海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。『BONES』シーズン9第15話「The Heiress in the Hill」では、新しく知った家族の事実を、それぞれの人物がどんな言葉で受け止め直すかが重なって描かれます。ホッジンズは初めて会う兄の存在を、ブレナンとブースは小切手ひとつをめぐるお金の管理を、そして被害者の周辺にいた人々は罪悪感や動機を、それぞれ違う言葉に変えていきます。同じ「新しい事実」でも、誰がどんな場面でどう言葉にするかを比べると、英語表現の働き方の違いが見えてきます。
あらすじ(ネタバレなし)
『BONES』S09E15では、公園に埋められた誘拐被害者の遺骨から、資産家一族をめぐる事件が始まります。被害者の自宅や関係者への聞き取りを通じて、身代金目当ての誘拐という当初の見立てに複数の疑問が浮かんできます。同じ時期、ホッジンズは自分に実の兄がいることを知り、その事実をどう受け止めるか揺れ動くことになります。
捜査は現場に残された痕跡の確認から始まり、屋敷の管理人や家族への聞き取りが次の手がかりへとつながっていきます。ブレナンとブースの家庭では、印税小切手の名義をめぐるやり取りが進み、専門的な検分の言葉と、身近な家計の言葉が交互に現れるため、それぞれの場面で英語がどんな役割を担っているかを比べながら見ていくことができます。
このエピソードで学べる英語フレーズ
1. no can do
それはできない、無理だと軽い調子で断るときの言い方です。
Booth: Uh, no, no, no can do.
(いや、いや、それは無理だな)
ブレナンから印税小切手を代わりに銀行へ預けてほしいと頼まれたブースが、まず軽い調子で断る場面です。理由はこの時点では説明されず、次のやり取りで小切手の名義がブレナン本人になっていることが原因だとわかる流れになっています。夫婦のあいだの何気ないお願いが、あとで家計をめぐる会話に発展していく発端の一言です。
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2. got me thinking
あることがきっかけで考え始めた、という意味です。
Montenegro: So I was online looking at dream houses, which got me thinking about adding an extra room.
(夢の家をネットで見ていたら、部屋を増やそうかなって考え始めちゃって)
夫婦生活の話題からホッジンズとの将来設計へと話が移る場面で、アンジェラが住まいの計画を切り出す一言です。この直後、部屋を増やす提案は虫の研究室にも使える案として広がっていき、二人らしい実用的な発想の会話へとつながります。
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3. come up with
何かを考え出す、見つけ出すという意味です。
Booth: Why don’t you just go to your office, go through all these and see what you come up with, okay?
(自分のオフィスに戻ってこれ全部に目を通して、何かわかったか教えてくれよ)
過去の類似事件の資料をまとめて渡す場面で、ブースが相手に単独で資料を洗い出すよう指示する一言です。手渡す前には「見つけたけど、犯人はもう終身刑で服役中だ」というやり取りがあり、似た手口の事件をふるいにかける作業だとわかります。
4. make it up to
埋め合わせをする、償うという意味です。
Chuck: I can never make it up to her.
(彼女には、もう埋め合わせのしようがない)
屋敷の管理を任されていたチャックが、被害者の肌の手入れを怠ったことを悔やみ、スティーブンに向かって漏らす一言です。警報が作動しなかった経緯を確認する捜査の途中に差し込まれるやり取りで、事件の手がかりと個人的な後悔が同じ会話の中に同居しています。
5. let that sink in
その事実をじっくり受け止める、という意味です。
Montenegro: So just let that sink in.
(だから、その事実をちゃんと受け止めて)
突然知った兄の存在をどう扱えばよいか決めかねている相手に、時間をかけて消化するよう促す場面です。すぐに答えを出そうとせず、まず落ち着いて向き合う段階を置くよう促す言い方になっています。
6. when it comes to
〜のこととなると、という意味です。
Brennan: Men are so foolish when it comes to money.
(男性はお金のこととなると、本当に愚かね)
印税小切手の名義をめぐるやり取りの続きで、ブレナンが目の前の一件を人類全体の話へと広げていく一言です。個人の事情から一般論へ一気に視点が移るところに、人類学者らしい語り口が表れています。
7. get rid of
〜を排除する、始末するという意味です。
Booth: But if you could get rid of Lauren, then the kidnapping policy would kick in…
(でも、ローレンさえいなくなれば、誘拐保険が下りることになる……)
不倫関係を指摘した直後、ブースが容疑者に対して考えられる動機を突きつける場面です。愛人との関係が離婚で不利になる状況を確認したうえで、保険金という別の動機に話を広げる流れになっています。
8. go through with it
最後までやり遂げる、という意味です。
Booth: You tried to cut her up, destroy her face so we wouldn’t know who she was, but you couldn’t go through with it.
