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分かっているのに、つい誘惑に負けて、思わず手が伸びてしまった経験はありませんか。
そんな気持ちを言い表せる「give in to」を、『モダンファミリー』シーズン5第3話の後半、感情の扱い方をめぐって、マニーとジェイが意見を交わす場面から、一緒に見ていきましょう。
「give in to」の意味とニュアンス
give in to
意味:〜に屈する、〜に折れて従う
give in toは、それまで抵抗していたものに対して、ついに力を抜いて従ってしまう動きを表す表現です。toの後ろには、誘惑、衝動、圧力、相手の要求などが来ます。誘惑や衝動に対して使うと「我慢しきれずに従ってしまう」、人の求めに対して使うと「根負けして相手の言うとおりにする」という意味になります。
giveは「与える」、inは「中へ」という基本の意味を持つ語です。抵抗をやめて相手の側に入っていく、というイメージが根底にあり、押し合っていた力がふっと抜けて、相手のほうへ引き寄せられる様子が言葉になっています。
「負ける」と訳せる場面が多い一方で、単に勝負に負けるのではなく、自分の側に「抵抗していた」という前提がある点が特徴です。抵抗する気持ちがあったのに折れた、というニュアンスを含むため、誘惑に負けた話や、しぶしぶ受け入れた話をするときに向いています。ダイエット中のお菓子や、子どものおねだりのように、我慢していた場面と相性のよい表現です。
【ここがポイント!】
- 「give in to」の核は、抵抗をやめて相手の側に折れていくイメージ
- toの後ろに誘惑・衝動・圧力・要求など、抵抗の対象が来る表現
- 「負ける」だけでなく「根負けして従う」と訳すと、原文の感覚に近づくのがコツ
『モダンファミリー』S05E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
マニーが、感情のままに行動することについて持論を語り、ジェイが反対の見方で返す会話です。二人は、衝動を抑えるのがいいのか、手放すのがいいのかについて、意見を交わします。そのあとに、作品名を挙げて悪く言う別の人物の発言が入ります。マニーの最初の一言に注目です。
Manny: If we give in to every impulse, we’re no better than wild animals.
(もし僕らが衝動のままに全部従ってしまったら、野生の動物と変わらなくなるよ。)Jay: But if we push it down, it eats you alive.
(だが、それを押さえつけたら、そいつに身も心も食い尽くされちまうぞ。)Manny: Not if you just let it go.
(そうとは限らないよ、ただ手放せばいいんだ。)Filmgoer: The chick from that crapfest “Mary Poppins.
(あの駄作の『メリー・ポピンズ』に出てた女がさ。)Modern Family Season5 Episode3 (Larry’s Wife)
シーン解説と心理考察
マニーは「衝動のままに全部従ってしまったら、僕らは野生の動物と変わらない」と、感情の扱い方について持論を述べます。「every impulse」と、あらゆる衝動を対象にしているため、感情に流されてしまうことへの強い警戒がうかがえます。
ジェイは「押さえつけたら、それに食い尽くされる」と、反対側から返しています。抑え込むことにも危険がある、という見方です。マニーは「ただ手放せばいい」と答え、衝動に従うでも抑え込むでもない、第三の扱い方を示します。
二人の会話では、「従う」と「押さえつける」という2つの極が並び、その間にマニーの「手放す」が置かれています。give in toは、この中で「従ってしまう」側の極を言い表す言葉として、最初に使われています。
そのあとに続くのは、『メリー・ポピンズ』という作品名を挙げて悪く言う別の人物の発言で、ジェイとマニーの会話とは別の声が割り込んでいる形です。衝動をめぐる会話のすぐ後ろに、まったく別の話題の発言が続く流れになっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
綱引きで、押し合っていた力がふっと抜けて、相手のほうへ引きずられていく場面を思い浮かべてみましょう。抵抗していた側が力を抜いて、相手に従う。その様子が、give in toのイメージです。
inは「相手の側へ入り込む」感覚で、toの後ろにある誘惑や要求に飲み込まれていく、と覚えておくと意味がつかめます。マニーの「give in to every impulse」も、どんな衝動にも綱を引かれるまま身を任せてしまう、という絵として重ねられます。
そのうえで、ジェイの「押さえつける」は綱を必死に引き返す動き、マニーの「手放す」は綱そのものを離す動きにたとえられます。綱引きの三つの動きを並べると、この場面の会話がひとつの絵として整理できます。give in toの動きがどれなのかを、その絵の中で確かめておきましょう。
例文で覚える「give in to」
抵抗の対象がそれぞれ違う3つの例文で、使い方の幅を確認していきましょう。
I gave in to temptation and ate the whole cake.
