海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手の目つきや態度から、「これはもう始まっている」と確信した経験はありませんか。そんな手応えを英語で言い切りたくなる瞬間があります。
そんな一言にぴったりの「it is on」を、『モダンファミリー』シーズン5第8話の前半、ヘイリーが玄関に出たときの相手の目つきについて言い切るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「it is on」の意味とニュアンス
it is on
意味:もう始まっている、こうなったら本気だ
it is on は、勝負や争い、駆け引き、計画といったものが「もう動き出した」という状態を言い切る口語表現です。on には「作動中」「始まっている」という意味があり、照明のスイッチが入った状態を思い浮かべると意味の芯がつかめます。it は、その場で動き出している状況全体を指します。
使われ方は大きく二つに分かれます。一つは、相手に挑まれたときに「いいよ、始めよう」と受けて立つ使い方です。もう一つは、周りの様子を見て「もう始まっている」と確信を持って述べる使い方です。今回のシーンは後者で、it is so on と、is と on の間に so が挟まった形が使われています。so は「それほどまでに、すっかり」という強調を足す語で、「もう完全に始まっている」という確信の強さが加わります。
訳し分けにも注意が必要です。勝負の場面なら「受けて立つ」「勝負だ」、状況への確信を述べる場面なら「もう始まってる」と、同じ it is on でも日本語は変わります。it is on 自体は「動き出した」という事実を述べるだけで、何が動き出したのかは、文脈から聞き手が補います。ヘイリーの一言でも、it の中身は言葉になっていません。
【ここがポイント!】
- 「it is on」の核は、スイッチが入ってもう動き出しているという状態
- 勝負を受けて立つ場面にも、「もう始まっている」と確信する場面にも使える表現
- so を挟むと「もう完全に」という強調が加わり、確信の強さが増す
『モダンファミリー』S05E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーとアレックス、そこにグロリアが加わって言葉を交わす場面です。ヘイリーが玄関に出たときの相手の目つきを引き合いに出し、確信を口にします。アレックスの返しが続くので、「it is so on」がどう受け止められるかに注目です。
Haley: I am telling you, the way he looked at me when I came to the door — it is so on.
(だから言ってるじゃん、私がドアに出たときのあの人の目つき、もう絶対に始まってるって。)Alex: Kind of seemed like he was just delivering pizza, and you were giving him money.
(ピザを届けに来た人に、お姉ちゃんがお金を渡してただけに見えたけど。)Gloria: What are you guys talking about?
(ちょっと、あなたたち二人、何の話をしてるの?)Alex: Chuck, the pizza guy from last night. He’s shy and thoughtful and wears a Princeton sweatshirt hardly Haley’s type.
(チャックよ、昨日の夜のピザの配達の人。シャイで思いやりがあって、プリンストンのスウェットを着てるの。ヘイリーのタイプとはとても言えないわ。)Haley: Oh, my God. You love him.
(うそ、ちょっと待って。あんた、あの人のこと好きなんでしょ。)Modern Family Season5 Episode8 (ClosetCon ’13)
シーン解説と心理考察
ヘイリーは「私がドアに出たときのあの人の目つき」という一点を根拠に、「もう絶対に始まってる」と言い切ります。it is so on の so が入ることで、「たぶん」や「そんな気がする」といった余地を残さず、すっかり確信している口ぶりになっています。「だから言ってるじゃん」と念を押す前置きにも、その言い切りの強さが表れています。
これに対してアレックスは、同じ場面をまったく別の光景として語ります。「ピザを届けに来た人と、お金を渡しているお姉ちゃんにしか見えなかった」という言い方です。「〜に見えたけど」と一歩引いた調子で、ヘイリーの確信に真っ向から反論するのではなく、目に映った事実だけを並べて温度を下げています。同じ出来事を、確信を持つ側と、冷静に観察する側とで受け止め方が分かれているのが、このやり取りの面白さです。
グロリアが「何の話をしてるの?」と入ってくると、アレックスはピザの配達員がチャックという名前であること、昨日の夜に来たことを説明します。さらに「シャイで思いやりがあって、プリンストンのスウェットを着ている」と人となりを挙げたうえで、「ヘイリーのタイプとはとても言えない」と結びます。アレックスが挙げた条件は、名前から服装まで具体的です。
すると今度は、ヘイリーが「あんた、あの人のこと好きなんでしょ」とアレックスに向けて切り返します。確信を言い切る側だったヘイリーが、相手の気持ちを言い当てる側に回る、立場の入れ替わりです。it is so on という言葉は、玄関先の出来事を語るために口にされましたが、この場面の終わりには、二人のあいだのやり取りを動かす一言になっていました。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
部屋の照明のスイッチが「オン」になった瞬間を思い浮かべてみましょう。一度スイッチが入れば、明かりはもう点いています。勝負や駆け引きも同じで、始まったと言えるのは、動き出した後のことです。「もう動いている」という感覚が、it is on のイメージです。
ヘイリーが口にした it is so on は、そのスイッチが「もう完全に入っている」と強調した言い方でした。玄関先で受けた相手の目つきを、ヘイリーは「始まりの合図」として受け取っています。「こうなったからには、もう動き出している」という確信を、たった一言に閉じ込めた形です。
「もう始まっている」と言いたくなったときは、スイッチの入った照明を思い出しましょう。相手に挑まれて受けて立つときも、周りの様子から動きを確信するときも、同じスイッチの感覚で使い分けられます。
例文で覚える「it is on」
動き出した状況を言い切る it is on を、3つの例文で確認していきましょう。
You think you can beat me? Fine. It is on.
