海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
言い合いのあとで、相手が待っている反応をあえて見せずに、意地を通してしまった経験はありませんか。
そんな気持ちを表す「give someone the satisfaction」を、『モダンファミリー』シーズン5第20話の後半、グロリアが直前のやり取りを振り返るように語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「give someone the satisfaction」の意味とニュアンス
give someone the satisfaction
意味:(人)を満足させてやる、(人)に「してやったり」と思わせる
give someone the satisfaction は、直訳すると「(人)にその満足を与える」です。相手が望んでいる反応や結果、たとえば悔しがる、謝る、認める、答えを教えるといった行動を、こちらから差し出して、相手を満足させることを指します。
実際の会話では、否定の形で使われることが多い表現です。I won’t give him the satisfaction. なら「彼を喜ばせてやるものか」、I refused to give her the satisfaction. なら「彼女を満足させるのを拒んだ」という意味になります。相手の思うつぼになりたくない、という意地や抵抗の気持ちが表れる言い方です。
satisfaction は「満足」で、give は「与える」です。「満足を与える」と直訳すると、お世辞のように聞こえてしまう場合がありますが、この表現では「相手に勝ち誇らせる」「してやったりと思わせる」という含みが中心になります。
the satisfaction のあとに、of ~ing の形で「~して満足させる」と中身を添えることもあります。何について相手を満足させるのかを示したいときに使える形です。
【ここがポイント!】
- 「give someone the satisfaction」の核は、相手が望む反応を自分から差し出すこと
- 否定形で、意地や抵抗の気持ちを込めて使われることが多い表現
- of ~ing で「何をして満足させるのか」を後ろに足せる形が便利
『モダンファミリー』S05E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
グロリアが、直前のやり取りを振り返るように話す場面です。ジェイに「あれは何だ?」と聞かれても答えなかったグロリアが、あとから自分の気持ちを言葉にします。前後の流れに注目です。
Gloria: I don’t know what that was.
(あれが何だったのかは、私には分からないわ。)Gloria: But I was not going to give him the satisfaction.
(でも、彼を満足させてやるつもりは、私にはなかったの。)Modern Family Season5 Episode20 (Australia)
シーン解説と心理考察
グロリアはまず、「あれが何だったのかは、私には分からない」と言います。直前の言い合いでは、ジェイに「What’s that?(あれは何だ?)」と尋ねられたグロリアが、「教えない。あなたがここにいれば分かったはず」と返していました。その返事とあわせて読むと、「あれ」が何なのかを教えないと言っておきながら、自分でも分かっていなかったという打ち明けになります。「あれ」が具体的に何を指すのかは、この2つの発言だけでは明かされません。
続けてグロリアは、「でも、彼を満足させてやるつもりはなかった」と言います。「彼」は名指しされていませんが、直前のやり取りの相手であるジェイのことと読めます。ここでの give him the satisfaction は、相手に「してやったり」と思わせることを避けた、という意味で使われています。
言い合いの中で、グロリアは、ジョーを置いて世界の反対側まで来たのは、ジェイが仕事に時間を使うのを見るためではない、という趣旨のことを述べていました。そうした不満を口にしたあとで、「彼を満足させてやるつもりはなかった」と言い切るところに、グロリアの意地がにじみます。
この2つの発言は、長い言い合いのあとに置かれた、短い振り返りです。言葉数は少なくても、相手に見せなかった反応の重みが、そのまま残っています。
ただし、何についての満足なのかは、この2つの発言には書かれていません。「教えて満足させる」などと補わずに、発言のとおりに受け取るのが、この場面の読み方です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
satisfaction は「満足」で、give は「与える」です。相手が心待ちにしている「してやったり」の気持ちを、自分の手で贈ってしまうイメージを持つと、「与えるものか」という否定形の意地の意味がつかめます。
贈り物にたとえると、相手が欲しがっている包みを、自分から差し出すかどうかの場面です。差し出さずに背を向ける動作を思い浮かべてみます。グロリアは、包みを渡さない側に立っています。
あとから振り返るときの過去形の言い方、was not going to も一緒に押さえておくと、場面の温度が伝わります。今まさに意地を張るなら won’t、過ぎた場面を思い返すなら was not going to、と時制で言い分けられます。
「give(贈る)」と「satisfaction(相手の満足)」という2つの語を、ひとつの動作として結びつけて覚えるのがコツです。「相手の満足を、こちらが贈る」と言い換えてみると、語順ごと頭に入ります。
例文で覚える「give someone the satisfaction」
悔しさをこらえる場面、嫌がらせへの助言、言い争いと、場面ごとに表情が変わる give someone the satisfaction を、3つの例文で確認していきましょう。
I won’t give him the satisfaction of seeing me cry.
(彼に、私が泣くところを見せて満足させるつもりはありません。)
悔しさをこらえる場面です。of seeing me cry のように、何で満足させるのかを後ろに足せる形が確認できます。
Don’t give them the satisfaction. Just walk away.
(相手を喜ばせちゃだめだよ。そのまま立ち去りなさい。)
嫌がらせに反応しないよう助言する場面です。命令の形にして、相手の思うつぼになるのを避けるよう促しています。
A: Just admit you were wrong.
B: I’m not going to give you the satisfaction.
(A:間違ってたって認めなよ。)
(B:あなたを満足させてやるつもりはないわ。)
言い争いの往復会話です。相手が求める反応を、あえて返さない意地が、短い一言に収まっています。
あわせて覚えたい関連表現
give someone the pleasure of ~ing
((人)に~する喜びを与える)
pleasure は「喜び」で、皮肉を込めて I won’t give you the pleasure of ~ing と言うこともあります。give the satisfaction のほうが、「思うつぼ」という悔しさや意地が強めに出る言い方です。
play into someone’s hands
((人)の思うつぼにはまる)
play into someone’s hands は、相手の狙いどおりに動いてしまう状況を表します。give someone the satisfaction は、相手が望む反応を自分が返すという行為に焦点があります。
give in to someone
((人)の言い分に折れる、(人)に屈する)
give in to someone は、相手の要求に従って折れる行為そのものを指します。give someone the satisfaction は、折れたことで相手が「してやったり」と感じる、その満足感に焦点があります。
Note|give someone the satisfaction の否定形と of ~ing の形
give someone the satisfaction は、否定形と組み合わせて使われることが多い表現です。この否定形の作り方と、of ~ing の足し方を整理しておくと、聞き取りにも使いやすさにも役立ちます。
否定形には、won’t、was not going to、refused to など、いくつかの選び方があります。won’t は「これから先も与えない」という意志、was not going to は「あのとき与えるつもりはなかった」という過去の意志を表します。グロリアの I was not going to give him the satisfaction は後者で、すでに終わった場面を振り返る言い方です。
次に、of ~ing の形があります。I won’t give him the satisfaction of seeing me cry. のように、「泣くところを見せて満足させる」と、満足の中身を後ろに足せます。ドラマの台詞は of ~ing を省いていて、何についての満足かは文脈にゆだねられています。
否定形の選び方で、これから先の意志か、過去の意志かが変わります。of ~ing は、必要なときだけ添える形です。
まとめ|相手の思うつぼにはならない、という一言
give someone the satisfaction は、相手が望む反応を差し出して満足させることを指し、否定形で「思うつぼにはならない」という意地を表す表現です。
won’t や was not going to と組み合わせて、これから先の意志と過去の意志を使い分けられます。of ~ing を足せば、何について満足させないのかも具体的に示せます。
グロリアが、あとから振り返るように、自分の意地をひとことで語った場面は、この表現の使いどころがよく見える場面でした。相手の思うつぼにはなりたくない場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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