海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
届いたメッセージのひと言が妙に引っかかって、読み返すたびに腹が立ってしまった経験はありませんか。
そんな場面で使える「get someone’s goat」を、『モダンファミリー』シーズン5第20話の中盤、ジェイがクレアに、アールから届いたメッセージを読み上げるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get someone’s goat」の意味とニュアンス
get someone’s goat
意味:(人)をいらだたせる、(人)を怒らせる
get someone’s goat は、相手の言動が誰かを苛立たせ、怒らせるときに使う口語表現です。goat は「ヤギ」で、直訳すると「(人)のヤギを手に入れる」になりますが、実際の意味は「腹を立てさせる」です。ヤギを取られる話としては意味が通りにくいため、直訳せずに、まとまった慣用表現として覚えるのが近道です。
使い方の特徴は、相手の狙いが含まれやすいところです。挑発的なひと言や、わざと苛立たせるようなからかいに腹を立てたとき、「あの人は私をイラつかせるのがうまい」と愚痴る場面によく合います。
形の上では、someone’s の部分に誰の goat かを入れます。get my goat、get his goat、get your goat のように、腹を立てる本人の所有格に変えて使います。主語には「腹を立てさせる側」が来るため、主語と所有格が別の人を指す点がポイントです。
苛立ちを伝える表現は他にもありますが、この表現は「その言動でカッとさせられた」という瞬間的な響きが強めです。
【ここがポイント!】
- 「get someone’s goat」の核は、相手の言動で腹を立てさせられるという一点
- 所有格は、腹を立てる側の人に合わせて変わる形
- わざと苛立たせる含みが出やすい、愚痴に向く一言
『モダンファミリー』S05E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ハイキングの途中、ジェイがクレアに、アールからメッセージが届いたと話し始める場面です。会社名の言い直しにクレアが返し、ジェイがメッセージを読み上げて、感想をこぼす流れに注目です。
Jay: I just got a text from Earl at closets, closets, closets
(いま、クローゼッツ、クローゼッツ、クローゼッツのアールからメッセージが来てな。)Claire: I know what it’s called, Dad.
(その会社の名前なら知ってるわよ、お父さん。)Jay: Listen to this “Better luck next time. Ha ha.” He always knows what to say to get my goat.
(聞いてくれよ、「次はがんばれよ。ハハ」だとさ。あいつは、俺をいらつかせる言い方をいつも心得てやがる。)— I’m waiting for a quote from the lumber supplier, but this hike is three hours I’m gonna lose signal.
(材木の仕入れ先の見積もりを待ってるんだけど、このハイキングは3時間もあるから、電波が入らなくなっちゃうんだ。)Modern Family Season5 Episode20 (Australia)
シーン解説と心理考察
ジェイは、アールからメッセージが来たと話し、会社名を「クローゼッツ、クローゼッツ、クローゼッツ」と繰り返します。クレアはその言い直しに対して、「その会社の名前なら知ってるわよ、お父さん」と返しています。父と娘の軽い掛け合いから始まる場面です。
そのあとジェイは、届いたメッセージの「次はがんばれよ。ハハ」を読み上げ、「あいつは、俺をいらつかせる言い方をいつも心得てやがる」とこぼします。ここでの get my goat は、相手の言葉に腹が立つという意味で、「いつも心得ている」という言い方から、相手がどうすれば苛立つかを分かっている、という含みも伝わってきます。
引用の最後には、話者が示されていない発言が続きます。材木の仕入れ先の見積もりを待っているが、ハイキングは3時間あるため電波が入らなくなる、という内容です。話題が、腹立ちの話から、仕事の連絡が届く見込みの話へ移っていることが分かります。
ハイキングの途中という状況でも、ジェイの頭には届いたメッセージの文面が残っていて、その文面を読み上げる形で感想がこぼれています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
goat は「ヤギ」です。手元にいるヤギを、誰かにひょいと連れて行かれる様子を思い浮かべると、「大事なものを取られてカッとなる」というイメージがつかめます。
ただし、これは覚えるためのイメージで、この表現がどう生まれたかを示すものではありません。あくまで、意味を頭に残すための置き換えとして使います。
ジェイの場面に重ねると、アールのひと言が、自分のヤギを取りに来るようなものとして受け止められています。「次はがんばれよ。ハハ」という短いメッセージであっても、ジェイはそこに腹の立つ響きを読み取り、「言い方を心得ている」と受け止めています。
覚えるときは、「ヤギ」を無理に訳に出そうとせず、「腹を立てさせる」というひとまとまりの意味として口に出してみるのがコツです。
例文で覚える「get someone’s goat」
からかいへの不満、友人をなだめる場面、きょうだいとの会話と、場面ごとに表情が変わる get someone’s goat を、3つの例文で確認していきましょう。
His constant teasing really gets my goat.
