海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分の見た目や持ち物にちょっとしたいたずらをされて、思いのほか腹立たしい気持ちになった経験はありませんか。
そんな時にぴったりの「take kindly to」を、『モダンファミリー』シーズン1第14話の前半、自分の広告写真にいたずら書きをされたフィルが不満をこぼす場面から、一緒に見ていきましょう。
「take kindly to」の意味とニュアンス
take kindly to
意味:好意的に受け止める(多くはdon’tを伴い「気に入らない、我慢ならない」)
take kindly toは、肯定形で使われることもありますが、実際にはdon’t/didn’tなどの否定形で使われることが圧倒的に多い表現です。「〜を快く受け入れない」、つまり「〜が気に入らない、腹立たしい」という強い不快感を表します。
批判や予期しない変更、思いがけない行動に対して「それは受け入れがたい」と伝えたい場面で使われ、ビジネスの場でも日常会話でも幅広く登場します。kindly(親切に)という単語が入っているにもかかわらず、実際に使われる場面のほとんどは不快感を表すという、意味と語感のギャップも覚えておくと理解が深まる表現です。文の形も柔軟で、to の後ろに動名詞を続けて「何に対して不快感を抱いているのか」を具体的に添えることができるため、単に「気に入らない」と言うよりも、対象をはっきり示したい時に便利な言い回しといえます。
【ここがポイント!】
- 「take kindly to」の核は、何かを快く受け入れられないという強い拒否感
- kindlyという単語とは裏腹に、否定形で不快感を表す場面が圧倒的に多い
- don’t/didn’tを伴う形で覚えておくと、実際の使われ方にすっと馴染む
『モダンファミリー』S01E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
不動産営業のフィルが、自分の広告写真にいたずら書きをされたことへの不満を語っています。その直後に仕事の電話が鳴り、担当していた契約が破談になりかけていることを知らされる場面です。
Phil: So obviously, I need strangers to trust me. I don’t take kindly to it when someone Tom Sellecks my bus bench. Phil Dunphy.
(だから当然、見知らぬお客さんに信頼してもらう必要があるんだ。誰かに俺のバス停広告にトム・セレックみたいないたずら書きをされるのは気に入らないんだよね。……フィル・ダンフィーです。)Barbara: Phil, it’s Barbara. The Pattersons wanna back out of the deal.
(フィル、バーバラよ。パターソンさんご夫妻が契約を取りやめたがっているの。)Phil: Why? What happened?
(なんで? 何があったんだ?)Barbara: The wife’s getting cold feet. I told her to call you.
(奥さんが急に不安になっちゃって。あなたに電話するように言っておいたわ。)Phil: Okay, fine.
(わかった、いいよ。)Modern Family Season1 Episode14 (Moon Landing)
シーン解説と心理考察
フィルは「見知らぬお客さんに信頼してもらう必要があるんだ」と自分の営業スタイルを語り、「誰かに俺のバス停広告にトム・セレックみたいないたずら書きをされるのは気に入らないんだよね」と不満を口にします。俳優の名前をそのまま動詞のように使ってバス停広告に手を加えられたことを表すこの一言には、見た目の印象を仕事道具として大切にしているフィルらしい価値観が表れています。
そこへ電話が鳴り、フィルが「フィル・ダンフィーです」と応対すると、バーバラが「パターソンさんご夫妻が契約を取りやめたがっているの」と報告します。フィルが「なんで? 何があったんだ?」と尋ね返すと、バーバラは「奥さんが急に不安になっちゃって」と経緯を説明しています。広告への不満から一転して仕事のトラブル対応に切り替わるこの流れに、営業職として常に何かしらのプレッシャーにさらされているフィルの日常がにじみます。「わかった、いいよ」と即座に応じる最後の一言には、愚痴をこぼしながらも仕事となれば気持ちを切り替える、営業マンとしての慣れも同時に表れています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
差し出された物を、笑顔で受け取るのではなく、思わず顔をしかめて押し返してしまう場面を思い浮かべてみましょう。kindly(親切に)受け取るはずが受け取れない、そのちぐはぐな拒否感がtake kindly toの芯にあります。
フィルが語った「気に入らないんだよね」という一言も、自分の大切な広告写真を軽く扱われたことへの、まさにこの押し返したくなる気持ちを表したものでした。多くの場合はdon’tを伴って使われる表現だと意識しておくと、似たような苛立ちを感じた場面でも言葉がすっと出てきやすくなります。
例文で覚える「take kindly to」
批判や予期しない出来事への不快感を伝える時によく使われるtake kindly toを、3つの例文で確認していきましょう。
He doesn’t take kindly to being told what to do.
