海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は、人気法医学サスペンスドラマ『BONES』のシーズン4第20話から、日常会話からビジネスシーンまで幅広く登場する表現「start from scratch」をピックアップして紹介します。
何かを最初からやり直す際に必須のフレーズですので、ぜひこの機会に使い方をマスターしていきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
被害者の女性メリエルが通っていたドレスショップのベテランコンサルタント、アーニャに対する尋問シーンです。
ブースとブレナンに対し、アーニャはメリエルの理不尽な要求について怒りを込めて語ります。
Booth: Okay, why don’t you just tell us about Meriel.
(オーケー、メリエルのことを話してくれませんか。)
Anya: Every time she dropped a pound, she made me adjust that bodice, which would have been fine, but Friday, she decided instead of a drop waist, she wanted a natural waist.
(彼女が1ポンド痩せるたびに、私は身頃を調整させられました。それは構わないんですが、金曜日になって、彼女はドロップウエストではなくナチュラルウエストにしたいと言い出したんです。)
Anya: She suggested I start from scratch. She insinuated I didn’t know what I was doing; that her dress issues were my fault. She pushed me away. Pushed me!
(彼女は私に最初からやり直せと言ったんです。私が何も分かっていないとほのめかし、ドレスの問題は私のせいだと言いがかりをつけて。そして私を突き飛ばしたんですよ。突き飛ばしたんです!)
BONES Season4 Episode20 (The Cinderella in the Cardboard)
シーン解説と心理考察
アーニャはベルトリーノという店で29年間も働き、花嫁を美しくすることに誇りを持っていました。
しかし、被害者のメリエルは体重が落ちるたびに身頃の調整を要求し、金曜日には急にドロップウエストからナチュラルウエストへのデザイン変更を求めました。
これまでの苦労を水の泡にする「最初からやり直せ」という言葉に加え、能力を否定された上に突き飛ばされたアーニャは激怒します。
さらにメリエルからピンを投げつけられたことでアーニャは彼女を平手打ちし、結果として長年勤めた職場を解雇されてしまいました。
限界まで追い詰められた彼女のフラストレーションが伝わってくる、非常に緊迫感のある場面ですね。
フレーズの意味とニュアンス
start from scratch
意味:最初からやり直す、ゼロから始める
このフレーズは、動詞の「start(始める)」と、名詞の「scratch(引っかき傷、かすり傷)」が組み合わさってできています。
一見すると不思議な直訳になってしまいますが、ここでの「scratch」はスポーツ競技における「スタートライン」を意味しています。
かつて、徒競走などのスポーツにおいて、地面に棒などで線を引っかいて(scratch)スタートラインを描いていたことに由来します。
ハンデキャップや有利な条件を一切持たない「ただ地面に引かれただけの線(ゼロの状態)」から競技を始める様子から、「何もない状態から始める」「これまでの進捗を一旦白紙に戻して最初からやり直す」という意味で広く使われるようになりました。
【ここがポイント!】
この表現のコアイメージは「完全なるリセットと無からの再出発」です。
単に何かを再開するのではなく、「途中まで進めていたものを破棄する」というプロセスが含まれるのが特徴です。
今回のドラマのように、他人に「start from scratch(ゼロからやり直せ)」と命じられる場合は、それまでの労力や時間が否定されるため強い絶望感を伴います。
一方で、自らの意志で「Let’s start from scratch.」と言う場合は、過去の失敗やしがらみを断ち切り、心機一転して新しい挑戦に向かうポジティブなエネルギーを感じさせる言葉になりますよ。
文脈によって感情のベクトルが大きく変わるのも、このフレーズの面白いところですね。
実際に使ってみよう!
ビジネスシーンで企画を練り直す場面や、日常のちょっとしたトラブルなど、さまざまなシチュエーションで応用してみましょう。
The project was a complete failure, so we have to start from scratch.
(そのプロジェクトは完全に失敗に終わったので、私たちは一からやり直さなければならない。)
[解説]
ビジネスシーンで非常によく使われる形です。企画や計画が行き詰まり、これまでの前提をすべて捨ててゼロベースで再検討する厳しい状況を表現しています。
I lost all my data when my computer crashed, so I had to start writing the report from scratch.
