海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
お客さんの足が遠のいた店を、なんとか盛り返そうと知恵をしぼる——商売をしていると、そんな踏ん張りどころが一度ならず訪れるものです。
そんな「客を呼び込む・商売を盛り上げる」を言い表す「drum up business」を、スパイコメディ『CHUCK』シーズン5第2話の前半、閑散とした勤め先バイ・モアで、モーガンが集客策を語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「drum up business」の意味とニュアンス
drum up business
意味:(宣伝や工夫で)客を呼び込む、商売を盛り上げる、需要を掘り起こす
drum は「太鼓」、drum up で「太鼓を打ち鳴らして人を呼び集める」というイメージの句動詞です。そこから、客・支持・関心などを、待つのではなく能動的に「働きかけて掘り起こす」ことを表すようになりました。business のほか、support(支持)・interest(関心)・enthusiasm(熱気)などとも結びつきます。単に「売上を上げる」と言うより、あの手この手で仕掛けて客を「起こしにいく」という、少し泥臭い能動性がにじむのが持ち味です。
【ここがポイント!】
- 核は「太鼓を打って人を呼び集める」という能動的なイメージ
- business だけでなく support・interest など「かき集める対象」を幅広く取れる
- 待つのでなく「仕掛けて掘り起こす」泥臭い積極性が出るのがコツ
『CHUCK』S05E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
スパイ業がふるわず、表向きの勤め先バイ・モアも閑古鳥。店内には西部劇さながらの回転草まで転がっています。集客のために売り場を新設したというモーガンですが、その努力もむなしく、客の姿はどこにもありません。空回りする二人の、コミカルなやり取りです。
Chuck: What? Is that an actual tumbleweed?
(え? あれ、本物の回転草?)Morgan: Yeah. Yeah, we put in a new home and garden section to drum up business. Just actually glad somebody put out the tumbleweed.
(ああ。集客のために新しいホーム&ガーデン売り場を入れたんだよ。まあ、誰かが回転草を出しといてくれて助かったぜ)Chuck Season5 Episode2 (Chuck Versus the Bearded Bandit)
シーン解説と心理考察
客が来ず、回転草が転がるほど閑散とした店内が表れています。モーガンの「集客のために売り場を新設した」という前向きな一言と、実際のガラガラの店内とのギャップが、この場面の可笑しみを生んでいます。drum up business という威勢のいい言い回しが、努力むなしく空回りしている状況と重なることで、いっそうコミカルに響きます。それでも店を立て直そうと知恵をしぼるモーガンの姿に、根の真面目さがのぞく場面です。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
drum up business は、昔の行商人や見世物小屋が、店先で太鼓をドンドン打ち鳴らして通行人を呼び込む——その光景を思い浮かべると覚えやすい表現です。drum(太鼓)を up(立ち上げる=起こす)ように、静かに眠っていた客や関心を「音を立てて掘り起こす」のが drum up。回転草まで転がるバイ・モアで、モーガンが「集客のために」と売り場を新設するこの場面に、太鼓で客を呼ぼうとする姿を重ねてみましょう。聞こえるのは風の音だけ、というコメディな空回りごと覚えると、「能動的にかき集める」ニュアンスが体に残ります。
例文で覚える「drum up business」
drum up business は、客や需要を「積極的に掘り起こす」場面で幅広く使えます。business 以外の対象とも組み合わせながら、3つの例文で見ていきましょう。
The bakery offered free samples to drum up business.
(そのパン屋は集客のために試食を配った。)
小さな店が客足を増やそうと工夫する場面です。もっとも基本的な「集客」の使い方になります。
They held a launch party to drum up interest in the new app.
(彼らは新アプリへの関心を高めようと、ローンチパーティーを開いた。)
business の代わりに interest を置いた形です。「話題や関心をかき立てる」文脈にも自然に使えます。
A: The shop’s been so quiet lately.
B: I know—let’s run a weekend sale to drum up business.
(A:最近、店がすごく静かだね。)
(B:だよね。週末セールで客を呼び込もう。)
売上不振をなんとかしようと相談する会話です。「仕掛けて客を起こす」という能動性が、そのまま出せます。
あわせて覚えたい関連表現
generate business
(商売・収益を生み出す)
より中立的でビジネス文書的な言い方です。drum up が「働きかけてかき集める」泥臭い能動性を持つのに対し、generate は淡々と「生み出す」ことを表します。
attract customers
(客を引きつける)
「引き寄せる」結果に焦点があります。drum up business が「太鼓を打つ=積極的に仕掛ける」過程を指すのに対し、こちらは引き寄せられた結果に目が向きます。
stir up interest
(関心をかき立てる)
stir up は「かき混ぜて煽る」イメージです。drum up と近い働きかけの表現ですが、stir up はやや波風を立てる・扇動的な含みも帯びやすい点が違います。
Note|drum up の「太鼓」はどこから来たのか
drum up business の drum は、文字どおり「太鼓」を指します。ではなぜ太鼓が「商売をかき集める」意味につながったのでしょうか。
もともと drum up は、軍隊や行商が太鼓(drum)を打ち鳴らして、兵士や客を一箇所に「呼び集めた」動作に由来するとされています。太鼓の大きな音は、遠くまで届き、人々の足を止めさせ、その場へ引き寄せる力を持っていました。この「音を立てて人を集める」という物理的な行為が、やがて「支持・客・関心を、働きかけて集める」という比喩へと広がっていったと考えられます。かつて英語で drummer が「(各地を回る)セールスマン」を指した時代があったことも、太鼓と商売がイメージのうえで結びついていた名残と言えそうです。ここから、drum up business(客をかき集める)、drum up support(支持を集める)、drum up enthusiasm(熱気を盛り上げる)といった言い回しが定着しました。いずれも、静かに待つのではなく、こちらから音を立てて相手を「起こしにいく」という能動性が共通しています。
劇中のモーガンに戻ると、彼が売り場を新設して drum up business しようとする姿は、まさに「太鼓を打って客を呼ぼう」とする試みでした。もっとも、鳴っていたのは太鼓ではなく、回転草の転がる乾いた風の音でしたが。
言葉の奥には、人を呼び集めてきた太鼓の記憶が響いているのですね。
まとめ|空回りする集客から学ぶ「呼び込む」の一言
drum up business は、太鼓を打って人を呼び集めるイメージから、「客や需要を積極的に掘り起こす・商売を盛り上げる」を表す表現でした。business だけでなく support や interest とも結びつき、待つのではなく「仕掛けて起こしにいく」能動性が持ち味です。
お店の集客でも、プロジェクトの支持集めでも、「こちらから働きかけて盛り上げる」場面で、この一言はぴたりとはまります。
回転草の転がる店内でモーガンが口にしたこの表現を、あなたの会話のレパートリーに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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