海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
先に行こうとする相手を、思わず「待って」と呼び止めた経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「wait up」を、『モダンファミリー』シーズン3第1話の後半、義理の息子フィルに率直な思いを伝えられた義父ジェイが、話を続けようと呼びかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「wait up」の意味とニュアンス
wait up
意味:(先に行かず)待つ、待ってくれ
wait upはwaitだけよりもカジュアルな口語表現で、先に歩いて行ってしまう相手を呼び止める時によく使われます。upが加わることで、その場に踏みとどまって相手を待つという動作のまとまりが強調される言い方になります。
友人や家族間のカジュアルな呼びかけとして、先を歩き出した相手を追いかけながら声をかける場面でよく使われる表現です。「寝ないで待つ」という別の意味もあるため、文脈で読み分ける必要がありますが、誰かが物理的に先へ進もうとしている場面であれば、たいていは呼び止める意味だと考えて差し支えありません。
単に「待って」と伝えるだけでなく、これから話したいことがある、一緒に行きたいといった続きの用件を伴うことが多いのも、この表現の特徴です。呼び止めた後にどんな言葉が続くかによって、その場の空気がぐっと変わってきます。
【ここがポイント!】
- 「wait up」の核は、先を行く相手に足を止めてもらうよう呼びかけるイメージ
- waitより口語的で、友人や家族とのカジュアルな場面に馴染む
- 「寝ないで待つ」の意味もあるため、状況から読み分ける
『モダンファミリー』S03E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。フィルが朝食での義父ジェイの軽口について率直な思いを伝えると、ジェイがフィルを呼び止めます。真剣に話すフィルに、ジェイがどんな言葉を返すのかに注目です。
Phil: I want to talk to you about that son-in-law crack you made at breakfast.
(朝食の時に言ってた、俺を「婿」呼ばわりするあの軽口について話したいんだけど。)Jay: Oh, I didn’t mean anything by that.
(ああ、別に深い意味はなかったんだ。)Phil: I think you did. I get that I wasn’t your first choice to marry Claire, but it’s been 18 years, and there hasn’t been a day when I wasn’t a loyal husband to your daughter and a great dad to your grandkids. So if we’ve still got a problem, now it’s your problem.
(いや、あったと思うよ。クレアと結婚する相手として、俺が一番手じゃなかったのは分かってる。でも、もう18年だ。俺はずっとあなたの娘の誠実な夫で、孫たちの立派な父親でいたつもりだ。だから、それでもまだ問題があるって言うなら、今度はあなたの問題だよ。)Jay: Phil, wait up. Let me ask you something, man to man.
(フィル、待ってくれ。男同士として、ひとつ聞かせてくれ。)Phil: Okay.
(いいよ。)Modern Family Season3 Episode1 (Dude Ranch)
シーン解説と心理考察
フィルは「朝食の時に言ってた、俺を『婿』呼ばわりするあの軽口について話したいんだけど」とジェイに切り出します。ジェイが「ああ、別に深い意味はなかったんだ」と軽く流そうとすると、フィルは「いや、あったと思うよ」とはっきり返し、「クレアと結婚する相手として、俺が一番手じゃなかったのは分かってる。でも、もう18年だ」と、これまでの自分の歩みをはっきりと伝えていきます。
フィルが真剣に思いを伝え終えると、ジェイは「フィル、待ってくれ。男同士として、ひとつ聞かせてくれ」と切り出します。フィルが短く「いいよ」と応じます。ところがジェイが聞きたかったのは、フィルの訴えへの返事ではなく、自分の妻グロリアをめぐる別の心配ごとでした。真剣な話をさらりとかわして自分の関心ごとへ話を移してしまうところに、ジェイらしい素っ気なさが表れています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
先を行く相手の背中に向かって「待って!」と声を張り上げ、足を止めさせるイメージを思い浮かべてみましょう。話を終えたフィルにジェイが投げかけた一言も、まさに相手をその場に引き留めるための呼びかけでした。
歩き出した相手を呼び止める動作と結びつけて覚えておくと、実際に誰かを追いかけたくなった場面でも自然に思い出せるはずです。呼び止めた後にどう続けるかまでセットで思い浮かべておくと、とっさの場面でも言葉が出やすくなります。
例文で覚える「wait up」
wait upは、先を歩き出した相手を呼び止めたい場面で使われるカジュアルな表現です。3つの例文で、使われ方の幅を確認していきましょう。
Wait up! I’m coming too.
(待って! 私も行くから。)
先を歩く相手を追いかける場面です。I’m coming tooを続けることで、一緒に行きたいという気持ちがはっきり伝わります。
Hey, wait up, guys, I can’t walk that fast.
(ねえ、待ってよ、そんな速く歩けないって。)
友人グループに置いていかれそうな場面です。理由を添えることで、単なる呼びかけよりも切実さが伝わります。
A: I’m heading to the car.
B: Wait up, I forgot my jacket.
(A:車に向かうね。)
(B:待って、上着忘れた。)
出発する相手を呼び止める会話です。理由を一言添えると、待ってほしい事情がすぐに伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
hold on
(ちょっと待って)
hold onはその場で少し待ってほしい時に使いますが、wait upは相手を呼び止める場面でよく使われる表現です。
hang on a second
(少し待って)
hang on a secondは電話や作業の途中で少し時間をもらう時に使われ、wait upのように移動中の相手を呼び止める場面には限りません。
catch up with someone
(人に追いつく)
catch up with someoneは自分が追いつく行為そのものを表しますが、wait upは相手に足を止めてもらうよう呼びかける表現です。
Note|”wait up”の2つの顔、呼び止めると寝ないで待つの見分け方
wait upには、実は大きく分けて2つの意味があります。ひとつは今回のジェイのように相手を呼び止める意味、もうひとつは「寝ないで誰かの帰りを待つ」という意味です。
この2つを見分ける手がかりは、その場に登場人物が動いているかどうかです。誰かが歩き出そうとしている、あるいは先に進もうとしている場面であれば、たいていは呼び止める意味のwait upです。一方、Don’t wait up for me.(私を待たずに先に寝ていて)のように、夜遅くなる家族に向けて使われる場合は、寝ないで待つという意味になります。この場合は、話し手がその場におらず、これから帰宅する予定であることが多いのも手がかりのひとつです。物理的にその場で移動している相手に向けた一言か、離れた場所にいる相手へ向けた一言かという違いに注目すると、どちらの意味かを判断しやすくなります。
会話の相手がその場を離れようとしている最中に発せられたwait upであれば、まず呼び止める意味だと考えて間違いありません。反対に、電話越しや置き手紙のような、相手が離れた場所にいる状況で使われていれば、寝ないで待つ意味である可能性が高くなります。動作のタイミングと話し手・聞き手の距離、この2点を意識しておくと、初めて出会った文でも迷わず読み分けられるようになります。
ジェイがフィルに向けた「wait up」は、目の前の相手を引き留める、前者の使い方でした。2つの意味の違いを知っておくと、似たような場面に出会ったときにも迷わず読み取れるようになります。
同じ言葉でも、場面によって読み方が変わる。それもまた英語表現の面白さのひとつです。
まとめ|呼び止める一言が、次の会話を引き寄せる
wait upは、先を行こうとする相手にその場で足を止めてもらうための、カジュアルな呼びかけの表現です。
waitだけよりも口語的で、友人や家族とのやり取りに自然に馴染む響きを持っています。
朝食での軽口をめぐって真剣に向き合ったフィルの言葉を、ジェイが「wait up」でさらりと受け流して自分の用件へ話を移す場面には、二人の温度差がそのまま表れていました。誰かを呼び止めたくなったときの一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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