものが手放さない一語
take the rap for someoneは、捜査ものや法廷ものの脚本で繰り返し使われる表現です。共犯者の一人が全責任をかぶる展開、取調室で誰が罪をかぶるのかを突きつける場面、そして本作のように、過去の経歴をひと言で説明する場面。犯罪ドラマの骨格に直結する語だと言えます。
こうした作品でこの表現が現れる位置には一定の型があります。序盤では登場人物の過去を語る自己申告として、中盤では共犯者どうしの疑心暗鬼を煽る言葉として、そして終盤では、誰が最終的に責任をかぶるのかを決める駆け引きの言葉として使われることが多いという傾向です。本作でも、フィップスの自己申告が前半に置かれ、同じ表現が終盤の駆け引きで形を変えて再登場する構成になっています。
また、take the rap は「責任を認める」だけでなく、処罰や非難まで引き受けるところに重心があります。そのため、単にミスを認める場面よりも、誰かを守るために自分が罪や罰を背負う場面で強く響きます。
犯罪ドラマを英語音声で見る機会が多い人にとって、この表現は「次に何が起きるか」を予感させるシグナルとしても機能します。take the rapという言葉が出てきたら、責任の所在をめぐる展開が近いと身構えておくと、物語の先読みにもつながります。
まとめ|身代わりという言葉が運ぶ重さ
take the rap for someoneは、単に「責任を取る」というより、本来別の人に向かうはずだった罰を、自分の体で引き受けるという動作を表す言葉です。誰のための、何のための身代わりなのかによって、同じ一言の重さが変わってきます。
犯罪ドラマの定番句でありながら、日常の責任の所在を語るときにも応用できる、意外と汎用性の高い表現なのですね。


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