海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
周りが何を言っても耳を貸さず、一つの目的に向かって突き進む人。身近にそんな姿を見かけることがあります。
そんな人物を一言で描ける「hell-bent on something」を、『モダンファミリー』シーズン7第20話の前半、会社を率いるクレアが、自分のメールをめぐる不審な出来事について語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「hell-bent on something」の意味とニュアンス
hell-bent on something
意味:(何かを)なんとしてもやろうとする、躍起になる
hell-bent on something は、何かをやり遂げることだけを考えて、周りが見えなくなるほど突き進んでいる様子を表す形容詞の表現です。hell は「地獄」、bent は「決心した、心を決めた」という意味なので、構成語だけを見ると穏やかではありませんが、日本語の「なんとしても」「躍起になって」に近い強い勢いが中心にあります。
on の後ろには、実現しようとしている物事が来ます。名詞でも動名詞(-ing)でも置けるので、hell-bent on winning(勝つことに)や hell-bent on revenge(復讐に)のように、後ろに何を置くかで「何に躍起になっているのか」が決まります。今回のシーンでは、something の位置に leaking company secrets という動名詞の形が入っています。
また、人を後ろから説明する形でも使えます。someone hell-bent on … と書けば、「〜することに躍起になっている誰か」という意味の、名詞を後ろから修飾するかたまりになります。良い目標にも悪い目標にも置けますが、今回のシーンでは、よくない目的に向かう人物を指すために使われています。
【ここがポイント!】
- 「hell-bent on something」の核は、周りが見えないほど一つの目的に突き進むこと
- on の後ろには名詞も動名詞(-ing)も置ける
- someone hell-bent on … のように、人を後ろから説明する形でも使える
『モダンファミリー』S07E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ClosetCon まであと4日という中で、会社を率いるクレアが、自分のメールに起きた出来事を語ります。語りは、メールの話から、社内に内通者がいるという見立てへと進んでいきます。
Claire: Apparently, someone tried to access my e-mail before I got in.
(どうやら、私が着く前に、誰かが私のメールにアクセスしようとしたみたい。)Claire: Someone hell-bent on leaking company secrets.
(会社の機密を漏らそうと躍起になっている誰か。)Claire: It is four days until C-Con, and Pritchett’s Closets has a mole.
(C-Con まであと4日なのに、プリチェット・クローゼッツには内通者がいる。)Claire: No one is above suspicion.
(誰も、疑いの外にはいない。)Modern Family Season7 Episode20 (Promposal)
シーン解説と心理考察
語りの出発点は、「私が着く前に、誰かが私のメールにアクセスしようとしたみたい」という一言です。冒頭の Apparently は「どうやら」という意味の副詞で、言い切りを避けた、状況から読み取った内容であることを示す言い方です。
そこから、Someone hell-bent on leaking company secrets. と、誰かの姿が具体的になっていきます。この一文は、文として完結していない断片です。メールを開こうとした誰かを、「会社の機密を漏らそうと躍起になっている」人物として言い換えています。クレアはその誰かが誰なのかを特定してはおらず、あくまで「そういう人がいる」という見立てを語っているだけです。
さらに、C-Con まであと4日、プリチェット・クローゼッツ(Pritchett’s Closets)には mole、つまり内通者がいる、と話は大きくなります。mole は本来「モグラ」の意味ですが、ここでは会社の秘密を外へ漏らす人を指しています。最後の「誰も、疑いの外にはいない」は、すべての人を疑う対象に含めるという宣言です。
確かな証拠が示されているわけではなく、不審な出来事から社内に裏切り者がいると見立てているところが、この語りの特徴です。イベントを間近に控えた状況が、短く言い切る文の連なりに表れています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
手がかりにしたいのは、hell(地獄)の方向へ bent(曲がった)まま突き進む人の姿です。道がどれだけ険しくても、行き先を変えずにまっすぐ突き進む人です。周りの景色も、足元の障害物も、目に入っていません。
クレアが語った「機密を漏らそうと躍起になっている誰か」は、まさにこの絵に重なります。目的だけを見て、他は何も見えていない人物です。この「行き先しか見えていない人」を思い浮かべながら、hell-bent on の後ろに、その人が目指すものを置いていくと、使い方が自然に身につきます。
例文で覚える「hell-bent on something」
目標に向かう場面から職場の会話まで、3つの例文で確認していきましょう。
He is hell-bent on winning the championship this year.