(パソコンがクラッシュしてすべてのデータを失ったので、レポートを最初から書き直さなければならなかった。)
[解説]
日常のトラブルを説明する際にも便利です。途中まで進めていた作業が白紙に戻ってしまったときの徒労感が「from scratch」という言葉に込められています。
She moved to a new city and built her business from scratch.
(彼女は新しい街へ引っ越し、自分のビジネスをゼロから築き上げた。)
[解説]
「start」だけでなく「build(築く)」や「make(作る)」などの動詞と組み合わせることも可能です。何のコネクションも資金もない状態から成功を収めた、という肯定的なストーリーを語る際にぴったりの表現です。
BONES流・覚え方のコツ
誇り高きプロのドレスコンサルタントであるアーニャの表情を思い出してください。
何度も何度もミリ単位の調整を繰り返して完成に近づいていたウエディングドレスに対し、突然「デザインを変えたいから、一から(from scratch)作り直して」と理不尽に要求されたときの彼女の怒り。
地面に引かれたスタートラインまで無理やり引き戻されるような徒労感をアーニャの感情とセットにしてイメージしてみてください。
「start from scratch = これまでの努力をリセットしてゼロからやり直す」という強烈なニュアンスが、記憶に深く刻み込まれますよ。
似た表現・関連表現
start over
(やり直す、最初からもう一度やる)
[解説]
「start from scratch」と非常に近い意味を持ちますが、「start over」は単に「もう一回やり直す」という行動そのものに焦点を当てています。一方の「from scratch」は、「何もないゼロの状態から」という条件や状態をより強調したい場合に使われます。
go back to square one
(振り出しに戻る、最初からやり直す)
[解説]
すごろくやボードゲームで「最初のマス(square one)に戻る」という情景から生まれた表現です。失敗や障害にぶつかって、これまでの進捗が無駄になり、また最初の段階から取り組まなければならないというネガティブなニュアンスが強いフレーズです。
from the ground up
(ゼロから、基礎から、徹底的に)
[解説]
建物を建てる際に、地面(ground)の基礎工事から上に向かって作り上げていく様子を表しています。「start from scratch」がゼロからのスタート地点を強調するのに対し、こちらは「基礎の部分からしっかりと全体を構築していく」という過程の徹底ぶりを強調する表現です。
深掘り知識:料理やビジネスにおける「scratch」の意外な使い方
「scratch」という言葉の語源がスポーツのスタートラインにあることを紹介しましたが、実はアメリカの日常会話において、この言葉は「料理」の文脈でも頻繁に登場します。
例えば、「make a cake from scratch」という表現があります。
これは「ケーキを一から作る」という意味ですが、具体的には「市販のケーキミックスや既製品のソースなどに一切頼らず、小麦粉や卵などの生の食材だけを使って調理する」ことを指します。
アメリカのスーパーマーケットには便利な半調理品が溢れていますが、だからこそ、手間暇をかけて一から手作りされた料理は「made from scratch」と呼ばれ、特別な愛情や本格的な味わいを象徴する言葉として使われます。
レストランのメニューでも「All our soups are made from scratch daily.(当店のスープはすべて毎日一から手作りしています)」といったフレーズをよく見かけますよ。
さらに、日本のIT業界やビジネスの現場で使われる「スクラッチ開発」という言葉もここから来ています。
既存のパッケージソフトやテンプレートを一切使わず、システムをゼロから独自に構築する手法のことです。
スポーツのスタートラインから生まれた言葉が、巡り巡って料理の手作り感や、最先端のシステム開発にまで使われているのは、英語の持つ豊かな比喩表現の面白さを感じさせますね。
まとめ|心機一転の再出発を表す便利なフレーズ
今回は『BONES』の緊迫したシーンから、ゼロからの再出発を意味する表現「start from scratch」を紹介しました。
何かを最初からやり直すことは、時にはフラストレーションが溜まることもありますが、新しい可能性に向けて心機一転するチャンスでもあります。
ビジネスでも日常会話でも非常に使い勝手の良いフレーズですので、ぜひご自身の表現の引き出しに加えてみてくださいね。


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