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『メンタリスト』シーズン1エピソード10では、レイランド大学の学長スターンが、CBI本部にみずから足を運び、看板研究者であるスタッツァー博士の身辺警護を直接依頼する場面から捜査が始まります。今回はこの場面を起点に、一人の花形研究者に経営基盤を大きく依存するアメリカの大学というトピックを取り上げます。
学長が直接動く危機感の背景には、どのような事情があるのでしょうか。エピソードの描写に沿って見ていきます。
大学の経営が一人の研究者に懸かる場面 ―「our lynchpin」という言葉
被害者アレックス・ネルソンが殺害された直後、学長スターンはCBI本部を訪ね、ミネリに直接こう訴えます。
Stern: Please understand that there’s a great deal at stake here for the university. The Stutzer institute is our lynchpin.
(大学にとって、ここには大きなものが懸かっているとご理解ください。スタッツァー研究所は、うちの大学の要なのです)The Mentalist Season1 Episode10 (Red Brick and Ivy)
lynchpin(要、中心的な支え)という一語が示すとおり、この場面のスターンは一人の研究者と、その研究所の存在感の大きさを強調しています。学長という立場の人物が捜査当局の本部までみずから出向くという行動そのものが、大学側の危機感の強さを物語っています。もっとも、こうした「花形研究者への依存度」は大学・州・時代によって差があり、本エピソードの描写だけで一般化できるものではない点には留意しておきたいところです。
捜査当局にも守秘義務を求める研究室 ― 大学附属研究所の情報管理
スタッツァー博士の研究室を訪ねたジェーンとリズボンに対して、博士は「ここでの研究は極めて機微に触れる」と言葉を濁します。それを受けて、リズボンはこう応じます。
Lisbon: What you tell us regarding your work is completely confidential. All CBI agents sign a binding nondisclosure agreement.
(あなたの研究についてお話しいただく内容は、完全に機密として扱われます。CBIの捜査官は全員、法的拘束力のある守秘義務契約に署名していますので)The Mentalist Season1 Episode10 (Red Brick and Ivy)
confidential(機密の)、nondisclosure agreement(守秘義務契約、略してNDA)は、研究や企業活動の場で頻繁に登場する語彙です。捜査当局にすらこうした契約への署名が前提として語られる場面からは、大学附属の研究所が扱う情報の機微さと、その情報管理の徹底ぶりがうかがえます。研究内容が特許や資金調達に直結する研究機関では、こうした守秘の枠組みが実務上重視される傾向にあります。ただし、この徹底度合いには大学や分野による差があり、一律に当てはまるわけではない点には留意しておきたいところです。
学長みずからが漏らす本音 ―「based on Stutzer’s reputation」という告白
事件解決の山場、ジェーンに追い詰められたスターンは、犯行の動機についてこう自白します。
Stern: To protect the university. Alex was going to expose the Stutzer institute as a fraud. The—the university’s finances are—are based on Stutzer’s reputation. If Stutzer goes down, Leyland university goes down.
(大学を守るためだ。アレックスはスタッツァー研究所の不正を暴露しようとしていた。大学の財政は……スタッツァーの名声の上に成り立っている。スタッツァーが倒れれば、レイランド大学も共倒れになる)The Mentalist Season1 Episode10 (Red Brick and Ivy)
expose 〜 as a fraud(〜を不正として暴露する)、based on 〜’s reputation(〜の評判に基づいている)という言い回しには、大学という組織が一人の研究者の名声と分かちがたく結びついている構造が集約されています。学長がここまで踏み込んだ危機管理に走った背景にあるのは、研究不正の発覚が大学全体の資金や信用に直結しかねないという、作中で描かれた事情です。実際のアメリカの大学がどこまでこの構造に当てはまるかは大学・分野・時代によって幅があり、断定は避けておきたいところですが、花形研究所が大学の看板になり得るという構図自体は、エピソードを通して具体的に描かれています。
まとめ|花形研究所と大学経営の距離の近さ
「our lynchpin」「nondisclosure agreement」「based on 〜’s reputation」。学長スターンの言動をたどると、大学という組織が一人の花形研究者の評判・資金と、想像以上に近い距離にあることが見えてきます。研究不正のニュースに触れたときには、こうした構造を思い出すきっかけになるはずです。
『メンタリスト』の世界を通して、学術界を舞台にした英語にもこれからも触れていきます。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。
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