海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手に前から伝えていたつもりなのに、「そんな話は聞いていない」という空気になってしまった経験はありませんか。
そんなときにぴったりの「be up front with someone」を、『モダンファミリー』シーズン6第12話の前半、キャメロンがミッチェルに、リリーをクラウンの学校に連れて行ったことを打ち明ける場面から、一緒に見ていきましょう。
「be up front with someone」の意味とニュアンス
be up front with someone
意味:(人に)率直に話す、包み隠さず伝える
be up front with someoneは、相手に対して隠し事をせず、都合の悪いことも含めて率直に伝える態度を表す表現です。up frontは「前面に、前のほうに」という意味で、大事なことを後回しにせず、いちばん前に出しておくイメージがあります。
この表現のポイントは、「正直かどうか」だけでなく、「いつ伝えるか」にも関わっている点です。あとから明かすのではなく、最初の段階から見える位置に置いておく、という時間の感覚が含まれます。そのため、条件や問題点、自分の考えをあらかじめ相手に伝える場面と相性がよい表現です。
形としては、be up front with + 人が基本で、何について率直なのかを加えたいときはaboutを続けます。たとえばbe up front with you about the priceのように使います。また、very up frontのようにveryで強めたり、beの進行形や現在完了形にして「ずっと率直だった」という継続の意味を出したりもできます。
【ここがポイント!】
- be up front withの核は、大事なことを最初から「前面に」置いておくイメージ
- 正直さに加えて、あとから明かすのではなく最初に伝えていたという時間の感覚がある
- be up front with + 人 + about + 事の形で、何について率直かを添えられる
『モダンファミリー』S06E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャメロンが、今朝リリーをジュニア向けのクラウンの学校に連れて行ったとミッチェルに打ち明ける場面です。黙って連れて行ったことをとがめるミッチェルに、キャメロンが言い返します。「率直に話してきた」というキャメロンの主張が、この言い合いの中心になっています。
Cameron: It’s no big deal but I took Lily to a junior clown college this morning.
(たいしたことじゃないんだけど、今朝リリーをジュニア向けのクラウンの学校に連れて行ったんだ。)Mitchell: Are you serious? Behind my back?
(本気か? 僕に黙って?)Cameron: I knew you wouldn’t approve. What was I supposed to do?
(君が賛成しないのはわかってたよ。どうしろっていうんだ?)Mitchell: Not take her because you know how I feel about all this mumbo jumbo.
(連れて行かなきゃいいだろ、こういうわけのわからないことを僕がどう思ってるか知ってるんだから。)Cameron: Hey! Mumbo Jumbo was like a father to me. I have been very up front with you. You knew going in that I wanted to raise our child as a clown.
(おい! マンボ・ジャンボは僕にとって父親みたいな存在だったんだぞ。僕はずっと君に正直に話してきたじゃないか。最初から、僕たちの子をクラウンとして育てたいって知ってただろ。)Modern Family Season6 Episode12 (The Big Guns)
シーン解説と心理考察
キャメロンの打ち明け話は、「たいしたことじゃないんだけど」という軽い前置きから始まります。話の中身は、リリーをジュニア向けのクラウンの学校に連れて行った、という報告です。軽い前置きと、報告の内容とのあいだに温度差があり、このあとの言い合いにつながっていきます。
ミッチェルはすぐに「僕に黙って?」と返します。まず問題にしているのは、相談なしに進められたことです。キャメロンは、賛成してもらえないとわかっていたと答え、どうしろというのかと投げ返します。
そこでミッチェルが、こういうわけのわからないことをどう思っているか知っているはずだと切り返すと、キャメロンは「おい!」と言い返します。ここで出てくるのがbe up front withです。相談なしに連れて行ったと言われたキャメロンは、最初から自分の考えを隠さず伝えていたと訴え、根拠として、自分たちの子をクラウンとして育てたいと知っていたはずだ、と付け加えます。
黙って進めたことをとがめる側と、前から伝えていたと主張する側が、夫婦の間で向き合う場面です。同じ出来事が、伝えた側と受け取った側で、まるで違って見えていることが会話の温度を変えています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
テーブルの上に、大事な書類をあらかじめ広げておく場面を思い浮かべてみましょう。話し合いが始まるより前に、いちばん目立つ位置に置いてあれば、相手はあとから「そんなものがあるなんて知らなかった」とは言えません。都合の悪い書類でも、最初から見える場所に置いておく。その動作が、be up front withの「率直に話す」につながります。
キャメロンの言い分も、この絵に重ねられます。自分の願いは前から見える位置に出してある、だからあとになって責められるのはおかしい、という主張です。実際に相手に伝わっていたかどうかは別として、「最初から机の上に出していた」という感覚がこの一言の芯にあります。何かを伝えるときに、あとで揉めないよう先に置いておく。そのイメージで覚えておくと、使いどころを思い出しやすくなります。
例文で覚える「be up front with someone」
be up front with someoneは、悪い知らせや本音を先に伝えたい場面で力を発揮する表現です。ビジネスから日常のやり取りまで、3つの例文で使い方を確認していきましょう。
I’d like to be up front with you: we can’t finish by Friday.
