海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
慎重に運んでいたつもりの荷物をふとした拍子に落としてしまい、周りから「よくあることだよ」と声をかけられる、そんな場面が日常にはあります。気まずさで固まりかけた場の空気が、たった一言でふっと軽くなる瞬間です。
そんな場面にぴったりの「that happens to the best of us」を、『BONES』シーズン12第5話の冒頭、鑑識作業中の事件現場でオーブリーに何かが飛び散ってしまうハプニングの場面から、一緒に見ていきましょう。
「that happens to the best of us」の意味とニュアンス
that happens to the best of us
意味:誰にでもあることだ、よくあることだ
that happens to the best of us は、直訳すると「それは私たちの中の最高の者たちにも起こる」となります。the best of us(自分たちの中でも優れた者)という言葉をあえて使うことで、「どんなに優秀な人でも避けられない失敗」というニュアンスを持たせる、慰め・励ましの決まり文句です。
うっかりミスをした相手や、自分自身の失敗を軽く受け流したいときに使われる、深刻に受け止めすぎないための一言でもあります。似た表現に it happens や nobody’s perfect がありますが、that happens to the best of us は「優秀な人でも」という比較のニュアンスを加えることで、慰めの効果をより強めている点が特徴です。友人同士のちょっとした失敗を笑い飛ばす場面によく登場する、温かみのある表現です。深刻な事故や重大な過失には使わず、あくまで軽いハプニングに対して声をかける、日常的な慰めの言葉として使うのが自然です。文末に相手の名前を添えて呼びかける形もよく使われ、その場合は決まり文句としての響きに、話し相手への親しみがひとさじ加わります。
【ここがポイント!】
- 「優秀な人にも起こる」というひねりが効いた、慰めの発想です
- 深刻な失態ではなく、軽いハプニングに使うのがちょうどいい表現です
- 相手を励ますときも、自分の失敗を軽く流すときも使える手軽さがあります
『BONES』S12E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
鑑識現場で捜査にあたっていたオーブリーに、発砲の痕跡が飛び散るというハプニングが起こる場面から、このフレーズを見ていきます。動揺するオーブリーをよそに、深刻になりがちな現場の空気を、誰かのひとことの軽口がふっと和らげていきます。
Aubrey: Wait!
(待って!)Booth: Oh, well, you know what? That happens to the best of us, Aubrey.
(まあ、その、誰にでもあることだよ、オーブリー。)Aubrey: Anybody got a good dry cleaner?
(誰かいいクリーニング屋を知らないか?)Saroyan: Stay still.
(動かないで。)BONES Season12 Episode5 (The Tutor in the Tussle)
シーン解説と心理考察
「待って!」という短い叫びのすぐあとに、「誰にでもあることだよ、オーブリー」と軽く受け流す一言が返ってきます。発砲の痕跡が飛び散る鑑識現場という深刻になりがちな空気を和らげる、チーム内の気安さがここに表れています。
オーブリー自身も動じた様子を見せず、「いいクリーニング屋を知らないか」とすぐに話題を切り替えます。すかさず割って入るカムの「動かないで」という指示さえ、いつもの現場の日常として響きます。シビアな現場に日常的に向き合うプロフェッショナルたちの距離の取り方が、このやり取り全体から伝わってきます。深刻さと軽さのバランスの取り方に、チームとしての成熟が垣間見えます。誰かの災難をきっかけに軽口が飛び交い、それを当の本人も笑って受け止めるという流れそのものが、この職場に流れる空気を物語っています。
『BONES』流・覚え方のコツ
that happens to the best of us を覚えるときは、綱渡りの名人でさえ、時にはバランスを崩して足を滑らせる瞬間を思い浮かべてみましょう。どれほど熟練していても、避けられない一瞬がある、というイメージです。
鑑識現場でオーブリーに何かがかかってしまったハプニングも、まさにその一瞬に重なります。優秀な人物にも起こる、というひねりを利かせた慰めの言葉と、綱渡りの名人がふらついた瞬間のイメージを結びつけておくと、記憶に定着しやすくなります。
例文で覚える「that happens to the best of us」
that happens to the best of us は、友人のうっかりミスを慰める場面から、自分自身の失敗を軽く受け流す場面まで、幅広い場面で使える表現です。3つの例文で、その使い方を確認していきましょう。
A: I totally forgot my umbrella again and got soaked on the way home.
