海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
近所の人や職場の誰かと、ほんの小さなことでもめてしまい、あとから「あれは何だったんだろう」と話のネタにしたことはありませんか。
そんな軽いいざこざを表す「a run-in with someone」を、『モダンファミリー』シーズン4第9話の前半、クレアがヘイリーの大学時代の出来事を切り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「a run-in with someone」の意味とニュアンス
a run-in with someone
意味:(人や機関と)ちょっとした衝突をすること、いざこざ
a run-in with someoneは、誰かとの短いもめ事や言い争い、ちょっとした衝突を指す名詞の表現です。run-inはrun(走る)とin(中へ)がハイフンでつながった名詞で、withのあとに相手を置きます。「a run-in with my boss」なら上司との口論、「a run-in with the law」なら警察とのトラブルというように、相手が人でも機関でも同じ形で使えます。
「a little run-in」のようにlittleを添えると、大ごとではない軽めの衝突という響きになります。控えめな言い方で切り出すと、話し手の口調がやわらかくなります。
使い方の基本は、have a run-in withのようにhaveと組み合わせる形です。「〜と一悶着あった」という経験を語るときに使え、過去の出来事を振り返る場面と相性がよい表現です。似た形のrun intoは「偶然出会う」という別の意味なので、名詞のrun-inとは切り分けて覚えておくと混同を防げます。
【ここがポイント!】
- 「a run-in with + 相手」の形で、人にも機関にも使える、ちょっとした衝突を表す名詞表現
- 「a little run-in」のようにlittleを添えると、大ごとではない軽い響きになる
- have a run-in withの形で、過去の一悶着を語るときに使える基本の組み合わせ
『モダンファミリー』S04E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーが社会奉仕活動を行うことになった事情を、クレアがまず切り出し、フィルとヘイリー本人が言葉を重ねていく場面です。逮捕の経緯から処分の内容まで、三人の発言が短く交互に続く流れに注目です。
Claire: Haley had a little run-in with the law in college.
(ヘイリーは大学のとき、ちょっと警察沙汰になったのよ。)Phil: She was arrested for assaulting a police officer.
(警察官への暴行で逮捕されたんだ。)Haley: Accidentally. I fell on him.
(偶然よ。彼の上に転んだだけ。)Phil: While evading arrest for underage drinking.
(未成年飲酒の逮捕から逃げている最中にね。)Haley: That was on purpose.
(それはわざとだったけど。)Claire: They were very lenient with her. She only has to do community service.
(向こうはヘイリーにとても寛大だったの。社会奉仕活動だけでいいのよ。)Haley: Because I do not have any priors.
(前科がないからよ。)Modern Family Season4 Episode9 (When a Tree Falls)
シーン解説と心理考察
クレアは「a little run-in with the law」という控えめな言い方で、ヘイリーの大学時代の出来事を話し始めます。lawは法そのものではなく、法を執行する側を指す語で、ここでは警察との関わりを遠回しに言い表しています。
続くフィルの一言で、それが警察官への暴行での逮捕だったことが明らかになります。すると、ヘイリー本人が「偶然よ。彼の上に転んだだけ」と言い添えます。フィルが未成年飲酒の逮捕から逃げている最中の出来事だと補うと、ヘイリーは「それはわざとだったけど」と返します。「偶然」と「わざと」が同じ話の中に並び、ヘイリー自身がフィルの説明に一言ずつ注釈を加えていく流れが会話の温度を変えています。
処分については、クレアが「向こうはとても寛大だった」「社会奉仕活動だけでいい」と説明します。ヘイリーはそこに「前科がないから」と自分から理由を添えて、このやり取りは締めくくられます。最初の「a little run-in」という軽い言い方のあとに、逮捕から処分までの具体的な話が続く点が、この場面の見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
run-inは、走ってきた相手と勢いよく行き当たる場面を思い浮かべると覚えやすい表現です。「run(走る)」と「in(中へ)」が組み合わさって、相手の懐へ走り込んでぶつかるイメージになります。ぶつかると言っても、軽くごつんと当たった程度の小さな衝突が、a run-inの基本の大きさです。
クレアの台詞では、そのごつんが「a little run-in with the law」という言い方で語られていました。あとに続くフィルとヘイリーの発言を聞くと、実際の出来事はもう少し具体的だったことがわかります。控えめな言い方と、中身のギャップに目を向けて覚えておくと、この表現の軽さが記憶に残ります。例文で使うときも、相手はwithのあとに置くと決めておけば、語順で迷うことがなくなります。
例文で覚える「a run-in with someone」
相手を「with」のあとに置くa run-in with someoneを、3つの例文で見ていきましょう。
I had a little run-in with my neighbor about the parking space.
