海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン3 第16話で、法廷に立つ前にシェルドンがペニーの証言をあらかじめ台本にし、リハーサルをさせる場面の英語表現です。台本を用意して練習を持ちかける言い方と、いざ読み上げてみると生まれる不自然さの両方に注目します。
相手に言うことを仕込むときの言い回しと、その台本が浮いて聞こえてしまう瞬間を見ていきましょう。
相手の言い分を先回りして用意する言い方
裁判所に向かう直前、シェルドンはペニーを呼び止め、証人として話す内容をあらかじめ用意してきたことを打ち明けます。
Sheldon: Wait, hold on. Before we get to the courthouse, I’d like to call on your skills as an actress.
(待って、ちょっと待ってくれ。裁判所に向かう前に、君の女優としての腕を借りたい。)Penny: What is this?
(何、これ?)Sheldon: I’ve taken the liberty of scripting your appearance on the witness stand because, let’s face it, you’re somewhat of a loose cannon. Now, don’t worry, it’s written in your vernacular. So shall we rehearse?
(証人席での君の発言を、僕が勝手に台本にしておいた。だって、はっきり言って君は何をしでかすか分からないからね。安心してくれ、君の言葉遣いで書いてある。それじゃ、リハーサルといこうか?)TBBT Season3 Episode16 (The Excelsior Acquisition)
take the liberty of -ing は「勝手に〜させてもらう」という、相手の許可を得ずに何かをしたときに使う定型表現です。loose cannon は「何をしでかすか分からない危険人物」を指す言い方で、シェルドンのペニーへの信頼のなさがそのまま表れています。in your vernacular「君の言葉遣いで」という気遣いのふりをした説明に続く shall we rehearse? という誘いは、相手に選ぶ余地を与えているように見えて、実際には既に予定が決まっているという皮肉が効いています。
続くやり取りには、この皮肉がそのまま形になったような定型問答が登場します。
Penny: Do I have a choice?
(選択の余地、あるわけ?)Sheldon: Well, of course you have a choice. Although we live in a deterministic universe, each individual has free will.
(もちろん選択の余地はあるとも。僕らは決定論的な宇宙に生きているとはいえ、個人には自由意志があるのだからね。)TBBT Season3 Episode16 (The Excelsior Acquisition)
Do I have a choice? は、実質的に断れない状況で「選べるの?」と皮肉を込めて尋ねる言い方です。それに対する Well, of course you have a choice. は、額面通りには「もちろん選べる」と答えながら、決定論と自由意志という大仰な話を持ち出す点で噛み合っているようで噛み合っていません。
台本通りに読み上げると滲み出る不自然さ
いよいよペニーが、シェルドンの用意した台本を読み上げる番です。
Penny (reading): Darn tootin’, I do, if the court will excuse my homespun, corn-fed Nebraskan turn of phrase.
(そりゃもちろんあるわよ、田舎くさいネブラスカ訛りの言い回しをお許しいただけるなら。)Sheldon: Excellent. Go on.
(素晴らしい。続けて。)Penny: The reason that date is, like, so totally fixed in my memory is that I had the privilege to be witness to one of the most heroic acts I’ve ever seen in, like, ever.
(その日付がこう、めちゃくちゃ記憶に焼き付いてる理由はね、今まで見た中で一番の英雄的行為を目撃する光栄にあずかったからなの。)TBBT Season3 Episode16 (The Excelsior Acquisition)
corn-fed Nebraskan turn of phrase は「ネブラスカ育ちの素朴な言い回し」という意味で、シェルドンが書いたト書きをペニーがそのまま読み上げてしまう様子が、かえって不自然さを際立たせています。privilege to witness も同様に、シェルドン好みの大げさな表現をペニーの口調で読むことで生まれるギャップです。Excellent. Go on. は、望みどおりの台詞が返ってきたときのシェルドンの短い相づちで、演出家のような立ち位置がここにも表れています。
まとめ|相手に言葉を仕込むリハーサルの言い回し
take the liberty of scripting、loose cannon、Do I have a choice?、Well, of course you have a choice.、corn-fed Nebraskan turn of phraseと、相手の発言を先回りして用意する場面ならではの表現を見てきました。台本通りに話そうとするとかえって不自然に聞こえてしまうという皮肉も、このやり取りの見どころです。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話から、英語表現の型を見ていきましょう。
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