B: Don’t worry about it, that happens to the best of us.
(A:また傘を忘れて、帰り道でびしょ濡れになっちゃった。)
(B:気にしないで、誰にでもあることだよ。)
友人同士の何気ない会話例です。小さな失敗を軽く受け流す、飾らない優しい慰めが伝わってきます。
Don’t beat yourself up over the typo in the report; that happens to the best of us.
(報告書の誤字くらいで自分を責めなくていい、誰にでもあることだから。)
職場で同僚を励ます場面で使われる表現です。ちょっとしたミスを大げさに扱わない、寛容な姿勢がそのまま伝わってきます。
I locked myself out of my own apartment. Well, that happens to the best of us, I guess.
(自分の部屋なのに、鍵を締め出されちゃったよ。まあ、誰にでもあることだよね。)
自分自身の失敗を笑い飛ばす場面です。落ち込みすぎず、軽やかに受け流そうとする気持ちがそのまま表れています。
あわせて覚えたい関連表現
it happens
(よくあることだよ)
that happens to the best of us よりもシンプルで、あっさりとした慰めの言葉です。「優秀な人でも」という比較のニュアンスがない分、より軽く使える万能フレーズになっています。とっさの一言としても使いやすい表現です。
nobody’s perfect
(完璧な人なんていない)
that happens to the best of us が失敗そのものを慰めるのに対し、nobody’s perfect は相手の存在全体を受け入れる、より広い視点からの慰めの言葉です。繰り返す失敗を諭す場面でも使われます。
shake it off
(気にせず切り替える)
that happens to the best of us が周りからかける慰めの言葉であるのに対し、shake it off は自分自身に向けて気持ちを切り替える表現として使われることが多い、前向きな響きの言い回しです。落ち込みを引きずらない姿勢が伝わってきます。
Note|シビアな現場で交わされる、軽口という潤滑油
that happens to the best of us のような軽い一言は、シビアな職業の現場でこそ重要な役割を果たすことがあります。
法医学者や救急隊員、警察官のように重い現場に日常的に向き合う職業では、緊張や重圧をやわらげるために、ちょっとした軽口や冗談が交わされることがあるとしばしば指摘されます。心理学の分野ではこうした振る舞いが、感情的な距離を保ちながら仕事を続けるための工夫として語られることもあります。もちろん、これは被害者や遺族に向けられるものではなく、あくまで同じ現場に立つ仲間内だけに許される、限定的なコミュニケーションです。相手や状況を選ばずに使えば単なる不謹慎になってしまうため、誰に対して、どんな空気の中で発せられるかが重要になります。長く同じ現場で働く同僚同士だからこそ成立する、ある種の暗黙の了解に支えられた軽さだとも言えます。
今回のシーンでも、鑑識現場でのハプニングに対する軽口は、被害者に向けたものではなく、同じ現場に立つ仲間同士の間だけで交わされています。that happens to the best of us という一言が、まさにこの限定的な潤滑油の役割を果たしています。深刻な仕事だからこそ、こうした軽さが必要になる場面があるとも言えます。
軽さと敬意は、両立できるバランスの上に成り立っています。
まとめ|オーブリーの災難と、鑑識現場に流れた笑い
that happens to the best of us は、優秀な人にも起こる、というひねりを利かせることで、深刻になりすぎない慰めを伝える表現です。相手を励ますときも、自分の失敗を軽く流すときも使える、懐の深い言い回しです。
うっかりミスで気まずくなった空気を、大げさにならずにさりげなくほぐしたいとき、この一言があれば場の雰囲気をふっと軽くできます。深刻な失敗ではなく、あくまで小さなハプニングに使うのがちょうどいい塩梅です。
誰にでも起こる小さな失態を、笑い話として受け流せる余裕を、そっと運んでくれる一言です。落ち込みかけた誰かの背中を、そっと押してくれる言葉でもあります。


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