(彼は指図されるのを快く思わない。)
人の性格や反応の傾向を説明する場面です。being told what to doのように動名詞を続けることで、何に対して不快感を抱くのかを具体的に示せます。
A: Did you tell her about the mistake? B: Yeah, and she didn’t take kindly to it at all.
(A:彼女にミスのこと話した? B:うん、それで全然快く思ってなかったよ。)
報告や相談の結果を友人に話す何気ない会話です。at allを添えると、不快感の強さがより伝わりやすくなります。
The neighbors didn’t take kindly to the loud music late at night.
(近所の人たちは夜遅くの大音量の音楽を快く思わなかった。)
近隣トラブルを語る日常会話の場面です。具体的な迷惑行為の内容を添えることで、何が受け入れがたかったのかが明確になります。
あわせて覚えたい関連表現
not sit well with someone
((人)の気に入らない、しっくりこない)
take kindly toが特定の行為や発言に対する直接的な反応を表すのに対し、not sit well withはより広く状況全体への違和感を表す点が異なります。
resent
(憤慨する、恨みに思う)
take kindly toの否定形が一時的な不快感を表すことが多いのに対し、resentはより持続的で根深い不満を表す動詞で、感情の重さに違いがあります。
be offended by
((〜に)気分を害される)
take kindly toの否定形が「受け入れがたい」という反応全般を指すのに対し、be offended byは自尊心が傷つけられたという、より個人的な感情に焦点がある表現です。
Note|アメリカの営業職における「見た目の信頼感」の重視
フィルのように顔写真を大きく掲げた広告を出す不動産営業は、アメリカでは珍しい光景ではありません。
見知らぬ相手に家という高額な買い物を任せてもらうためには、まず「この人になら任せられそうだ」という第一印象が重要になります。清潔感のある笑顔や、きちんとした身なりの写真を街中の看板やバス停の広告に掲げることは、単なる自己アピールではなく、信頼関係を築く前段階の営業活動として位置づけられています。フィルが広告写真へのいたずら書きに敏感に反応したのも、それが単なる悪ふざけではなく、自分の営業スタイルの土台を揺るがすものだと感じたためだと考えられます。名刺代わりの笑顔の写真を街に掲示するという文化そのものが、口コミよりも先に「見た目の信頼感」で勝負する営業のあり方を物語っています。実際に会って話す前から相手にどう見られるかを意識する姿勢は、対面での商談が重視される不動産業ならではの特徴とも重なります。
フィルが「気に入らないんだよね」と語ったのも、こうした見た目重視の営業活動を大切にしているからこそのこだわりだったといえます。広告写真ひとつにここまでこだわる姿からは、営業職という仕事における自己プロデュースの重みが伝わってきます。人当たりの良さそのものが商品の一部として扱われる仕事だからこそ、写真の扱われ方にも敏感にならざるを得ないという事情も見えてきます。
第一印象を大切にする姿勢は、こうした細部への気配りにも表れています。
まとめ|快く思えない気持ちを表す一言
take kindly toは、何かを快く受け入れられない気持ちを伝える口語表現です。
多くの場合don’tを伴って使われ、批判や予期しない出来事への不快感を語る場面で幅広く活躍する一言です。
自分の広告写真へのいたずら書きに苛立ちながらも、仕事の電話が鳴れば即座に営業モードへ切り替えるフィルの姿には、見た目にこだわりながらも実務はしっかりこなす、営業職としての一面が垣間見えました。


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