海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分のせいで相手に迷惑をかけてしまい、「次は必ず埋め合わせするから」と、行動で取り返したくなる瞬間があります。
そんな気持ちにぴったりの「make it up to」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン3第16話の後半、ペニーがシェルドンへの埋め合わせのため、スチュアートに頼みごとをするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「make it up to」の意味とニュアンス
make it up to someone
意味:〜に埋め合わせをする、(迷惑や損失を)償う
相手に迷惑や不利益を与えてしまったとき、別の行動でその「借り」を返そうとする表現です。単に「ごめんなさい」と謝るだけでなく、何か具体的なことをして埋め合わせる、という前向きな意志が込められているのが特徴です。”it” は「埋め合わせるべき迷惑・損失・借り」を指し、”to + 人” でその相手を示します。多くは「I’ll make it up to you(必ず埋め合わせるよ)」の形で、約束やお詫びの場面で使われます。深刻な過ちの償いから、ちょっとした約束のすっぽかしのフォローまで、幅広い場面で活躍する日常表現です。言葉だけで終わらせず、行動で誠意を示すというニュアンスが、このフレーズの核にあります。
【ここがポイント!】
- 「埋め合わせをする・償う」を表す、行動で示すお詫びの一言
- 謝罪だけで終わらせず「何かして取り返す」前向きさがある表現
- “it” が「返すべき借り」を指すと押さえると語順が崩れないのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S03E16のシーンで見てみよう
この「行動で埋め合わせる」という気持ちが、ペニーの口からどう語られるかを見てみましょう。自分のせいでシェルドンがスタン・リーに会えなかったことに責任を感じたペニーが、コミック店のスチュアートに連絡先を尋ねる場面。罪悪感を行動で晴らそうとする、彼女の優しさが見どころです。
Stuart: Sure, yeah, name it.
(ああ、何でも言って。)
Penny: Well, I’m kind of responsible for Sheldon missing Stan Lee, and I really want to make it up to him. So I was hoping you could give me his phone number.
(実は、シェルドンがスタン・リーに会えなかったのは私のせいみたいなもので、どうしても埋め合わせがしたいの。だから、彼の電話番号を教えてもらえないかなって。)
Stuart: Oh, I’m sorry, I don’t have his phone number.
(ああ、ごめん、彼の電話番号は持ってないんだ。)
シーン解説と心理考察
このやり取りからは、ペニーの根の優しさがにじみます。シェルドンが法廷沙汰に巻き込まれ、結果としてスタン・リーに会えなかった一件で、彼女はきちんと責任を感じ、ただ謝るのではなく行動で取り返そうとしています。「make it up to him」という表現を選んでいる点が象徴的で、ここには「言葉だけでなく、何かしてあげたい」という前向きな意志が表れています。普段はシェルドンの理屈っぽさに振り回されがちなペニーですが、自分に非があると分かれば素直に動く——その人柄が、さりげない一言ににじむ場面です。気軽に「何でも言って」と応じるスチュアートとの軽妙な会話のテンポも、シーンをやわらかく見せています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
「make it up to」は、”make up(埋める・作り上げる)” に “to + 人” がくっついた形だと捉えると覚えやすくなります。相手とのあいだに、迷惑という名の「へこんだ穴」が空いてしまった——その穴を、何か行動で埋めて(make up)、相手のほう(to him)へ向けてならしていく。そんな空間的なイメージです。ペニーが「自分のせいでシェルドンが損をした分を、行動で取り戻したい」と動き出す場面が、まさにこの「穴を埋めにいく」動作そのもの。”it” が「埋めるべき穴=借り」を指していると押さえておくと、make it up to him の語順もすんなり頭に入ります。
例文で覚える「make it up to」
お詫びと約束をセットで伝えたいときに、とても自然に使える表現です。3つの例文で、場面の幅を感じてみましょう。
I’m sorry I missed your party — I’ll make it up to you, I promise.
(パーティーに行けなくてごめん。必ず埋め合わせするから、約束する。)
約束を破ってしまった後の、カジュアルな謝罪。「ごめん」に行動の約束を添える定番の形です。
We canceled the order at the last minute, so we’d like to make it up to you with a discount.
(直前のキャンセルとなりましたので、割引でお詫びさせていただければと思います。)
ビジネスの場での丁寧な埋め合わせ。フォーマルな文脈でも違和感なく使えます。
A: You worked all weekend because of my mistake. I’m so sorry.
(私のミスのせいで週末ずっと働かせちゃって。本当にごめん。)
B: It’s fine, really.
(いいって、本当に。)
A: No, let me make it up to you. Dinner’s on me.
(だめ、埋め合わせさせて。夕食はおごるから。)
相手の労に報いたい会話。行動(おごる)とセットで使うと、誠意がより伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
make amends
(償いをする)
過ちに対する道義的な「償い」を表す、ややフォーマルで硬い表現です。make it up to が日常の軽い埋め合わせにも使えるのに対し、make amends は深刻な過ちや長く尾を引く問題の償いに向いています。重さの度合いが今回のフレーズとの違いです。
compensate (someone) for
(〜を補償する)
金銭や具体的な対価で埋め合わせる、というニュアンスが強い表現です。ビジネスや法的な文脈で使われることが多く、make it up to よりフォーマルで事務的に響きます。「行動や気持ち」で返すか、「対価」で返すかという点で性格が分かれます。
pay (someone) back
(お返しをする、恩を返す/仕返しをする)
「借りを返す」という点では近いのですが、良い意味の恩返しにも、悪い意味の仕返しにも使える両義的な表現です。文脈によって意味が大きく変わるため、誠意の埋め合わせに限定される make it up to とは使い分けが必要です。
Note|「ごめん」に「埋め合わせ」を添える文化
日本語で謝るとき、私たちはつい「ごめんなさい」「申し訳ありません」と、言葉での謝罪に重心を置きがちです。一方、英語圏のやり取りを見ていると、謝罪に「埋め合わせ」の一言を添える場面が驚くほどよく登場します。
その代表が、この「I’ll make it up to you(必ず埋め合わせるよ)」というフレーズです。約束をすっぽかしたとき、相手に迷惑をかけたとき、英語ではただ “I’m sorry” で終わらせず、続けて “I’ll make it up to you” と添えることで、「これからの行動で取り返す」という前向きな姿勢を示すことができます。謝罪が「過去への詫び」だとすれば、make it up to は「未来への約束」にあたり、二つをセットにすることで誠意がより伝わりやすくなるとされています。実際、ドラマや映画でも、関係を修復しようとするキャラクターがこのフレーズを口にする場面は数えきれません。このS03E16でも、ペニーは長々と謝るのではなく、「埋め合わせがしたい」と行動に踏み出すことで、自分の気持ちを形にしようとしています。
謝るだけで立ち止まらず、次の一手を差し出す——その姿勢が、このフレーズには自然と組み込まれているのですね。
まとめ|ペニーの優しさから学ぶ「埋め合わせ」の一言
「make it up to」は、相手に与えた迷惑や損失を、言葉だけでなく行動で取り返そうとする表現です。「ごめん」の先にある「次は必ず埋め合わせる」という前向きな意志を、自然に伝えられます。
このフレーズを知っておくと、謝罪の場面で、ただ詫びるだけでなく「これからどうするか」まで届けられるようになります。関係を前に進めたいときに、とても心強い一言です。
自分の非を認めてすぐ行動に移したペニーの優しさを思い出しながら、お詫びに前向きな約束を添えたい場面で、会話のレパートリーに加えてみてください。


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