(彼は今年、なんとしても優勝するつもりだ。)
スポーツ選手の意気込みを語る場面です。on の後ろに winning と動名詞を置いて、何に躍起になっているのかを示しています。
A: Why won’t he listen to anyone?
B: He’s hell-bent on finishing the project alone.
(A:どうして彼は誰の言うことも聞かないの?)
(B:一人でそのプロジェクトをやり遂げることに躍起になってるんだ。)
職場の頑固な同僚について話す会話です。人の意見に耳を貸さない様子が、hell-bent on の持つ「周りが見えない」感じと重なります。
She seems hell-bent on proving everyone wrong.
(彼女は、みんなの予想を覆すことに躍起になっているようだ。)
友人の頑張りを説明する場面です。seems を添えると、断定せずに見たままの印象として伝えられます。
あわせて覚えたい関連表現
be determined to do something
(〜すると決心している)
be determined to は、強い意志を前向きに表す一般的な言い方です。hell-bent on は、周りが見えないほどの執念を含み、やや行き過ぎた印象を伴うことがあります。
be set on something
(〜すると決めている)
be set on は、「それをやると心に決めている」という中立的な言い方です。hell-bent on は、そこに勢いや執着の強さが加わります。
be intent on something
(〜に専念している、強く意図している)
be intent on は、目的に意識を集中している状態を指し、やや書き言葉寄りです。hell-bent on は口語で、勢い余って突き進む感じが強く出ます。
Note|「躍起になる」「なんとしても」「執念を燃やす」、hell-bent on を訳し分ける
hell-bent on something には、日本語の定訳が1つに決まらないという難しさがあります。構成語の hell と bent をそのまま訳すと「地獄に曲がった」のようになってしまい、意味から離れてしまうからです。比喩の像としては、「一つの方向にまっすぐ突き進む勢い」を表していて、その勢いの向き先と強さに合わせて日本語を選びます。
まず、目標に向かう勢いを前向きに言いたいときは、「なんとしても〜しようとする」が使いやすい訳です。He is hell-bent on winning. なら、「彼はなんとしても勝つつもりだ」となります。次に、周りの意見を聞かない様子を強調したいときは、「躍起になる」が合います。例文の「一人でやり遂げることに躍起になってるんだ」は、この訳し方です。さらに、よくない方向へ突き進む人物を描くときは、「〜することに躍起になっている」「〜しようと必死な」のように、やや冷めた書き方に寄せると、自然な日本語になります。
シーンの Someone hell-bent on leaking company secrets は、会社の機密を漏らそうとする誰かを描いているので、「漏らそうと躍起になっている誰か」と訳しました。同じ表現でも、向かう先が良いか悪いかで、日本語の温度が変わります。英語の側は同じ形のまま、日本語側で温度を調整する。それが、hell-bent on を訳すときの要点です。
逆に言えば、日本語から英語にするときも、「躍起になる」「なんとしても」「執念を燃やす」のどれであっても、hell-bent on の後ろに目指す物事を置くという骨組みは変わりません。日本語の言い回しが違っても、英語では on の後ろの名詞や動名詞を入れ替えるだけで済むので、組み立てはむしろ単純です。
まとめ|行き先しか見えていない人を描く一言
hell-bent on something は、何かをやり遂げることに向かって、周りが見えなくなるほど突き進む様子を表す表現です。on の後ろに名詞や動名詞を置き、someone hell-bent on … の形で人物を後ろから説明することもできます。
クレアは、不審な出来事から社内に内通者がいると見立て、「機密を漏らそうと躍起になっている誰か」という言い方で、その姿を描き出しました。短い語りの中にも、ClosetCon を間近に控えた、会社を率いる立場のクレアの警戒がにじみます。


コメント