「cloud someone’s judgment」の意味と使い方|『メンタリスト』S05E16で学ぶ英会話

「cloud someone's judgment」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

信頼している相手のこととなると、明らかな矛盾でも「何か事情があるはず」と思ってしまう。そんな判断の甘さを、あとから他人に指摘された経験はありませんか。

その指摘にあたる「cloud someone’s judgment」を、『メンタリスト』シーズン5第16話の中盤、危険な相手を信じ続けるジェーンをリズボンが問い詰めるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「cloud someone’s judgment」の意味とニュアンス

cloud someone’s judgment
意味:(感情などが)人の判断力を曇らせる

cloud はもともと「雲」。それが動詞になると「曇らせる、覆い隠す」という動きを表します。judgment(判断)の前に雲がかかり、見えるはずのものが見えなくなる。この一語で、判断力そのものが失われたのではなく、視界がさえぎられているだけだ、というニュアンスが出ます。

主語には、判断を曇らせている原因が来ます。感情・怒り・恐れ・愛情・欲・疲れなど、人を内側から揺さぶるものが典型です。Anger clouded his judgment. のように原因を主語に立てると、その人自身を責めずに問題を指摘できます。

責める言葉ではありますが、直接 You’re wrong. と言うよりも角が立ちにくい面もあります。相手の能力ではなく、一時的な状態のほうを問題にしているからです。会議でも、家族の会話でも使える幅を持った表現と言えます。

【ここがポイント!】

  • 核は「判断の前に雲がかかって、見えるものが見えなくなる」イメージ
  • 主語に立つのは感情や欲など、判断を曇らせている原因のほう
  • 能力ではなく一時的な状態を指摘する言い方なので、批判の角がやわらぐ一言

『メンタリスト』S05E16のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

夜、ジェーンがある家にいるところへリズボンが現れます。ジェーンは捜査の重要人物と接触しながら、その事実を彼女に伝えていませんでした。しかも相手は逃走中の人物。それでもジェーンは「彼女を止める気はない」と言い切ります。押し問答の末、リズボンが踏み込んだ一言を口にする場面です。

Lisbon: You’re putting your trust in the mistress of a serial killer. She’s playing you.
(連続殺人犯の愛人を信じるっていうの。あの女はあなたを操ってるのよ)

Jane: Playing me? How?
(操ってる? どうやって?)

Lisbon: You’re blind. You’re involved with her. It’s clouding your judgment.
(あなたは見えてない。あの女と関わってる。それがあなたの判断を曇らせてるの)

Jane: There’s no involvement. I feel nothing for her.
(関わってなんかいない。彼女には何の感情もないよ)

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シーン解説と心理考察

リズボンの言葉は、順を追って積み上げられています。まず状況を名指しし、次に状態を指摘し、最後に原因を置く。clouding your judgment はその結論部分にあたり、感情の爆発ではなく組み立てられた説得として響きます。

対するジェーンの返しは短く、否定が二度重なります。関わりはない、感情もない。人は本当に何もないとき、ここまで並べて否定しないもので、その過剰さが本人の動揺を表しています。

このやり取りの直前まで、ジェーンは「話しているのは全体の3割だが嘘ではない」と論理でかわし続けていました。それが通用しなくなった瞬間に、リズボンは事実関係ではなく判断の質そのものを突いています。相手の土俵から降りさせる一手が、この一言に重なっています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

「cloud someone’s judgment」は、内側から曇っていく車のフロントガラスを思い浮かべると定着しやすい表現です。

外の景色は何も変わっていません。道も標識もそのままある。それなのに車内の温度と湿気のせいでガラスが白くなり、運転している本人だけが見えなくなっていく。曇らせているのは外の雨ではなく、内側の熱です。

このシーンのジェーンも、事実が見えていないわけではありません。内側の熱が視界を白くしている状態です。judgment という語の前に、白く曇ったガラスを一枚置く。その絵ごと覚えておくと、感情が主語に立つ理由も一緒に納得できます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「cloud someone’s judgment」

判断を曇らせる原因は、怒りにも、期待にも、身内びいきにもなります。3つの場面で見ていきましょう。

Don’t let anger cloud your judgment.
(怒りで判断を曇らせないように。)
言い争いの直前に誰かを落ち着かせる場面です。let A cloud B の形にすると「曇らせるままにするな」となり、まだ選び直せるという含みが出ます。

His personal ties to the client may have clouded his judgment.
(顧客との個人的なつながりが、彼の判断を曇らせていたのかもしれません。)
社内で意思決定の経緯を検証する場面。原因を主語に置くことで、人格を責めずに問題点を示せます。

A: I still think we should hire him. He reminds me of myself.
B: That’s exactly what’s clouding your judgment.
(A:やっぱり彼を採用すべきだと思う。昔の自分を見ているようでね。)
(B:まさにそれが判断を曇らせているんですよ。)
面接後の会議でのやり取りです。相手の言葉をそのまま原因として返す使い方で、短くても効き目のある指摘になります。

あわせて覚えたい関連表現

be blinded by
(〜で目がくらむ)
cloud が「曇る」なら、blind は「完全に見えなくなる」段階です。同じ視界の比喩でも、程度が一段強くなります。

let emotions get the better of you
(感情に振り回される)
判断が曇るだけでなく、行動まで感情に支配されている状態を指します。cloud someone’s judgment より結果の側に寄った表現です。

think straight
(冷静に考える、まともに判断する)
曇っていない状態のほうを表す言い方です。I can’t think straight. と言えば、自分で自分の判断力の低下を認める形になります。

Note|判断が曇るとき、頭の中では何が起きているのか

感情が判断を曇らせる、という言い方は比喩に見えて、心理学が長く扱ってきたテーマでもあります。cloud という語が選ばれ続けてきた背景には、人の判断が状況次第で簡単にゆがむという観察の積み重ねがあります。

よく知られているのが確証バイアスです。人はいったん信じたことを支える情報ばかりを集め、それに反する情報の重みを無意識に割り引きます。1960年代にイギリスの心理学者ピーター・ウェイソンが行った課題では、参加者は自分の仮説を否定するための検証をほとんど選ばず、肯定する例ばかりを探しました。材料が目の前にあっても、都合の悪いものが視界から外れていくわけです。

もうひとつが、感情が意思決定に及ぼす影響です。行動経済学では、直感的で速い判断の系統と、意識的で遅い判断の系統を分けて考えます。強い感情が働いているとき、人は前者に引っ張られやすくなり、後者による検算が働きにくくなる。曇るのは目ではなく、確かめ直す手続きのほうだと言えます。

だから cloud someone’s judgment は、「間違っている」とは少し違うことを指しています。材料は同じ、能力も同じ。ただ、確かめ直す手続きが働かなくなっている。ジェーンが事実そのものは否定しなかったのに、結論だけは譲らなかったのも、この形に近いと読み取れます。

見えなくなるのは景色ではなく、確かめ直す手順のほうなのかもしれません。

まとめ|見えているのに、見えていないということ

「cloud someone’s judgment」は、判断力そのものではなく、判断にかかる曇りを指す表現です。能力を疑うのではなく、一時的に視界がふさがれている状態を名指しする。だからこそ、強い指摘でありながら相手を切り捨てません。

この言い方をひとつ持っておくと、意見の対立を人格の対立にせずに済みます。誤りそのものを責める代わりに、今は判断が曇っているのではと置き換えるだけで、会話に検討の余地が残ります。

ジェーンが二度重ねて否定したあの短いやり取りは、正しさより先に、見え方のほうが問われた場面でした。

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