海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
大切な誰かのためなら、多少の不便や面倒は受け入れてもいい、そう思える瞬間はありませんか。突然の頼みごとや詮索を差し置いてでも、迷わず頷けてしまうような、そんな覚悟の場面です。
そんな気持ちにぴったりの「whatever it takes」を、『BONES』シーズン12第5話の前半、息子ジェイコブの家庭教師をめぐる聴取の中で、母親のスー・ケイシーが自宅で銃の提出を求められる、緊張感のある場面から、一緒に見ていきましょう。
「whatever it takes」の意味とニュアンス
whatever it takes
意味:何としてでも、そのためなら何でもする
whatever it takes は、whatever(〜が何であれ)と it takes(それが要求するもの)を組み合わせた言い回しで、目的を達成するためなら、手段や労力を問わないという強い決意を表します。単独でも「何としてでも」という決まり文句として使われ、日常会話からスポーツの応援、企業のスローガンまで、幅広い場面に登場します。
似た表現に no matter what や by any means necessary がありますが、no matter what が「状況がどうであれ」という一般的な譲歩を表すのに対し、whatever it takes は目的達成のための対価や労力を引き受ける覚悟を強調する点が異なります。多少の犠牲や不便を受け入れてでも、という前向きな決意のニュアンスが根底にある表現です。単なる決意表明にとどまらず、相手からの要求や条件を「それで構わない」とあっさり受け入れる場面でも使われ、覚悟の強さと同時に柔軟な受け入れの姿勢も伝えられる、幅の広い言い回しです。文の先頭に置いて単独の返答として使うことも多く、その場合は「何としてでも」という決意そのものが一語で完結する、テンポの良い応答表現にもなります。
【ここがポイント!】
- 目的のためなら手段や労力を問わない、強い決意がにじむ表現です
- 自分の覚悟を語る場面にも、相手の要求を受け入れる場面にも使えます
- whatever it takes だけで「何としてでも」という決まり文句になる手軽さがあります
『BONES』S12E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者オースティンとの間に軋轢があったことをすでに認めている、息子ジェイコブの母親スー・ケイシーへの聴取が、この場面の舞台です。自宅でブースが銃を見つけて提示すると、スー・ケイシーはすぐに事の次第を察知します。息子の学業を最優先する彼女の価値観が、銃の提出を求められた瞬間の返答ににじみ出る場面です。
Sue Casey: Okay. I see where this is going. Look, Austin and I had our differences. But he was a decent tutor and Jacob liked him.
(分かったわ。話の流れは分かる。オースティンとは意見が合わないこともあったけれど、まともな家庭教師だったし、ジェイコブも気に入っていたのよ。)Booth: That’s sweet and all, but we’re gonna have to test your guns.
(それは結構なことだが、銃を調べさせてもらう必要がある。)Sue Casey: Fine. Whatever it takes to get some peace, so Jacob can focus.
(いいわ。ジェイコブが集中できる平穏のためなら、何だってするから。)BONES Season12 Episode5 (The Tutor in the Tussle)
シーン解説と心理考察
ブースとブレナンが自宅で銃を発見し、提出を求めると、スー・ケイシーは最初こそ不満げな態度を見せますが、最終的にはあっさりと要求を受け入れます。息子ジェイコブの成績に人一倍の情熱を注いできた彼女にとって、家庭教師オースティンとの間に軋轢があったことは、すでに認めている事実でした。
「それは結構なことだが」というブースの淡々とした返しが、張りつめかけた聴取の会話の温度を変えています。スー・ケイシーの返答からは、息子の学業を最優先する価値観の一貫性が伝わってきます。whatever it takes という言葉には、「息子のため」という一点さえ満たされれば他の条件は二の次だという姿勢が端的に表れており、その潔さが緊張感をやわらかく見せています。
『BONES』流・覚え方のコツ
whatever it takes を覚えるときは、目の前にどんな障害物が現れても、迂回してでも前に進み続ける一本道を思い浮かべてみましょう。道の形がどう変わろうと、たどり着く先だけは変わらないという頑固さが核にあります。
スー・ケイシーがあっさり銃の提出に応じた場面も、まさにこの一本道のイメージと重なります。息子の集中という目的地さえ守られれば、途中の障害はいくらでも受け入れます。ゴールから逆算して手段を選ばない感覚と結びつけておくと、記憶に残りやすくなります。
例文で覚える「whatever it takes」
whatever it takes は、目標達成への強い意気込みを語る場面から、相手の要求をあっさり受け入れる場面まで幅広く使える表現です。3つの例文で使い方を確認していきましょう。
A: This project deadline is brutal. Do you think we can actually finish in time?