(駐車スペースのことで、隣人とちょっとしたいざこざがあったの。)
近所づきあいの愚痴を話す場面です。about のあとに原因を続けると、何をめぐるもめ事だったのかまで伝えられます。
He had a run-in with his manager over the schedule change.
(彼はシフト変更のことで、マネージャーとぶつかったんだ。)
同僚の職場トラブルを話す場面です。overを使って、もめた原因を示す言い方です。ビジネスの話題にもそのまま使えます。
A: You seem upset. What happened?
B: I had a run-in with the client this morning, so I’m not in the mood.
(A:機嫌が悪そうだね。何があったの?)
(B:今朝クライアントと一悶着あって、そういう気分じゃないんだ。)
同僚に理由を聞かれて答える会話です。this morningのように時を添えると、少し前に起きた出来事だと伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
a brush with the law
(警察沙汰になりかけたこと、法に触れかけたこと)
brushは「かすめる」の意味で、警察との関わりが軽く触れた程度であることを表します。a run-in with the lawは、実際にぶつかったという具体的な衝突の響きがある点が違いです。
clash with someone
(人と衝突する、対立する)
意見や性格のぶつかり合いを表す動詞の表現です。a run-inは名詞で、ひとつの出来事としてのもめ事を指す形が中心です。
run into someone
(人に偶然出会う)
つづりは似ていますが、run intoは偶然会うという別の意味です。「もめ事」の意味で使えるのは、名詞のa run-in withのほうです。
Note|「警察沙汰」と「a little run-in with the law」、日本語に置き換えるとどう変わるか
a run-in with the lawを日本語にするとき、「警察沙汰」という訳語をそのまま当てはめると、温度が変わってしまうことがあります。
日本語の「警察沙汰」は、警察が関わるほどの出来事、つまり事件性の強い響きを持つ言葉です。一方、英語のa run-in with the lawは、警察や司法との間に起きた衝突を、run-inという軽めの名詞で表します。しかもクレアの台詞には「a little」が付いていて、大ごとではないという控えめな言い方になっています。lawは法律そのものではなく、法を執行する側を指しているため、「法とのいざこざ」と直訳するよりも、「警察とのいざこざ」と訳したほうが意味は伝わります。
今回の和訳は、「ちょっと警察沙汰になったのよ」となっています。「警察沙汰」で事柄を示しながら、a littleの軽さを「ちょっと」で補い、クレアの軽い切り出し方を残した訳し方です。状況によっては、「警察とちょっともめた」「警察に関わる小さなトラブルがあった」のように、もう少し温度を下げる訳も選べます。
訳語を選ぶ場面では、辞書の訳語をそのまま採用せず、a littleのような控えめな言葉と、run-inという名詞の軽さを、一緒に日本語へ移せているかを確かめると、原文の温度に近づきます。同じ手順は、run-in以外の名詞表現を訳すときにも役立ちます。
まとめ|軽い言い方の奥に、具体的な出来事がある
a run-in with someoneは、人や機関とのちょっとしたいざこざを、名詞ひとつで言い表す表現です。
with のあとに相手を置くだけで、上司との口論から警察とのトラブルまで、幅広い相手との衝突を語れます。littleを添えれば控えめに、何が原因だったかを続ければ具体的に、と話し手の伝え方に合わせて温度を調整できる点も、この表現の使いやすさです。
クレアの「a little run-in with the law」という切り出しのあとに、フィルとヘイリーが逮捕の経緯を重ねていく場面では、軽い言い方の奥に具体的な出来事が控えている様子が描かれていました。ちょっとしたもめ事を語りたい場面で使えるよう、表現の引き出しに加えてみてください。


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