海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
長年力を尽くしてきた仕事について、自分の思いをはっきりぶつけたくなる場面があります。
そんな思いを言葉にする「give one’s all」を、『モダンファミリー』シーズン7第9話の後半、ジェイの引退の発表のあとに、クレアが会社への思いをぶつける場面から、一緒に見ていきましょう。
「give one’s all」の意味とニュアンス
give one’s all
意味:全力を尽くす、持てる力をすべて注ぎ込む
give one’s all は、時間、体力、気持ちなど、持っているものをすべて注ぎ込んで取り組むことを表す表現です。give は「与える」、all は「すべて」で、直訳は「自分のすべてを与える」です。
one’s の部分には、主語に合わせて my、his、her、your、our などが入ります。見出しの形は give one’s all ですが、実際の文では give his all、give your all のように人称が変わります。ドラマの中では、過去形の gave と my が組み合わさった gave my all の形で登場します。
使える場面は幅広く、スポーツの試合後に全力を出し切ったと語るとき、仕事や育児に打ち込んできたと述べるとき、舞台や発表に全力で臨むときなどがあります。過去形で言うと、「これまで全力でやってきた」という自負が前に出ます。
all は「すべてのもの」を表す語で、ここでは give の目的語になっています。何に対して全力を尽くすのかは、to のあとに対象を置いて示します。to を置かない場合は、前後の流れから対象が分かる形で使われます。
日本語にするときは、「全力を尽くす」「全身全霊で取り組む」「持てる力をすべて注ぐ」の中から、文脈に合う言葉を選びます。
【ここがポイント!】
- 「give one’s all」の核は、持っているものを全部差し出すイメージ
- one’s の位置には my や her など、主語に合わせた語が入る
- 過去形の gave my all は、「これまで全力でやってきた」という自負を伝える一言になる
『モダンファミリー』S07E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジェイが引退を発表したあと、クレアに感想を尋ねる場面です。クレアは、会社に全力を尽くしてきたと主張して、思いをぶつけます。ジェイが何か言いかけると、まだ話は終わっていないと遮ります。今回のフレーズは、クレアの答えの冒頭近くに出てきます。
Jay: There she is. Haven’t seen you since my big announcement. What do you think?
(お、そこにいたか。俺の大きな発表のあと、お前の顔を見てなかったな。どう思う?)Claire: I think that I gave my all to this company and that if you were gonna hand over the reins to somebody, it should be me and not some hump from Chicago!
(私はこの会社に全力を尽くしてきたと思うの。それに、誰かに経営を譲るつもりなら、それは私であるべきで、シカゴから来たどこかの男じゃないはずよ!)Jay: Well, it just so happens
(まあ、実はたまたま)Claire: I’m not finished, dad! Thank you for saving me from wasting the next 20 years of my life talking about slats, rods, and hinges from becoming the most boring person in the most boring industry on earth!
(まだ話は終わってないわよ、パパ! 板やレールや蝶番の話をして、これからの20年を無駄にして、世界一退屈な業界で一番退屈な人間になるところを救ってくれて、ありがとう!)Jay: “Boring”?!