B: We will. I’ll do whatever it takes to get it done.
(A:この案件の締め切り、きつすぎるよ。本当に間に合うと思う?)
(B:間に合わせるよ。何としてでもやり遂げるから。)
仕事のプレッシャーを語る会話例です。厳しい状況でも諦めない、カジュアルな決意表明として使われています。
The company is willing to invest whatever it takes to win back customer trust.
(その会社は、顧客の信頼を取り戻すためなら、どんな投資も惜しまない構えです。)
企業の姿勢を語るビジネス文脈でよく見かける表現です。目的達成への本気度を、投資という具体的な行動とともにはっきりと伝えます。
She said she’d do whatever it takes to keep her family together.
(彼女は、家族を一つにまとめるためなら何でもすると言った。)
家族への強い思いを語る場面です。犠牲を厭わない覚悟が、シンプルな一言にしっかりと込められています。
あわせて覚えたい関連表現
no matter what
(何があろうと)
whatever it takes が「手段・労力」に焦点を当てるのに対し、no matter what は状況や結果がどうであれ、という譲歩そのものに重点を置く、より一般的な言い回しです。約束や誓いを語る場面でもよく耳にします。
at all costs
(どんな犠牲を払っても)
whatever it takes よりも重く、切迫した響きを持つ表現です。犠牲の大きさそのものを強調する場面で使われ、ビジネスや戦略、時に軍事的な文脈でも頻出する言い回しです。
go the extra mile
(一歩踏み込んだ努力をする)
whatever it takes ほど強い覚悟は示しませんが、期待以上の努力を惜しまないという、前向きな姿勢を表す表現です。接客や仕事での気配りを語る場面にもよく向いている、軽やかな一言です。
Note|「なんとしても」に一番近い英語は
whatever it takes を日本語に訳すとき、状況によって選ぶ言葉が変わってくる表現でもあります。
日本語には、目的達成への強い意志を表す言葉がいくつも存在します。「なんとしても」は日常会話でもスピーチでも使える万能選手、「是が非でも」はやや硬く、フォーマルな場面や決意表明の場に似合う響きを持ちます。「何が何でも」は意地や頑固さがにじむ、より口語的な響きです。英語の whatever it takes は、この三つの日本語表現が持つ幅を、たった一つのフレーズでカバーしている点が面白いところです。フォーマルな会議のスピーチでも、友人同士の軽い会話でも、同じ言い回しがそのまま使える柔軟さは、場面ごとに言葉を選び分ける日本語の使い分け文化とは対照的です。この違いを意識しておくと、日本語から英語に置き換える際に、硬さのレベルで迷う場面が減っていきます。
スー・ケイシーが銃の提出という重い要求に対して口にした whatever it takes も、深刻さの中にどこか軽さを残した「なんとしても」に近い響きでした。硬すぎず、それでいて本気度は十分に伝わってきます。
一つの表現が持つ幅の広さも、言語の面白さのひとつです。
まとめ|「なんとしても」を一言で伝える力
whatever it takes は、目的のためなら手段や労力を問わないという強い決意を、たった一言で伝えられる表現です。決意表明にも、相手の要求への潔い受け入れにも使える柔軟さを持っています。フォーマルな場でもカジュアルな会話でも、そのまま通用する使い勝手の良さも魅力です。
大切な誰かのため、あるいは譲れない目標のために覚悟を語りたいとき、この一言があれば、迷いのなさがそのまま相手に伝わります。細かい条件を並べるより、ずっと潔く聞こえる場面も多くあります。
スー・ケイシーが見せたようなあっさりとした潔さを、表現の引き出しに加えてみてください。


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