(誘惑に負けて、ケーキを丸ごと食べてしまった。)
つい我慢できなかった話をする日常の場面です。temptationのような誘惑を表す語を対象にすると、give in toの持ち味が出ます。
The company refused to give in to the union’s demands.
(会社は組合の要求に屈することを拒んだ。)
交渉の経過を伝えるビジネスの場面です。refused toと組み合わせると、圧力に折れなかったという意味を表せます。
A: Are you going to buy it?
B: No, I won’t give in to another impulse purchase.
(A:それ買うの?)
(B:ううん、もう衝動買いには負けないよ。)
買い物の誘惑を我慢する会話です。impulseの語は、ドラマのマニーの台詞にも出てきた衝動と同じ単語です。
あわせて覚えたい関連表現
yield to
(〜に屈する、〜に譲る)
yield toは書き言葉や改まった場面で使われる硬めの言い方で、give in toは日常会話でも使える口語的な言い方という違いがあります。
surrender to
(〜に降伏する、〜に身をゆだねる)
surrender toは完全に手放して身をゆだねるニュアンスが強く、give in toは抵抗をやめて折れる、やや軽い言い方です。
cave in to
(〜に折れる、〜に押し切られる)
cave in toは圧力で崩れるように折れる、弱さを含んだ口語的な言い方で、give in toは中立的に「折れる」ことを表します。
Note|give in・give up・give wayの使い分け
give inと同じgiveを使う動詞句には、give upやgive wayもあります。似た形をしているぶん、どれを使えばいいか迷いやすいので、同じ「我慢できなかった」場面を例に、焦点の違いを整理してみましょう。
give inは、相手や誘惑に対して「折れる」ことに焦点があります。抵抗していた側が、力を抜いて従う動きです。「I gave in and ate the cake.」なら、食べまいとしていたのに折れて食べた、という意味になります。目的語を取らずに、give inだけで「折れる」と言える点も特徴で、to以下を省いても文として通じます。
give upは、「あきらめてやめる」ことに焦点があります。「I gave up trying to resist.」なら、抵抗しようとするのをやめた、という意味です。従う相手や対象がなくても使え、努力を投げ出す感覚が中心になります。
give wayは、「譲る」「崩れる」ことに焦点があります。重みに耐えきれず崩れる、道や順番を譲る、といった物理的な意味があり、give way toの形では「〜に屈する」という意味にもなります。
折れて従うならgive in、あきらめてやめるならgive up、譲る・崩れるならgive way、という焦点の違いを覚えておくと、使い分けの迷いが小さくなります。同じgiveを使う動詞句でも、焦点は「折れる」「やめる」「譲る」とそれぞれ異なります。
まとめ|抵抗をやめて、折れる一言
give in toは、誘惑や衝動、圧力や要求に対して、抵抗をやめて折れる動きを表す表現です。toの後ろに抵抗の対象を置くことで、何に折れたのかがはっきり伝わります。
我慢できなかった話、根負けして相手に従った話、衝動買いをこらえた話など、日常の小さな場面でも幅広く使えます。ニュースの見出しのように、組織が圧力に屈するかどうかを述べる場面でも同じ形で使えます。「負ける」と一言で済ませず、抵抗していたという前提を含めて捉えると、原文の感覚に近づきます。
マニーが「every impulse」に従ってしまうことを警戒し、ジェイが押さえつけることの危険を返した場面でした。二人の意見の違いが、この言葉の意味を立体的に見せてくれました。


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