「keep something close to one’s vest」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S06E05で学ぶ英会話

「keep something close to one's vest」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

大切な計画ほど、誰にも打ち明けずに一人で抱え込んでしまった経験はありませんか。

そんな胸の内をそのまま言い表す「keep something close to one’s vest」を、『ホワイトカラー』シーズン6第5話の序盤、犯罪組織を率いるウッドフォードが、潜入中のニールにだけ計画の内幕を明かす場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「keep something close to one’s vest」の意味とニュアンス

keep something close to one’s vest
意味:(計画や考えを)胸の内に秘めておく、人に明かさない

keep something close to one’s vest は、自分の計画や本音、情報を他人に明かさず、胸の内にしまっておくことを表す口語表現です。vest はここでは「ベスト、チョッキ」を指し、大事なものを胸元(vest)に引き寄せて持っておく、というイメージが語感の土台になっています。

カードゲームで自分の手札を相手に見せないようにする仕草に由来するとされ、そこから転じて、計画の全貌や本心を安易に共有しない態度全般を指すようになりました。ビジネスの交渉から個人的な胸の内まで、幅広い場面で使われる表現です。

似た響きの keep something under wraps と比べると、close to one’s vest の方が「意図的に、慎重に隠している」という能動的な姿勢がより強く感じられます。何を隠しているかを問わず、経営者の一存で決まる事業計画から、個人の恋愛感情まで、幅広い対象に使える柔軟さも、このフレーズの特徴のひとつです。

【ここがポイント!】

  • 「keep close to one’s vest」の核は、大事な情報を胸元に引き寄せて隠すイメージ
  • 計画・本音・交渉の手の内など、幅広い「秘密」に使える懐の深い表現
  • vest の代わりに chest を使う言い換えもよく使われるので、あわせて覚えておくと安心

『ホワイトカラー』S06E05のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

パンサーズの一味に潜入しているニールのもとへ、リーダーのウッドフォードが重大な打ち明け話を持ちかけます。ウッドフォードが組織内にモグラ(内通者)がいるという事実を告げたうえで、なぜニールにだけそれを話すのかが明かされる場面に注目です。

Neal: That’s a serious problem.
(それは深刻な問題だな。)

Woodford: It’s a catastrophic one. He could bring down this operation… cost me the rest of my life in prison.
(いや、破滅的な問題だ。やつはこの作戦を潰しかねない……残りの人生を刑務所で過ごすことになりかねない。)

Neal: Why tell me?
(なぜ僕に話す?)

Woodford: You are the only one I’m sure isn’t the mole. I discovered a listening device in one of my hideouts before you joined us. It’s the reason I’ve kept the plan close to my vest.
(君だけは確実にモグラじゃないとわかっているからだ。君が加わる前に、隠れ家のひとつで盗聴器を見つけた。それが、僕が計画を胸の内に秘めてきた理由だ。)

White Collar Season6 Episode5 (Whack a Mole)

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シーン解説と心理考察

「それは深刻な問題だな」というニールの短い相槌の裏には、組織内部にモグラがいるという重大発表を受け止めようとする緊張がにじんでいます。ウッドフォードが続けて口にする「残りの人生を刑務所で過ごすことになりかねない」という言葉には、組織の存続そのものに責任を負う立場の危機感が伝わってきます。

「なぜ僕に話す?」というニールの問いかけに対し、ウッドフォードは即座に理由を語り始めます。「君だけは確実にモグラじゃないとわかっている」という一言と、盗聴器を見つけたのがニールの加入前だったという説明が続き、これまで誰にも計画の全貌を明かしてこなかった慎重さと、それでもニールにだけは心を許そうとする態度の両方が表れています。犯罪組織を率いる立場でありながら、孤独に情報を抱え込んできた人物の内面が垣間見える場面です。

短いやり取りの中で、疑心の対象を絞り込む思考の速さと、根拠を淡々と示す落ち着きが同居している点も見どころです。感情を高ぶらせるのではなく、事実だけを積み上げて信頼の理由を語るウッドフォードの態度が、組織を率いる者としての一面をあらためて浮かび上がらせています。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

close to one’s vest を覚えるコツは、大事なカードを相手に見せないよう、そっと胸元に引き寄せて持つ手つきを思い浮かべることです。「情報や本音ほど、体の近くに引き寄せて守る」というイメージを持つと、このフレーズが指す「秘密を守る」感覚がすっと入ってきます。