(私に勝てると思ってるの? いいわ、受けて立つ。)
友人同士の勝負を受けて立つ場面です。相手の挑発に対して、Fine のあとに短く言い切ると、「では始めましょう」という宣言になります。
After the rival company cut its prices, our manager said, “Okay, it’s on.”
(ライバル会社が値下げしたあと、部長は「よし、ここから勝負だ」と言った。)
競合との価格競争が始まった場面です。it’s のように短縮すると、会話の中で軽く言い切る調子になります。
A: Did you just challenge me to a cook-off?
B: Yes. It is so on.
(A:今、私に料理対決を挑んだ?)
(B:そう。もう始まってるよ。)
友人同士で対決が動き出す往復会話です。so を挟むと、Yes の確認に続けて「もう完全に始まっている」と念を押す言い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
game on
(さあ、始めよう)
game on は「始めよう」という開始の掛け声に近く、it is on は「状況がもう動き出した」ことを述べる言い方です。
bring it on
(かかってこい)
bring it on は相手に挑む、受けて立つと宣言する言い方で、it is on は「もう始まった」という状態の描写が中心です。
let’s do this
(さあ、やろう)
let’s do this は自分たちを奮い立たせて動き出す言い方で、対立や競争の意味を含むとは限りません。
Note|it is so on の so が足す強調と、was に変えたときの語り口
ヘイリーの一言は it is so on でした。so を挟んだ形と挟まない形、is を was に置き換えた形を並べると、この表現の使い勝手が整理できます。
so を挟まない it is on は、「もう動き出している」という事実を述べる形です。so を挟んだ it is so on は、そこに「すっかり」という強調が加わります。so は形容詞や副詞を強める語で、ここでは on に掛かり、「始まっている度合い」を強める役割を担います。意味そのものが変わるわけではなく、確信の強さが一段上がると考えると分かりやすいです。
もう一つ押さえたいのは時制です。is を was に置き換えると、過去の出来事を語る言い方になります。たとえば「The referee blew the whistle, and it was on.」なら、「審判が笛を吹き、試合が始まった」と、始まった瞬間を語る文になります。今まさに動き出していると言うなら it is on、動き出した瞬間を振り返って語るなら it was on です。
ヘイリーは、玄関に出たときの出来事を振り返りながらも、今の状況について it is so on と現在形で言い切りました。「あのときの目つきを見た以上、今もうすでに始まっている」という、現在の確信として語っている形です。so の強調と現在形が重なることで、迷いのない言い切りになっていました。
まとめ|「もう始まっている」を、たった3語で
it is on は、勝負や駆け引きがもう動き出している状態を言い切る表現です。挑まれて受けて立つ場面にも、周りの様子から「始まった」と確信する場面にも置けます。
so を挟めば確信が強まり、was に変えれば動き出した瞬間を語る言い方になります。形を少し動かすだけで、伝えたい強さや時間の向きを調整できるのが、この表現の使い勝手のよさです。
ヘイリーが玄関先の出来事を根拠に確信を口にし、アレックスが冷静に切り返し、グロリアが会話に加わって、最後にヘイリーが相手の気持ちを言い当てる。短いやり取りの中に、確信と反論と切り返しが詰まった場面でした。


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