海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手が「前に話したかな」と前置きした話が、実はもう聞いたことのある話だった。会話ではよくある一コマです。
そんなときに使える「come up」を、『モダンファミリー』シーズン7第20話の後半、プロムに誘われて感激するキャメロンの打ち明け話のあとに出てくる、ミッチェルのひとことから、一緒に見ていきましょう。
「come up」の意味とニュアンス
come up
意味:(話題などが)持ち上がる、話に出る
come up は、come(来る)と up(上へ)が組み合わさった句動詞で、話題や問題が自然と表に出てくるイメージを持つ表現です。誰かが意図して持ち出すというより、会話の流れの中で、その話が浮かび上がってくる感覚があります。
同じ形でも、文脈によって意味が変わる点が、この表現の特徴です。「話題に出る」のほかにも、「用事が入る」「近づく」「(太陽などが)昇る」といった意味があります。見分けるときは、主語に何が来ているかを手がかりにします。主語が話題や名前なら「話に出る」、something のような漠然とした主語なら「急な用事が入る」という方向で読みます。
文の組み立てとしては、come up は目的語を直接取らない自動詞です。「〜を話題に出す」と、持ち出す側を主語にしたいときは、come up ではなく bring up を使います。話題のほうを主語にして「話が出た」と言うときが、come up の出番です。
今回のシーンでは、It’s come up. の形で出てきます。It’s は It has の短縮で、come は過去分詞です。現在完了の形になっているので、「その話は、これまでに出たことがある」という、経験や経過を含んだ言い方になります。
【ここがポイント!】
- 「come up」の核は、話題や問題が自然と表に出てくること
- 主語が話題か、something のような漠然とした語かで、意味を見分けられる
- It’s come up. の形は、「その話はすでに出たことがある」という経過を含む
『モダンファミリー』S07E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャメロンとミッチェルは夫婦です。それより前の場面では、プロムの付き添い役の話をキャメロンが持ち出し、ミッチェルは『Cabaret』のチケットがあると断っていました。ここでは、ミッチェルのほうから付き添い役の話を切り出す形になります。キャメロンの打ち明け話のあとに出てくる、ミッチェルのひとことが今回の表現です。
Cameron: Oh, um Mitchell, we have a problem.
(あのね、ミッチェル、問題が起きたよ。)Mitchell: No, we don’t. I mean, unless you’re busy that night.
(いや、問題なんてないよ。つまり、その夜に予定が入ってなければの話だけど。)Cameron: Are — Are you asking me to prom?
(も、もしかして、僕をプロムに誘ってるの?)Mitchell: Well, you know, they need chaperones.
(ほら、付き添い役が必要なんだって。)Cameron: Mitchell, this is the sweetest thing you’ve ever done for me. I-I don’t know if I’ve mentioned it, but I never got to go to my own prom.
(ミッチェル、これは今まで僕にしてくれた中で一番素敵なことだよ。もう話したかどうか分からないけど、僕は自分のプロムに行けなかったんだ。)Mitchell: It’s come up.
(その話は、前に出たことがあるよ。)Modern Family Season7 Episode20 (Promposal)
シーン解説と心理考察
キャメロンが「問題が起きたよ」と切り出すと、ミッチェルはすぐに「いや、問題なんてないよ」と打ち消します。そして「その夜に予定が入ってなければの話だけど」と続けます。誘う言葉そのものは、「プロムに来て」ではなく、予定を確かめる言い方になっています。
キャメロンが「僕をプロムに誘ってるの?」と確かめると、ミッチェルは付き添い役が必要なんだと理由を添えます。キャメロンは「今まで僕にしてくれた中で一番素敵なことだよ」と感激します。そのうえで、自分のプロムに行けなかったことを打ち明けます。I don’t know if I’ve mentioned it は、「もう話したかどうか分からないけど」という前置きで、相手がすでに知っているかもしれないと気にかける言い方です。
そのあとに続くミッチェルの It’s come up. が、このシーンの要になります。It は、キャメロンが自分のプロムに行けなかったという話を指し、その話はすでに出たことがある、とミッチェルはひとことで言い表しています。言葉を尽くして感激を語るキャメロンと、ひとことで済ませるミッチェル。2人の言葉の長さの違いが際立ちます。
もうひとつ見ておきたいのは、前の場面との対比です。付き添い役の話をキャメロンが先に出し、ミッチェルが断った経緯があるので、ここでは2人の立場が入れ替わった形になっています。ミッチェルは、断った側から誘う側に回っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
絵の出発点は、水の底に沈んでいた話題が、ふとした会話の拍子に水面へ浮かんでくる様子です。誰かが引き上げたのではなく、up へ向かって、自然に上がってくる絵です。
ミッチェルの It’s come up. は、キャメロンのプロムの話が、以前に水面へ上がってきたことがある、と伝えています。話題が上へ来る。come と up の2語を、そのまま絵に置き換えるだけで、「話に出る」という意味が形になります。
例文で覚える「come up」
話題が出る場面から急な用事まで、3つの例文で確認していきましょう。
The question of pay came up during the meeting.
