「go through a rough patch」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E10で学ぶ英会話

「go through a rough patch」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

うまくいかない時期のことを人に話すとき、深刻に響きすぎないよう言葉を選び直すような場面があります。

そんなときに使える「go through a rough patch」を、『メンタリスト』シーズン1第10話の序盤、リズボンに問い詰められたジェーンが、これまで伏せてきた過去を打ち明けるCBI本部の場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「go through a rough patch」の意味とニュアンス

go through a rough patch
意味:つらい時期を経験する、一時的に調子を崩す

patch は「地面の一区画」を指す語です。道の一部だけが荒れている、という絵がこの表現の中心にあります。荒れているのはあくまで通過中の一区間で、その先には別の地面が続いている。つまり「今は苦しいが、これは一時的なものだ」という前提が、言葉そのものに組み込まれています。

守備範囲はかなり広く、仕事の不振、体調不良、夫婦や友人関係の不安定な時期、チームの成績低迷まで幅広く使えます。深刻さの度合いは文脈が決めますが、表現自体は軽めに響くため、重い事実を包んで差し出すときの緩衝材としても機能します。

go through が「その中を通り抜けていく」という進行中の感覚を出すのに対し、hit a rough patch とすると「つらい局面に差しかかった」という入り口の瞬間を指します。a bit of a rough patch と弱めれば、事情を詳しく明かさずに済ませる言い方にもなります。

【ここがポイント!】

  • 核にあるのは「道の一区画だけが荒れている」という地面の絵
  • 一時的なものだという含みが言葉に組み込まれている、やわらかい一言
  • 重い事実を軽く包んで伝えたいときの緩衝材として働くのが使いどころ

『メンタリスト』S01E10のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

事件をCBIに持ち込んだ理由を問われたジェーンは、その人物がかつての自分の主治医だったと打ち明けます。精神科医を嫌っているはずの彼がなぜ、という疑問をリズボンがそのままぶつけたところから、話は思いがけない方向へ進みます。

Lisbon: But you hate psychiatrists, so you always say.
(でも、あなたは精神科医が嫌いなんでしょう。いつもそう言っているじゃない)

Jane: She was a good psychiatrist.
(彼女はいい精神科医だったんだ)

Lisbon: She must have been if she managed to keep you in the room.
(あなたを部屋に留めておけたのなら、よほど腕がよかったんでしょうね)

Jane: It was a locked room. Yeah, I went through a rough patch, I did a little time in a hospital, and Sophie helped me through that time.
(鍵のかかった部屋だったからね。ああ、つらい時期があったんだ。少しのあいだ病院に入っていて、ソフィーがその時期を支えてくれた)

The Mentalist Season1 Episode10 (Red Brick and Ivy)

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シーン解説と心理考察

このやり取りで注目したいのは、ジェーンが自分の入院を go through a rough patch という驚くほど軽い言い方から切り出している点です。まず輪郭のぼやけた表現で全体を包み、そのあとに did a little time in a hospital と具体を足していく。重い事実を小さく折りたたんでから、少しずつ広げるような話し方が表れています。

リズボンの側にも気配りがあります。彼女は「入院していたの?」と踏み込む代わりに、腕のよさを認める言い方で受け止めました。相手が自分から広げるのを待つ姿勢が、この短い返しににじみます。

普段のジェーンは、どんな質問も軽口に変えて受け流してしまう人物です。ところがここでは、軽さを最後まで保ちきれません。恥じるべきではないと頭で分かっていることと、それでも恥じている自分と。その二つを並べて認めてしまうところに、この場面の見どころがあります。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

舗装された道を車で走っている場面を思い浮かべてみてください。しばらく進むと、一区画だけ路面が荒れていて、車体が細かく揺れます。ハンドルを握る手に力が入りますが、その区間はやがて終わり、また滑らかな路面に戻ります。rough patch とは、この荒れた一区画のことです。

大事なのは、荒れているのが道の全部ではないという点にあります。劇中のジェーンも、人生のある一区間として自分の入院期間を語っていました。「荒れているのは一区画だけ」という絵と結びつけておくと、この表現が持つ一時性のニュアンスまで一緒に思い出せます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「go through a rough patch」

このフレーズは、相手の事情を深く問いたださずに受け止めたい場面で活躍します。三つの例文で、その使い方を見ていきましょう。

He’s going through a rough patch at work, so give him some time.
(彼は今、仕事でつらい時期を過ごしているから、少し時間をあげて)
落ち込んでいる同僚について、第三者にそっと事情を伝える場面です。詳しく説明せずに状況を共有できるのが、この言い方の利点になります。

The company went through a rough patch last year, but sales have recovered.
(その会社は昨年苦しい時期を経験したが、売上は回復している)
業績の落ち込みを報告する場面です。but 以下とセットにすると、一時的なものだったという含みが自然に効いてきます。

A: Is everything okay? You’ve seemed quiet lately.
B: Yeah, I’m just going through a bit of a rough patch.
(A:大丈夫? 最近静かだけど。)
(B:うん、ちょっとつらい時期なだけ。)
様子を気遣われた場面です。a bit of a を挟むことで、心配はありがたいが今は詳しく話したくない、という距離感を保てます。

あわせて覚えたい関連表現

have a hard time
(苦労する、つらい思いをする)
最も一般的で守備範囲の広い言い方です。go through a rough patch のような「通過中の一区間」という含みはなく、期間の長さも限定しません。

hit a rough patch
(つらい局面に差しかかる)
同じ patch を使いますが、go through が渦中を描くのに対し、hit は入り口にぶつかった瞬間を指します。始まりを描くか、最中を描くかで選び分けられます。

be in a slump
(不調に陥っている)
主にパフォーマンスの落ち込みに使われ、スポーツや営業成績と相性のよい表現です。人生や人間関係まで包む go through a rough patch より、射程は狭くなります。

Note|patch が描く一区画 ― rough patch と purple patch

patch はもともと、継ぎ当ての布や地面の一区画を指す語でした。そこから「ある期間」を表す比喩へ広がり、rough patch や bad patch といった言い方が生まれています。

おもしろいのは、同じ patch が正反対の意味にも使われることです。英語には purple patch という言い方があり、こちらは絶好調の時期を指します。スポーツ報道でよく見かける表現で、選手が得点を量産している期間などを表します。この purple patch は、もともと文章の中で華美に飾り立てられた一節を指す語だったと説明されることが多く、そこから「ひときわ輝いている一区間」という現在の意味に転じたとされます。荒れた一区画にも、輝かしい一区画にも、同じ patch が当てられている。ここには、人生や成績を「区画の連なり」として捉える発想が透けて見えます。似た発想は a rocky road や smooth sailing、turn a corner にも共通しており、英語が時間を「進んでいく道」として描く比喩の体系が背景にあります。

この体系ごと押さえておくと、rough patch を単体で暗記するよりも応用が利きます。劇中のジェーンが自分の入院期間をこの語で語ったのも、それが人生という道の全部ではなく一区画だという前提があったからだと読めます。

荒れた区画の先には、まだ道が続いています。

まとめ|一区画として語るということ

go through a rough patch は、荒れた路面の一区画を通り抜けていく姿を描いた表現です。苦しいのは今この区間であって、道そのものではない。その前提が言葉に組み込まれているところに、この言い方のやさしさがあります。

使えるようになると、自分の不調を重くしすぎずに伝えられるようになり、相手の事情を必要以上に問いたださずに受け止められるようにもなります。慰めの言葉が見つからないときに、そっと差し出せる一言です。

誰かの静けさに気づいたときのために、会話のレパートリーに加えてみてください。

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