海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人や家族が同じ話を何度も別の相手に持ち込んでは、うんざりされている場面に居合わせたことはないでしょうか。
そんな空気にぴったりの「go around doing something」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン12第5話の前半、妻に代わってペニーに科学の話を聞かせに来たシェルドンをたしなめるレナードの一言から、一緒に見ていきましょう。
「go around doing something」の意味とニュアンス
go around doing something
意味:あちこちで(迷惑な行動を)して回る
go around doing somethingは、ある人が同じ行動を色々な場所や相手に対して繰り返していることを、やや非難めいた調子で指摘する口語表現です。go around(あちこち動き回る)にdoing something(何かをしている)を重ねることで、一箇所にとどまらず次々に同じことを繰り返しているという、広がりのイメージが生まれます。
特に”You can’t go around …ing”という否定命令の形で使われることが多く、「そんなことをあちこちでして回っちゃだめだ」という忠告・たしなめの定型として定着しています。愚痴をこぼして回る、自慢話をして回る、人の話を遮って回るなど、周囲を辟易させる習慣的な行動を指摘する場面で重宝する表現です。単発の失敗を責める言い方ではなく、「またやっているのか」という繰り返しの多さそのものに焦点を当てているのが、この表現のもう一つの特徴です。
【ここがポイント!】
- 核は「同じ行動をあちこちで繰り返している」という広がりのイメージ
- “You can’t go around …ing”の形でたしなめ・忠告の定型になりやすい表現
- 否定文で使うとやや非難めいた響きが強まるのが読み取りのコツ
『ビッグバン★セオリー』S12E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
エイミーが残業でいなかったため、シェルドンが代わりにペニーを捕まえて長々と科学の話をしていた場面に、レナードが声をかけます。またかと言いたげなペニーの様子と、レナードの一言に注目です。
Penny: Leonard!
(レナード!)Leonard: Sheldon. Didn’t see you there. What’s up?
(シェルドン。いたのに気づかなかったよ。どうしたんだ?)Penny: Well, he was excited to talk science with Amy, but she was working late, so he decided to come over and share it with me. With me, Leonard. With me.
(それがね、エイミーと科学の話で盛り上がりたかったのに、エイミーが残業でいなかったから、こっちに来て私に話すことにしたんだって。私によ、レナード。私に。)Leonard: Sheldon, we’ve talked about this. You can’t go around boring other people’s wives.
(シェルドン、その話は前にもしたよな。人の奥さんをあちこちで退屈させて回っちゃだめだ。)The Big Bang Theory Season12 Episode5 (The Planetarium Collision)
シーン解説と心理考察
「レナード!」というペニーの呼びかけには、また巻き込まれたという小さな抗議がにじんでいます。「私によ、レナード。私に」と繰り返す言い方には、エイミーの代わりに延々と科学の話に付き合わされたことへの呆れが表れています。
対するレナードの「その話は前にもしたよな」という切り出し方からは、これが初めての出来事ではないことがうかがえます。「人の奥さんをあちこちで退屈させて回っちゃだめだ」という忠告も、深刻な叱責というより、長年の付き合いで身についた軽い調子のたしなめとして響きます。新婚のシェルドンがエイミーの忙しさを持て余し、つい身近な人を捕まえて話し込んでしまう様子が、この短いやり取りに凝縮されています。当のシェルドン自身は自分の行動を迷惑だと自覚していない様子で、レナードの忠告がどこまで届いているのかは定かではありません。それでも繰り返し同じ注意をしてしまうレナードの姿には、長年の付き合いだからこそ持てる根気強さがにじんでいます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
go(行く)にaround(あちこち)を重ねた動きのイメージに、doing something(何かをしている)を組み合わせて、同じ話を抱えたまま次々に相手を変えていく人物を思い浮かべてみましょう。
ある相手から別の相手へ、そしてまた別の誰かへと、シェルドンが同じ科学談義を運び歩いている様子は、まさにこのフレーズの動きそのものです。話の中身は変わらないのに、聞かせる相手だけが次々に入れ替わっていく。そのイメージが、あちこちでして回るという感覚を記憶に定着させてくれます。同じ荷物を担いだまま、次々に届け先を変えていく配達人のような姿を思い浮かべても、記憶に残りやすいかもしれません。
例文で覚える「go around doing something」
たしなめの定型として使われることが多いgo around doing somethingを、3つの例文で確認していきましょう。
You can’t go around telling everyone your opinions like that.