(会議の中で、給料の話が持ち上がった。)
会議で話題が出たことを報告する場面です。主語に話題が来ているので、「話に出る」の意味だと分かります。
Sorry I’m late. Something came up at work.
(遅れてごめん。仕事で急な用事が入ったんだ。)
遅刻の理由を説明する場面です。主語が something という漠然とした語なので、「用事が入る」の意味になります。
A: Did you tell her about the trip?
B: It came up, but we didn’t decide anything.
(A:彼女に旅行の話はした?)
(B:話には出たけど、何も決めなかったよ。)
話題に出たかどうかを確認し合う会話です。It came up と過去形にすると、話に出たという事実だけを伝える言い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
bring up
((話題などを)持ち出す)
bring up は、話し手が自分から話題を出すことを表します。come up は、話題が自然と出てくる、または出たことを、受け身に近い視点で表します。
be mentioned
(言及される)
be mentioned は、「名前や話題が言及される」という中立的で、やや書き言葉寄りの言い方です。come up は、会話の中で自然に話に出る感じが強く出ます。
crop up
((予期せず)現れる、持ち上がる)
crop up は、問題などが予期せず出てくる感じが強い表現です。come up は、話題が出る場合にも、予定が入る場合にも使えて、範囲が広くなります。
Note|It came up、Something came up、come up to … と、意味ごとに変わる come up の形
come up は意味が多い句動詞ですが、文の形を見れば、どの意味で使われているのかをかなり絞り込めます。ここでは、主語と後ろの言葉の組み合わせから、意味を見分ける手がかりを整理します。
まず、It came up. や The question came up. のように、主語が話題や名前のとき、意味は「話に出る」です。シーンの It’s come up. もこの仲間で、現在完了の形にすることで、「すでに出たことがある」という経過が加わります。次に、Something came up. のように主語が something のときは、「急な用事が入る」という意味です。何が起きたのかを言わずに、都合がつかない理由だけを伝える言い方になります。
さらに、come up to … のように、to の後ろに人や場所が続くときは、「近づく、歩み寄る」という動作の意味です。主語が太陽などのときは、「昇る」です。同じ come up でも、主語の種類と後ろの言葉が違えば、意味も変わります。
なお、話題が出た場面を「いつ」と言いたいときは、during the meeting のように、時や場面を表す語句を後ろに添えます。「誰が持ち出したのか」を言いたいときは、bring up の文に切り替えるのが自然です。
この見分け方を使うと、意味の多い句動詞が整理しやすくなります。主語が話題、something、人、太陽のどれなのか。後ろに to や at が続くのかどうか。この2点を確かめるだけで、日本語訳の方向が決まります。
まとめ|自然に浮かび上がる話題を、ひとことで言い表す
come up は、話題や問題が自然と表に出てくることを表す句動詞です。主語が話題なら「話に出る」、something なら「急な用事が入る」と、文の形から意味を絞り込めます。
キャメロンが「もう話したかどうか分からないけど」と前置きして打ち明けた話は、ミッチェルにとってはすでに出たことのある話でした。It’s come up. の短いひとことが、そのことを言い表しています。


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