海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
大事な本番の直前に、周りの空気や気がかりな知らせに気持ちを引っぱられて、集中しきれなくなった経験はありませんか。
そんな場面で気持ちを立て直す一言「focus up」を、『モダンファミリー』シーズン5第9話の中盤、試合前に選手たちへ呼びかけるキャメロンのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「focus up」の意味とニュアンス
focus up
意味:集中する、気持ちを引き締めて集中する
focus は「焦点を合わせる」という意味の動詞です。カメラのピントを合わせるように、散らばっていた注意を一点に集めることを表します。focus up はそこに up が付いた形で、「さあ、気持ちを引き締めて集中しよう」という呼びかけとして使われます。
似た形に focus on があります。focus on は「何に集中するか」を後ろに置く形で、focus on the game(試合に集中する)のように対象を必ず示します。一方の focus up は、対象を言わずに、気持ちを向け直す行為そのものを促す言い方です。対象が場面から明らかなときに、短く呼びかける形として働きます。何に集中するかを言わなくても通じるのは、話し手と聞き手が同じ状況を共有しているからです。
We need to focus up. のように必要性を述べる形のほか、Let’s focus up. と一緒にやろうと呼びかける形、Focus up! と命令の形で使う形があります。くだけた会話で使う表現なので、改まった書き言葉には向きません。
使う相手は、チームの仲間、同僚、家族や友人など、気持ちを向け直してほしい人です。集中してほしい理由を添えることも、添えないこともでき、短く言い切るほど、場の空気を切り替える合図として働きます。
【ここがポイント!】
- 「focus up」の核は、散らばった注意をぐっと一点に集める動き
- 対象を後ろに置かず、気持ちの向け直しそのものを促す表現
- 命令形、We need to、Let’s のどれでも使える、呼びかけの一言
『モダンファミリー』S05E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャメロンが黒い腕章のことを審判に尋ねると、相手チームのコーチが前の夜に亡くなったと伝えられます。その知らせを受けて、キャメロンが選手たちに呼びかけます。重い知らせのあとで、どんな言葉で気持ちを切り替えさせるかに注目です。
Referee: Roger Knight lived for high-school football, so they’re playing this one in his honor.
(ロジャー・ナイトは高校フットボールに生きた人だった。だから、この試合は彼を偲んでやるんだ。)Cameron: Tragic news about Coach Knight. But you know what? We need to focus up. Plenty of time to pay our respects, but there will be no mourning knight this afternoon.
(ナイトコーチの訃報は痛ましい。でも、いいかい、ここは気持ちを切り替えて集中しないといけない。弔意を示す時間ならたっぷりある。ただ、今日の午後に「mourning knight」はなしだ。)Referee: Lot of character over there.
(あそこの子たちは根性があるな。)Cameron: Yep.
(ああ。)Referee: Those kids haven’t won a game all year.
(あの子たちは今年、1勝もしていないんだ。)Cameron: Uh-huh.
(ふむふむ。)Modern Family Season5 Episode9 (The Big Game)
シーン解説と心理考察
審判の口から、亡くなったコーチが高校フットボールに打ち込んでいたことと、今日の試合が彼を偲んで行われることが語られます。そのあとで、キャメロンは最初に Tragic news と、訃報を惜しむ言葉を口にします。この一言のあとに、呼びかけが続きます。
But you know what? のあとに、We need to focus up. が続きます。「でも」と話の向きを変え、We を主語にして自分も含めた呼びかけにしている点が、この場面の要です。命令ではなく、必要性を述べる形が選ばれています。続く Plenty of time to pay our respects は、弔意を示す時間はほかにあると述べる一文で、集中を求める理由になっています。
審判がその後に語る内容を、キャメロンは Yep. や Uh-huh. という短い相づちで受け止めます。相手チームがまだ1勝もしていないと聞いても、返しは簡潔です。長く言葉を重ねず、返事は短いままです。審判が語る相手チームの様子に対して、感想を重ねることも、話を広げることもせず、聞いたことを受け止めるだけにとどめています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
カメラのレンズを回して、ぼやけていた映像にピントを合わせていく場面を思い浮かべてみましょう。手元のカメラでも、スマートフォンの画面でも構いません。ぼんやりしていた景色が、カチッと一点で鮮明になる瞬間があります。focus はこの動きそのもので、focus up はその動きを「さあ、合わせよう」という呼びかけの形にしたもの、と重ねると覚えやすくなります。
キャメロンの We need to focus up. は、悼む気持ちや周りの出来事で散らばりかけた注意を、目の前の試合に合わせ直す一言です。訃報の知らせで気持ちが揺れている場面と、ピントを合わせ直す動きを、結びつけてみましょう。
ぼやけた画面が、レンズを回して一点で鮮明になる。その動きを頭の中で再生しながら「focus up」と口に出してみると、気持ちを引き締める呼びかけの意味が、動作の絵と一緒に残ります。
例文で覚える「focus up」
「focus up」は、仕事の場面から日常の勉強まで幅広く使えます。3つの例文で確認していきましょう。
Okay, everyone, let’s focus up. We start in five minutes.
