「be stretched thin」の意味と使い方|『モダンファミリー』S05E03で学ぶ英会話

「be stretched thin」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

頼まれごとを引き受けたいのに、今日はもう自分の時間も気力も残っていない、という日はありませんか。

そんなときに使える「be stretched thin」を、『モダンファミリー』シーズン5第3話の序盤、クレアが夫のフィルにいくつもの用事を頼む場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「be stretched thin」の意味とニュアンス

be stretched thin
意味:人手・時間・気力が足りず、手が回らない状態にある

be stretched thinは、限られた時間や人手や気力を、たくさんの用事に振り分けた結果、ひとつひとつに回せる分が薄くなってしまっている状態を表す表現です。stretchは「引き伸ばす」、thinは「薄い」という意味の語で、少ない量を広い範囲に無理に伸ばした様子がそのまま言葉になっています。

単に「忙しい」と言うだけの表現とは違い、余力がほとんど残っていない、限界に近いという含みが伝わります。人が主語になる形は「I’m stretched thin」のように使い、「今日は手が回らなくて余裕がない」と自分の状況を相手に伝える言い方になります。

動詞がbe+過去分詞の受け身になっているため、「自分がそうしている」のではなく「状況によってそうなっている」という見え方になる点も特徴です。理由を添えて頼みごとを断るときや、自分の状況を説明するときに使いやすく、相手を責める響きが出にくい点も便利です。

【ここがポイント!】

  • 「be stretched thin」の核は、少ない余力を広い範囲に引き伸ばして、薄くなってしまったイメージ
  • 「忙しい」よりも、余力が尽きかけているという含みが強い表現
  • a littleを挟むと、「今日はちょっと余裕がない」と程度をやわらげた言い方になるのがコツ

『モダンファミリー』S05E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

クレアが、夫のフィルに3つの用事を頼むところから始まる会話です。頼みごとの内容は、食料品の買い出し、子どもたちの様子見、前庭の枝の片づけでした。クレアが口にした「stretched a little thin」の一言と、それに続くフィルの軽い返事、そしてクレアの切り返しに注目です。

Claire: I’m stretched a little thin today, so I need you to do the grocery shopping, check in on the kids, and maybe clean up those branches in the front yard.
(今日はちょっと手が回らなくて余裕がないの。だから、食料品の買い出しと、子どもたちの様子見と、それから前庭の枝の片づけもお願いしたいのよ。)

Phil: Done and done.
(了解、もう済んだも同然だ!)

Claire: Is that an expression, or did you really only remember two of the things I said?
(それって決まり文句なの? それとも、私が言ったことのうち本当に2つしか覚えてないの?)

Phil: The second.
(後のほうだな。)

Claire: I’ll leave you a message.
(メッセージを残しておくわ。)

Modern Family Season5 Episode3 (Larry’s Wife)

シーン解説と心理考察

クレアは「今日はちょっと手が回らない」と前置きしたうえで、頼みごとを3つ並べています。自分の余力が用事の数に対して足りていないことを、短い一言で相手に伝える使い方です。頼みごとを断るのではなく、頼む理由の説明としてこの表現が置かれている点が印象に残ります。

フィルの「Done and done.」は、頼まれた内容をもう片づけたかのような軽い返事です。クレアはその調子の良さに引っかかったのか、「それは決まり文句なのか、それとも本当に2つしか覚えていないのか」と皮肉まじりに問い返します。3つの頼みごとに対して、フィルが覚えていたのは2つだけ、という含みが会話の温度を変えています。

フィルが「The second.」と答えるのは、後のほうの選択肢、つまり本当に2つしか覚えていなかったほうを認める返事です。悪びれずに認める素直さが、フィルらしい味わいを出しています。クレアは「メッセージを残しておくわ」と返してやり取りを切り上げ、余裕のなさがこの短い会話ににじんでいます。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

パンに塗るバターを思い浮かべてみましょう。少ない量のバターを広い面積に伸ばしていくと、どんどん薄くなって、最後には下のパンが透けて見えます。時間や人手や気力も同じで、用事の数だけ広げていくと、ひとつひとつが薄くなっていきます。この薄さこそが、be stretched thinのイメージです。