(彼にしょっちゅうからかわれるのは、本当に頭にきます。)
からかいに対する不満を話す場面です。主語が「腹を立てさせる側」で、goat の所有格が my と自分になっている形が確認できます。
Don’t let him get your goat. He’s just trying to make you angry.
(彼に乗せられちゃだめだよ。君を怒らせようとしているだけなんだから。)
友人をなだめる場面です。let him get your goat の形で、相手に乗せられないよう促す使い方になります。
A: Why are you so upset?
B: My brother knows exactly how to get my goat.
(A:どうしてそんなにイライラしてるの?)
(B:兄は、どうすれば僕をイラつかせられるか、よく分かっているんだ。)
きょうだいとの関係を話す往復会話です。knows how to get my goat の形で、相手が狙ってそうしている含みを添えています。
あわせて覚えたい関連表現
get on someone’s nerves
((人)の神経にさわる、(人)をいらいらさせる)
get on someone’s nerves は、相手の存在や癖など、長く続く不快さを表します。get someone’s goat が特定の言動で腹を立てさせる瞬間的な響きなのに対し、こちらは積み重なる苛立ちに寄ります。
push someone’s buttons
((人)の怒りのツボを押す、(人)をわざと怒らせる)
push someone’s buttons は、相手の弱点を知っていてわざと押す点に焦点があります。get someone’s goat も同じ含みで使えますが、goat は怒りそのものを表す点が違います。
rub someone the wrong way
((人)の癇にさわる、(人)に不快感を与える)
rub someone the wrong way は、相手との相性の悪さや、何となく気に障る感じを表します。get someone’s goat のほうが、はっきり腹を立てさせる印象です。
Note|get someone’s goat の所有格の入れ替え方
get someone’s goat は、someone’s の部分に誰の goat かを入れる形の表現です。この所有格の入れ替え方と、不定詞で使う形を整理しておくと、聞き取りにも使いやすさにも役立ちます。
まず、所有格は「腹を立てさせられる側」に合わせます。get my goat は話し手自身が、get his goat は彼が、get your goat は聞き手が腹を立てさせられる意味になります。主語は腹を立てさせる側で、たとえば Her jokes get my goat. なら、主語は Her jokes、所有格は my です。主語と所有格が別の人を指す点が、この形の特徴です。
次に、不定詞で使う形があります。ジェイの発言 He always knows what to say to get my goat では、to get my goat が「腹を立てさせるために」という目的の意味で、what to say の後ろについています。「どう言えば腹を立てさせられるかを、いつも心得ている」という文全体の意味を、この形が支えています。
所有格を入れ替える形と、to のあとに置く形の2つを覚えておくと、様々な文の中で使いこなしやすくなります。
まとめ|相手の一言が、こちらのヤギを取りに来るとき
get someone’s goat は、相手の言動で腹を立てさせられる、という意味の口語表現です。所有格を入れ替えて、誰が腹を立てているのかを示す形が基本になります。
ヤギという言葉に引きずられず、「腹を立てさせる」というひとまとまりの意味で捉えておくと、会話の中でもすっと口に出せます。わざと苛立たせるような言動に触れる場面や、愚痴を言う場面で役立つ表現です。
ジェイがアールのメッセージを読み上げ、自分の苛立ちを口にした場面は、この表現の使いどころがそのまま見える場面でした。腹立たしいひと言に出会ったときの引き出しとして、表現の幅を広げてみてください。


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