(率直に言います。金曜日までには終わらせられません。)
悪い知らせを、あとに回さず先に伝える職場の場面です。I’d like toで始めると、これから率直に話すという前置きの役目を果たします。
She was up front with me about the risks from the start.
(彼女は最初からリスクについて包み隠さず話してくれました。)
取引の相手の誠実さを振り返る場面です。from the startを添えると、最初から隠していなかったという時間の感覚が出ます。
A: Why didn’t you tell me earlier?
B: I told you, I’ve been up front with you the whole time.
(A:どうして早く言ってくれなかったの?)
(B:言っただろ、ずっと包み隠さず話してきたよ。)
非難に対して反論する友人同士の会話です。現在完了進行形のI’ve been up front withにすると、今までずっと率直だったという継続の意味が加わります。
あわせて覚えたい関連表現
be honest with someone
(人に正直である)
うそをつかないことに重点があります。be up front withは、正直であることに加えて、言いにくいことも早い段階で先に伝えるという意味合いが強くなります。
level with someone
(人に本当のことを話す)
相手に本当のことを打ち明ける、やや口語的な言い方です。be up front withは、隠さず先に伝えるという時間的な意味も含みます。
come clean
(洗いざらい打ち明ける)
隠していたことを白状するという意味で、これまで隠していたことが前提になります。be up front withは、初めから隠さないことを指します。
Note|be up front with、be honest with、come cleanの違い
「率直に伝える」に近い表現は複数ありますが、どの時点の話をしているかで、選ぶ言葉が変わります。今回のbe up front withを、近い2つの表現と比べてみましょう。
比べるときの視点は、隠していたのか、うそをついたのか、いつ伝えたのか、の3つです。be up front withは、最初から隠さずに伝えることを表します。伝えた時点が「最初の段階」で、そのときに都合の悪いことも含めて話したことが中心です。be honest withは、うそをつかないこと、つまり事実と違うことを言わないことが中心です。伝えるタイミングまでは含みません。
come cleanは、隠していたことを打ち明ける表現です。この言葉が使われるときは、それまで隠していたという前提があります。つまり、最初から率直だったbe up front withとは、時間の向きが逆になります。たとえば「I’ll come clean」なら、これから隠していたことを話す宣言になります。
シーンのキャメロンは、これまでの自分を「very up front」と表しました。隠していたことを打ち明けるcome cleanではなく、最初から伝えていたと主張する形です。3つの違いを押さえておくと、自分の立場をどう説明したいかに合わせて言葉を選べます。
まとめ|最初から机の上に置いていた、という主張
be up front with someoneは、隠し事をせず、都合の悪いことも含めて率直に伝えることを表す表現です。be up front with + 人の形に、aboutで内容を添えるのが基本になります。
悪い知らせを先に伝えるとき、条件や考えをあらかじめ相手に示すとき、あとから揉めないよう本音を言葉にしておくときなど、幅広い場面で使えます。be honest withやcome cleanと区別しておくと、いつ、どんな状態で伝えたのかまで言い分けられます。
夫婦の言い合いの中で、キャメロンは自分の願いを隠していないと訴えていました。前から見える位置に置いていたことを、はっきり口にする一言でした。会話のレパートリーに加えてみてください。


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