(そんなふうにみんなに自分の意見を押し付けて回っちゃだめだよ。)
友人の言動をやんわりたしなめる日常会話の場面です。you can’tの否定形が、忠告らしい響きを生んでいます。
He goes around bragging about his new car to anyone who’ll listen.
(彼は聞いてくれる人がいれば誰にでも新しい車の自慢をして回る。)
自慢話が多い知人を評する場面です。anyone who’ll listenを添えると、相手を選ばず繰り返している様子がより伝わります。
A: Why does she always seem exhausted?
B: She goes around helping everyone with their problems and forgets to rest herself.
(A:彼女っていつも疲れてるよね、なんで?)
(B:みんなの悩みを聞いて回って、自分が休むのを忘れてるんだよ。)
友人の性格を説明する会話です。helping everyoneのように良い意味の行動にも使え、必ずしも非難だけの表現ではないことが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
go about doing something
(用事をこなして回る)
go around doing somethingが非難のニュアンスを伴いやすいのに対し、go about doing somethingは中立的に「普段どおり物事を進める」ことを表します。
make a habit of doing something
(〜することを習慣にする)
go around doing somethingが「あちこちで」という広がりに焦点を置くのに対し、make a habit of doing somethingは繰り返しの習慣化そのものに焦点があります。
run around doing something
(あちこち走り回って〜する)
go around doing somethingが非難の響きを含みうるのに対し、run around doing somethingは単に忙しく動き回っている様子を表す、より中立的な表現です。
Note|go around / go about / run aroundの使い分け
「あちこちで」という動きを表す表現は、go around doing something以外にもいくつかあり、ニュアンスの違いを知っておくと使い分けがぐっと楽になります。
go around doing somethingは、先ほど見たように「同じ行動を色々な相手に繰り返している」ことをやや非難めいた調子で指摘する表現です。これに対しgo about doing somethingは評価的な色合いが薄く、He went about his business as usual.(彼はいつもどおり自分の用事をこなした)のように、淡々とした日常の描写にふさわしい表現になります。さらにrun around doing somethingになると非難のニュアンスはほぼ消え、She’s been running around doing errands all morning.(彼女は朝からずっと雑用で走り回っている)のように、忙しく動き回っている様子の描写に重心が移ります。同じ「around」を使っていても、goとrunの違いだけで立ち止まっているか動き回っているかの印象が変わってくるのが興味深いところです。
こうして並べてみると、go around doing somethingが持つ「あちこちで、しかもやや迷惑そうに」という響きの独自性がはっきりします。単に「around」を使った表現をひとまとめに覚えるのではなく、動詞と文脈の組み合わせで温度感が変わることを意識しておくと、シェルドンのような困った行動を説明する場面でも、迷わずこのフレーズを選べるようになります。3つとも動詞のイメージこそ違えど、「じっとしていない」という点は共通しており、そこに非難・中立・忙しさのどの色を乗せるかが使い分けの決め手になります。
似た形の表現ほど、細部の違いが記憶の助けになるものです。
まとめ|夫婦の日常に滲む、レナードの『またか』
go around doing somethingは、同じ行動をあちこちで繰り返す様子を、やや非難めいた調子で指摘する口語表現です。
愚痴や自慢話、割り込みなど、周囲を辟易させる習慣的な行動を「そんなことをあちこちでして回っちゃだめだ」とたしなめる場面で、会話にそのまま溶け込みます。
エイミーの代わりにペニーを相手にしてしまうシェルドンと、それを軽くいなすレナードのやり取りには、長年の付き合いだからこそ成り立つ気安さが漂っていました。似たようなことを繰り返す身近な誰かの顔が思い浮かんだ人には、特に馴染みやすい一言かもしれません。あちこちで繰り返される困った習慣を指摘する一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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