クレアの「stretched a little thin」も、3つの頼みごとを並べるほど余力が薄くなっている自分を、そのまま言葉にしたものでした。フィルが2つしか覚えていなかったという展開は、用事を広げすぎると一つひとつに注意が回らなくなる、という状況の裏返しにも見えます。バターの薄さと一緒に、この場面を思い出してみましょう。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「be stretched thin」

職場・チーム・友人への返事という3つの場面の例文で、使い方の幅を確認していきましょう。

I’ve been stretched thin at work since two coworkers quit.
(同僚が2人辞めてから、職場ではずっと手が回らない状態が続いている。)
人手不足になった職場の状況を説明する場面です。since以下で理由を添えると、なぜ余力が薄くなっているのかが相手に伝わります。

Our small team is stretched too thin to take on another project.
(うちの小さなチームは手一杯で、もう一つプロジェクトを引き受ける余裕がない。)
新しい依頼を断るビジネスの場面です。tooを加えると、これ以上は無理という限界の強さが出ます。

A: Can you help me move this weekend?
B: Sorry, I’m stretched a little thin right now. Can I call you next week?
(A:今週末、引っ越しを手伝ってくれない?)
(B:ごめん、今ちょっと手が回らなくて。来週連絡してもいい?)
友人の頼みを、理由を添えてやんわり断る会話です。a littleを挟むと、申し訳なさを残した柔らかい断り方になります。

あわせて覚えたい関連表現

spread oneself too thin
(あれこれ手を出しすぎて力が分散する)
be stretched thinが状況として手が足りない状態を表すのに対し、spread oneself too thinは自分で引き受けすぎた結果として力が分散するニュアンスです。

have a lot on one’s plate
(やることが山積みだ)
have a lot on one’s plateは用事の量に焦点があり、be stretched thinは量に対して余力が薄くなっている状態に焦点があります。

be swamped
(仕事に追われて手いっぱいだ)
be swampedは仕事の波に飲まれている多忙さを表し、be stretched thinは人手や余裕が広く薄く伸びきった状態を表す点で違いがあります。

Note|「忙しい」と訳すと外れる、be stretched thinの余力の感覚

be stretched thinは「忙しい」「手が回らない」と訳されることがありますが、日本語の「忙しい」に置き換えるだけでは、この表現の持ち味が抜けてしまいます。

「忙しい」は、用事の数が多いという量の話です。一方のbe stretched thinは、その量に対して、時間・人手・気力といった余力がどれだけ残っているかを問題にしています。用事が多くても余力に余裕があるなら「忙しいけれど回っている」状態ですが、余力が薄く伸びきっているなら、be stretched thinの出番になります。今回のクレアの「I’m stretched a little thin today」も、「今日は用事が多い」という報告ではなく、「今日は自分の余力が足りていない」という状況の説明でした。だからこそ、続けて「so I need you to do」と、頼みごとに自然につながっています。a littleが入ると「ちょっと余裕がない」と程度がやわらぎ、きつい言い方になりすぎない点も、日本語の「忙しい」との違いです。

日本語に訳すときは「手が回らない」「余裕がない」「手一杯だ」のように、余力の薄さが伝わる言葉を選ぶと、原文の感覚に近づきます。逆に「忙しい」と訳したくなる場面でも、余力の話が中心かどうかを確かめると、be stretched thinを選ぶか別の表現にするかが判断しやすくなります。

「忙しい」の一語にまとめず、余力の話だと意識するだけで、この表現はぐっと使いやすくなります。

まとめ|余力の薄さを、ひとことで伝える

be stretched thinは、時間や人手や気力が足りず、ひとつひとつに回せる分が薄くなっている状態を表す表現です。

自分の状況を相手に伝えるとき、頼みごとを断るとき、理由を添えて依頼するときなど、余力が足りないという事実を短く示せるのが強みです。a littleを挟めば、やわらかい響きにも調整できます。

クレアが3つの用事を並べながら口にした「stretched a little thin」と、それを軽く受け流したフィルの「Done and done.」。余裕のない日常の温度差が、そのまま英語表現の使いどころを教えてくれる場面でした。

このエピソードを見るには

(タップすると各配信サービスの視聴ページへ移動します)

※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


このエピソードの他のフレーズ

おすすめ記事
日常英会話を学びたい方におすすめの海外ドラマはこちら
「be stretched thin」のような、日常で使いやすい英語表現をもっと学びたい方におすすめです。
日常英会話が学べる海外ドラマを見る

be stretched thin

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次