(彼女を切り刻んで顔を潰し、誰かわからなくしようとしたが、最後までやり切れなかったんだろう)
取り調べの終盤、ブースが容疑者の中途半端な犯行の跡を指摘し、心の揺れを突く場面です。この直後、ブースは「彼女を愛していたからだろう」と理由を短く言い切り、動機の核心へと踏み込みます。
9. joint account
共同名義の口座という意味です。
Brennan: To our joint account.
(私たちの共同口座に、乾杯)
小切手の名義をめぐって行き違いのあった二人が、ついに共同口座を持つに至ったことを示す乾杯の場面です。事件が解決した後の穏やかな時間に置かれた、家庭の言葉としての「共同口座」です。
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10. complete the picture
全体像を仕上げる、締めくくるという意味です。
Jeffrey: To complete the picture.
(これで、全体像が完成するね)
ホッジンズが実の兄ジェフリーと初めて向き合い、互いの持ち寄った家族写真を見せ合う場面で、ジェフリーが返す一言です。断片的にしか知らなかった家族の姿が、二人の手元に集まることでひとつのまとまりに近づいていく様子を伝えています。
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このエピソードの英語学習ポイント
印税小切手をめぐるやり取りは、お金の話し方が場面ごとに変わっていく様子を追いやすい題材です。物語の早い段階でブースは「Uh, no, no, no can do.」(いや、いや、それは無理だな)と、理由をぼかしたまま小切手の預け入れを断ります。断る側の言葉が短く、説明を先送りにしている点に注目すると、家庭内の会話でも用件と理由が同時には出てこないことがわかります。名義の問題が明らかになった後、二人は小切手を裏書きして渡すという実務的な解決に落ち着きますが、そのやり取り自体は感情的な言い合いに発展しません。金額の大きさに関わらず、事実確認と解決策の提示だけで会話が進むところに、この夫婦らしい距離感が表れています。
もう一つ注目したいのは、混乱している相手に寄り添うときの言葉選びです。「So just let that sink in.」(だから、その事実をちゃんと受け止めて)は、答えを急がせず、まず落ち着く時間を差し出す一言です。捜査の場面でも「complete the picture」(全体像を仕上げる)という表現が登場するように、ばらばらだった手がかりがひとつのまとまりに近づいていく流れは、混乱を抱えた人物が少しずつ心を整理していく流れとも重なります。感情をすぐに言葉にできない相手に対して、急かさず言葉を選んで待つという会話のかたちを、実際の場面とあわせて聞いてみると発見があります。
キャラクター別|英語の特徴
ブース|断る理由をあとから小出しにする
この回のブースは、すぐには本音や根拠を明かさない話し方を見せます。小切手を預けてほしいと頼まれた場面では、まず「Because you know what? It’s in your name.」(なあ、それはお前の名義になってるんだよ)と、断る理由を一拍置いてから付け加えます。取り調べの場面でも、容疑者を追い詰める発言のあとに「Because you loved her.」(お前が彼女を愛していたからだろう)と、短い一文で相手の動機を言い切ります。結論を先に置き、理由をあとから短く添えるという同じ話法が、家庭の軽いやり取りと取り調べという正反対の場面の両方に表れています。
ブレナン|事実を先に置いて感情を後回しにする
ブレナンは、金銭や事実に関わる話を淡々と説明したうえで、相手への配慮を行動で示すタイプです。小切手の出所について「It’s an advance against the paperback sales of my last book.」(それは私の前著のペーパーバック印税の前払い分よ)と、まず正確な情報を提示します。名義をめぐる問題がわかると、感情的な言い合いに発展させず「I’ll endorse it over to you.」(それなら、あなたに裏書きして渡すわ)と、解決策を淡々と示して場を収めます。感情を言葉にする代わりに、具体的な行動の提案で相手への気遣いを表す姿勢が一貫しています。
ホッジンズ|見つけた家族への戸惑いを言葉にし続ける
この回のホッジンズは、新しく知った兄の存在にどう向き合うかを言葉にしようともがきます。過去を振り返る場面では「I kept thinking, after… if-if we had known each other when I was growing up, maybe-maybe I could’ve helped, maybe he wouldn’t be where he is now.」(子どもの頃に互いを知っていたら、彼を助けられたかもしれないってずっと考えていた)と、言い淀みを重ねながら後悔を口にします。実際に兄と対面した場面では「Man, I never knew it, but I guess I’ve been looking for you my whole life.」(知らなかったけど、僕はずっとお前を探していたのかもしれない)と、それまでの戸惑いを肯定的な一文へと変えます。後悔を語る発話に挟まる短い間や言い直しの多さと、対面後の発話がまとまった一文になっている違いを比べると、心情の整理が進んでいく様子が言葉のかたちからも読み取れます。


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