(よし、みんな、集中しよう。5分後に始めるよ。)
会議の開始前にチームを引き締めるビジネスの場面です。Let’s を使うと、自分も含めた呼びかけになります。
I need to focus up if I want to pass this exam.
(この試験に受かりたいなら、集中しないといけない。)
試験勉強に本腰を入れ直す、日常の場面です。if を添えると、集中する目的がはっきりします。
A: I keep checking my phone.
B: Put it away and focus up.
(A:ついスマホを見ちゃうんだ。)
(B:しまって集中しなよ。)
気が散っている友人に声をかける会話です。Put it away と行動を先に示し、そのあとに focus up と続けると、何をすれば集中できるかが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
focus on
(〜に集中する)
focus on は何に集中するかを後ろに置く形です。focus up は対象を言わずに、気持ちを引き締める行為そのものを促す点が違います。
buckle down
(本腰を入れて取りかかる)
buckle down は、勉強や仕事に腰を据えて取り組み始める場面で使います。focus up は、取りかかる前の気持ちの引き締めに重きを置く言い方です。
get your head in the game
(気持ちを試合に切り替える)
スポーツの比喩で「意識を試合に向けろ」と言う表現です。focus up より場面の限定はありますが、気持ちの切り替えを促す点は共通しています。
Note|focus up と focus on の違い、対象を後ろに置くかどうか
focus のあとに何が続くかで、伝える内容が変わります。キャメロンの一言を出発点に、focus up と focus on の形を整理してみましょう。
まず focus on です。focus on the game のように、on のあとに集中する対象を置きます。「何に」集中するのかが文の中身になるため、対象を省くと意味が伝わりません。次に focus up です。キャメロンの We need to focus up. のように、対象を後ろに置かず、気持ちを引き締める行為そのものを述べます。対象は場面から読み取る形になり、この場面では目の前の試合がそれにあたります。もう一つ、形の違いも確認しましょう。We need to focus up. は必要性を述べる言い方で、Let’s focus up. は一緒にやろうと誘う言い方です。同じ focus up でも、We need to は状況が求めていることを述べ、Let’s は呼びかける側も含めて動く、という差があります。
キャメロンは We を主語にして、状況が求めることとして述べています。そのため、選手たちに指示を出す言い方でありながら、自分も含めた呼びかけとして伝わります。
対象を置くか置かないかで、文の焦点が変わります。
まとめ|ぼやけたピントを、ひとことで合わせ直す
focus up は、散らばった注意を一点に集め直し、気持ちを引き締めるよう促す表現です。何に集中するかを言わずに使えるため、短い呼びかけとして働きます。
対象を後ろに置く focus on とは形が違い、必要性を述べる We need to、一緒に動く Let’s、命令の形と、場面に合わせて言い方を選べます。仕事の開始前にも、勉強の切り替えにも使える幅があります。
訃報という重い知らせのあと、キャメロンは Tragic news と述べてから、We need to focus up. と選手たちに呼びかけました。会話のレパートリーに加えてみてください。


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