ウッドフォードが盗聴器発見という一つの出来事をきっかけに、計画を誰にも明かさずにきた経緯を語る場面でも、まさにこの「胸元に抱え込む」姿勢がそのまま表れていました。手元に引き寄せて守るイメージごと覚えておくと、情報を明かしたくない場面でとっさに口から出てくるはずです。

例文で覚える「keep something close to one’s vest」

胸の内にしまっておく場面は、ビジネスから日常会話までさまざまです。3つの例文で、フレーズの幅を確認していきましょう。

The CEO always keeps her business plans close to her vest until the deal is finalized.
(そのCEOは、契約が確定するまで、事業計画をいつも胸の内に秘めている。)
契約成立前の情報管理を語るビジネスの場面です。until the deal is finalized を添えることで、いつまで秘密にするのかが明確になります。

He kept his true feelings close to his vest during the negotiation.
(彼は交渉中、本音を最後まで明かさなかった。)
交渉相手に本心を悟らせない駆け引きの場面です。true feelings という語で、感情面での秘密にも使える幅の広さが伝わります。

A: Do you know what they’re planning for the merger?
B: They’re keeping it close to the vest, so nobody really knows.
(A:合併について何を計画しているか知ってる?)
(B:みんな胸の内に秘めていて、誰も本当のところは知らないんだ。)
社内の噂話で計画の詳細がつかめない場面の会話です。the vest と the をつけて使う形もよく見られます。

あわせて覚えたい関連表現

play one’s cards close to the chest
(手の内を明かさない)
vest の代わりに chest を使う、ほぼ同義の言い換え表現です。由来もニュアンスも共通しており、どちらを使っても自然に通じます。

keep a low profile
(目立たないようにする)
keep something close to one’s vest が「情報や計画を隠す」ことに重点があるのに対し、こちらは「自分の存在や行動を目立たせない」ことに重点がある表現です。

under wraps
(秘密にされている、伏せられている)
keep something under wraps は主に「まだ公表されていない」という受動的な状態を指すことが多く、close to one’s vest が持つ能動的な「隠す」姿勢とは少し温度差があります。

Note|「秘密を守る」表現たちの温度差

「秘密にする」を表す英語表現は一つではありません。keep something close to one’s vest の仲間たちを並べてみると、それぞれの温度差が見えてきます。

keep something close to one’s vest と play one’s cards close to the chest は、どちらも「大事な情報を胸元に抱え込む」という同じイメージから生まれた表現で、ビジネスの交渉や個人的な秘密など、自分の意思で能動的に隠している状況でよく使われます。手札(cards)を見せない、という由来を共有しているため、どちらを使っても違和感なく通じます。一方、keep something under wraps は、公式発表前の新しい取り組みや、まだ詳細が固まっていない計画など、「まだ公にされていない」という状態そのものを指すことが多く、隠している側の意図よりも、情報がまだ表に出ていない事実に焦点が当たります。同じ「秘密」でも、能動的に守っているのか、単に公表のタイミングを待っているだけなのかで、選ぶ表現は変わってくるのです。

ウッドフォードが計画を明かさなかったのは、単に発表のタイミングを待っていたのではなく、盗聴器発見という具体的な出来事をきっかけに、自らの意思で情報を胸元に抱え込む道を選んだ結果でした。close to one’s vest が持つ能動的なニュアンスは、この場面の緊張感とそのまま重なります。

似た「隠す」表現でも、選ぶ一語で伝わる姿勢は変わってくるのですね。

まとめ|胸の内に秘めた計画と、差し出された信頼

keep something close to one’s vest は、計画や本音を胸元に引き寄せ、安易に人に明かさずにおくことを表す表現です。カードゲームの手札を隠す仕草から広がった、能動的な「秘密を守る」姿勢がその核にあります。

交渉ごとで手の内を明かしたくないときも、まだ言葉にしたくない考えを抱えているときも、この一言があれば状況を的確に言い表せます。

ウッドフォードが盗聴器発見という一つの出来事を境に、誰にも明かさずにきた計画をニールにだけ打ち明けた場面には、慎重さの奥にある信頼の重みが静かに滲んでいました。

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