海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第1話に登場する、初デートの帰り際に交わされる、関係のペースをめぐる言い方です。ペニーの一言をきっかけに、レナードとルームメイトたちが繰り広げる分析ごっこには、恋愛の駆け引きを表す英語表現がいくつも登場します。
その言い回しを、順番に見ていきます。
「slow things down」と「wing it」——温度差を映す二つの言い方
冒頭、初デートを終えたペニーとレナードが階段でおやすみの挨拶を交わす場面です。監視カメラの存在に気づいたレナードが慌てて部屋に誘おうとすると、ペニーは少し間を置いてこう答えます。
Penny: Oh, yeah, you know what, maybe we should just slow things down a little.
(ああ、そうね、ちょっとペースを落とした方がいいかもしれない。)TBBT Season2 Episode1 (The Bad Fish Paradigm)
slow things down は、関係の進み方を急がず、一歩下がって様子を見たいという意向を伝える言い方です。断る言葉ではなく、あくまで速度を落としたいという婉曲な提案として機能しています。
レナードが「では計画を立て直そう」と物理学者らしく速度と距離の計算を持ち出すと、ペニーは軽く笑ってこう返します。
Penny: Or we could just wing it.
(それか、成り行きに任せちゃってもいいんじゃない?)TBBT Season2 Episode1 (The Bad Fish Paradigm)
wing it は、計画を立てずに即興でこなす、成り行き任せにするという意味の言い方です。ペニーが提示した「ペースを落とす」と「なりゆきに任せる」は一見矛盾するようですが、どちらも型にはめないという点では共通しており、この温度差が、後半でルームメイトたちが騒ぎ立てる種になっています。
友人たちの珍分析——「the black box」から「the fish」まで
部屋に戻ったレナードを待っていたのは、監視カメラ越しにデートを盗み見ていたルームメイトたちです。ハワードは得意げにこう切り出します。
Howard: You should thank us. When future generations try to determine why your relationship with Penny crashed and burned, this right here is the black box.
(俺たちに感謝すべきだぜ。将来、お前とペニーの関係がなぜ空中分解したのか調べるとき、これがブラックボックスになるんだからな。)TBBT Season2 Episode1 (The Bad Fish Paradigm)
black box は航空機の飛行記録装置を指す言葉で、事故原因を解明するための手がかりとして使われます。ハワードはこれを人間関係の分析に転用し、監視カメラの映像を「関係が壊れた原因を突き止める記録装置」に見立てています。
続く会話でラージとレナードが交わす短いやりとりも、このエピソードのタイトルにつながる比喩です。
Raj: You being the fish.
(つまり、魚はお前ってわけだ。)Leonard: I’m not the fish.
(僕は魚なんかじゃないよ。)TBBT Season2 Episode1 (The Bad Fish Paradigm)
ここでの the fish は、少し前にハワードが持ち出した「傷んだ魚は吐き出す」という言い回しから来ています。関係を見限られる側を魚にたとえる、この場限りの言い回しです。物語の終盤、レナードは次のデートの約束を先延ばしにされ、思わずこうつぶやきます。
Leonard: Oh God, I am the bad fish! What did I do wrong?
(ああ、なんてことだ、僕が腐った魚だったのか。一体どこで間違えたんだ?)TBBT Season2 Episode1 (The Bad Fish Paradigm)
友人たちがからかい半分で作った比喩を、レナード自身が受け入れてしまう瞬間です。エピソードタイトルの「Bad Fish」は、この一連のやりとりから生まれています。
まとめ|ペースを表す言葉と、友人たちの比喩
slow things down、wing it、black box、the fish。関係の温度差を伝える言い方から、それをおもしろおかしく分析する友人たちの比喩まで、この回にはさまざまな言い回しが積み重なっています。相手のペースに合わせる言い方と、状況をたとえで表す言い方、両方を押さえておくと、会話の引き出しが広がります。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
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