(「退屈」だと?!)Modern Family Season7 Episode9 (White Christmas)
シーン解説と心理考察
ジェイの What do you think? に対して、クレアは I think that で答えを始めます。that 節は二つ並んでいて、ひとつ目が I gave my all to this company、ふたつ目が if you were gonna hand over the reins to somebody, it should be me です。会社にこれまで力を注いできたという事実と、だから経営を任される相手は自分であるべきだという主張が、順番に置かれています。
gave が過去形である点も、見どころです。「全力を尽くした」という完了した事実を、これまでの積み重ねとして差し出す形で、主張の根拠になっています。to this company と対象を示すことで、誰のために力を注いだのかも明確です。
some hump from Chicago は、ジェイの発表のなかで会社を率いる人として挙がった、シカゴの人物を指す言い方です。hand over the reins は「手綱を渡す」、つまり会社の舵取りを任せることを表しています。
ふたつの that 節は、「自分はこれだけ尽くしてきた」という過去の積み重ねと、「だから任されるのは自分であるべきだ」という現在の主張を、つなげて見せる組み立てです。gave my all が前半に置かれることで、後半の主張を支える土台になっています。
ジェイが Well, it just so happens と言いかけると、クレアは I’m not finished, dad! と遮ります。続く Thank you for saving me from … は、感謝の形をとっていますが、本心からの感謝ではなく、皮肉です。救ってくれてありがとう、という形で、退屈な業界で一番退屈な人間になる未来を引き合いに出し、不満を伝えています。
ジェイは、その言葉のなかの boring を取り上げて、”Boring”?! と聞き返します。長い訴えのなかの一語を拾って返す、という流れで、やり取りの温度が一気に上がります。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
財布を逆さにして、小銭も紙幣もひとつ残らず差し出す場面があるとします。その動きが give one’s all です。
クレアの I gave my all to this company は、まさにその形です。差し出したものは、時間や労力、気持ちといった、持っているものすべて。それを to this company と、会社に向けて渡し切った、という宣言になっています。
財布が空になるまで差し出したからこそ、そこには「これだけやった」という自負が乗ります。空になった財布は、「これだけ出した」という何よりの証拠です。gave my all に自負がにじむのも、この絵で説明がつきます。
例文で覚える「give one’s all」
全力を出し切る場面で使える give one’s all を、3つの例文で確認していきましょう。
I gave my all in the final match, but we lost.
(決勝戦で全力を出したけど、負けちゃったよ。)
試合後に気持ちを話す、日常の場面です。but を挟んで、全力を出したうえでの結果を述べています。
She gave her all to the project and finished it ahead of schedule.
(彼女はそのプロジェクトに全力を注ぎ、予定より早く終わらせました。)
チームの成果を報告する、ビジネスの場面です。to the project と対象を示し、主語が she なので her になっています。
A: How was the audition?
B: I gave it my all, so I have no regrets.
(A:オーディションはどうだった?)
(B:全力を出したから、悔いはないよ。)
結果を待つ友人と話す、気持ちの場面です。it で対象を受けた形で、so のあとに結論を続けています。
あわせて覚えたい関連表現
do one’s best
(最善を尽くす)
do one’s best は、できる範囲で最善を尽くすという、一般的な言い方です。give one’s all は、持てるものをすべて注ぎ込むという、より強い自負や、捧げるような響きがあります。
go all out
(全力を出す、思い切りやる)
go all out は、手加減せず思い切りやる勢いを表します。give one’s all が「自分のものを全部与える」という捧げる響きを持つのに対し、こちらは勢いのよさに重点があります。
put one’s heart and soul into something
(〜に心血を注ぐ)
put one’s heart and soul into は、気持ちの込め方を強調する表現です。give one’s all は、時間や力も含めて、持てるものすべてを指す点が、広い言い方です。
Note|「すべてを与える」という直訳と、「全力を尽くす」の関係
give one’s all を直訳すると、「自分のすべてを与える」です。ここから「全力を尽くす」という意味へどうつながるのかを、整理します。
give は「与える」、all は「すべて」ですが、ここで与える先は、人というより、仕事、試合、練習など、力を注ぎ込む対象です。そのため、to のあとに対象を置いて、give my all to this company のように使います。all は「持っているものすべて」で、時間、体力、気持ちを一まとめにした言い方です。何を差し出すのかを細かく言わず、持てるものの全部、と包括的に言うところが、この表現の特徴です。one’s の部分は主語に合わせて変わり、I なら my、she なら her、we なら our になります。さらに、give it my all のように、it で対象を受ける形もあります。I gave my all to this company は対象を to で示す形、I gave it my all は、すでに話題に出た対象を it で受ける形です。
クレアの I gave my all to this company は、give A to B の形そのものです。「会社に」注いだすべて、という意味になります。
差し出す先がはっきりしているからこそ、「与える」という直訳が、そのまま「全力を尽くす」に重なります。
まとめ|持てるものを、全部差し出した自負
give one’s all は、時間、体力、気持ちなど、持っているものをすべて注ぎ込んで取り組むことを表す表現です。one’s は主語に合わせて入れ替わり、対象は to や it で示します。
過去形の gave my all は、これまで全力で取り組んできたという自負を伝える形です。仕事や試合の振り返り、これからの取り組みへの意気込みまで、幅広い場面で使えます。
何に、どれだけ注いだか。to のあとに置く対象しだいで、仕事の振り返りにも、試合後のひと言にもなる表現です。


コメント