海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
用事も買い物も頼めるサービスに任せきりで、気がつけば自分では何もしていなかった、という日があります。そんな暮らしを変えようと思い立つとき、最初に口をつく言葉があります。
その一言に使える「lead by example」を、『モダンファミリー』シーズン8第13話の前半、頼めるサービスの名前を並べ合ったあとで、キャメロンがミッチェルに暮らしの見直しを持ちかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「lead by example」の意味とニュアンス
lead by example
意味:率先して手本を示す、自分の行動で見本になる
lead by example は、人に「こうしなさい」と言う前に、自分が先に動いてみせることで周りの手本になる、という意味の表現です。lead は「導く、先に立って進む」、by example は「見本によって、実例によって」を表します。2つを合わせると「見本を通して導く」という文字どおりの意味になり、説明や命令ではなく、行動そのものが案内役になる組み立てです。
lead は動詞なので、形が変わります。主語が三人称なら leads by example、過去の話なら led by example、「〜している」「〜し始める」と動作を捉えるなら leading by example です。今回のシーンでは、start のあとに leading by example が続いています。start leading by example は「手本を示すことを始める」という意味で、これまでは示せていなかったので、これから示す、という含みが出ます。
誰の手本になるのかは、文脈で決まります。職場なら部下、家庭なら子ども、チームなら仲間です。相手をはっきり書きたいときは lead the team by example のように lead のあとに目的語を置き、置かないときは、周囲の人全体が相手だと読めます。
日本語では「率先垂範」という四字熟語が近い訳語ですが、会話の中では少し硬く聞こえます。「まず自分が見本になる」「自分から先にやってみせる」のほうが、話し言葉にはなじみます。
【ここがポイント!】
- 「lead by example」の核は、指示の前に自分が先に動いて見せること
- leads / led / leading と活用でき、start のあとに leading の形でも置ける
- 手本を見せる相手を、文脈か目的語で示すと意味がはっきりする
『モダンファミリー』S08E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
リリーに「何でもアプリに頼っている」と言われ、ミッチェルとキャメロンが自分たちの使っているサービスを数え上げていく会話です。キャメロンが家の用事に使えるものを並べ、ミッチェルがそのひとつを気に入っていると返したところで、キャメロンが話の向きを変えます。その切り出しの一言に、フレーズが入っています。
Cameron: And TaskRabbit for stuff around the house. And Washio and ParkMe and the one where the guy comes over and builds a fire in your fireplace.
(家のことは TaskRabbit があるでしょ。それに Washio と ParkMe と、男の人が来て暖炉に火をおこしてくれるやつも。)Mitchell: Oh, LogBuddy. I love LogBuddy.
(ああ、LogBuddy ね。あれ、大好きなんだよ。)Cameron: We need to start leading by example. From now on, we’re all gonna be a little more self-reliant. For starters, I’ll build the fires.
(僕たち、まず自分が手本を見せないと。これからはみんな、もう少し自分のことは自分でやるようにしよう。手始めに、火は僕がおこすよ。)Mitchell: But the LogBuddy guy comes dressed as a lumberjack.
(でも、LogBuddy の人はきこりの格好で来るんだよ。)Cameron: I have a flannel shirt.
(僕だって、フランネルのシャツは持ってるよ。)Modern Family Season8 Episode13 (Do It Yourself)
シーン解説と心理考察
キャメロンの We need to start leading by example. は、反省と提案がひとつになった一言です。直前まで、自分たちが頼っているサービスを二人で数え上げていたので、「頼りきっている」ことへの気づきが前提にあります。主語が I ではなく We なのも、ミッチェルを巻き込んで一緒に変えようとする言い方として響きます。手本を見せる相手は、直前にそう指摘したリリーです。
続く From now on, we’re all gonna be a little more self-reliant. は、「これから」と時点を区切って方針を示す文です。self-reliant は「自分のことを自分でできる」という意味で、a little more が付くことで、全面的な生活の改革ではなく、少しずつ寄せていく程度の宣言になっています。さらに For starters, I’ll build the fires. と、手始めに自分が火をおこすと行動まで言い切ります。言うだけで終わらず、最初の一歩を自分で引き受けているところが、lead by example の中身そのものです。
ミッチェルは But the LogBuddy guy comes dressed as a lumberjack. と、火をおこしに来る人がきこりの格好で現れる、という話を持ち出します。火をおこしに来る人の服装という、サービスにまつわる細かな事情を挙げる返し方です。キャメロンは I have a flannel shirt. と切り返し、自分もフランネルのシャツなら持っていると言います。火をおこす役を自分が務めるという宣言が、軽い調子のまま続いている点が見どころです。
提案から切り返しまでを通して見ると、lead by example が大げさな決意表明ではなく、日常の小さな行動に結びついて使われていることが分かります。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
列の先頭を歩く人の背中を思い浮かべてみてください。後ろに向かって「ついてきて」と呼びかけるのではなく、黙って先に歩き出し、その背中が道しるべになります。lead(導く)の道具が by example(見本)である、という絵です。
キャメロンも、みんなに自分で動くよう呼びかける前に、「火は僕がおこす」と手を動かす役を先に引き受けました。口で導くのではなく、背中で導くという向きが、このフレーズの芯にあります。
背中を見せる側になるか、見る側になるかで、同じ場面の景色が変わります。誰かに何かを頼みたくなったとき、まず自分の手が動いているかを確かめる、という使い方を何度か試すうちに、この言い方が自分の手になじんでいきます。
例文で覚える「lead by example」
lead by example は、職場でも家庭でも置きどころがあります。形を変えた3つの例文で、使い方の幅を確かめていきましょう。
Our manager leads by example and answers emails faster than anyone.
(うちのマネージャーは率先して手本を示していて、誰よりも早くメールに返信します。)
職場で上司の姿勢を語る場面です。主語が三人称なので leads と s が付き、by example のあとの and で、手本の中身を具体的に続けられます。
If you want the kids to tidy up, try leading by example.
(子どもに片づけてほしいなら、まず自分が手本を見せてみて。)
家庭で助言をする場面です。try のあとなので leading の形になり、「手本を見せることを試す」という穏やかな提案になります。
A: How can I get the team to arrive on time?
B: Lead by example. Be there ten minutes early yourself.
(A:チームを時間どおりに来させるにはどうしたらいい?)
(B:まず自分が手本になることだね。自分が10分早く来るんだよ。)
チームの習慣を変えたい人への、往復の会話です。命令形の Lead by example. のあとに具体的な行動を添えると、何を見せればよいかまで伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
set an example
(手本を示す)
set an example は「手本になる行動をとる」ことそのものを表します。lead by example は、その手本によって周りを動かすところまで含む言い方です。set a good example for the kids のように、good や for を添える形もあります。
practice what you preach
(言うことを自分で実行する)
practice what you preach は、人に勧めていることを自分も実行するという、言行の一致に焦点があります。lead by example は、周りの人の先に立って動くという向きの強い表現です。
take the lead
(先頭に立つ、主導する)
take the lead は「先に立って進める」ことを表し、手本を示す意味までは含みません。lead by example は、先に動くことで周りの見本になる点が決め手です。
Note|「率先して」「手本を示して」と訳し分ける、lead by example の日本語
lead by example は、日本語にするときの選び方で、聞こえ方が大きく変わります。今回のシーンの訳を手がかりに、訳し分けを整理します。
英語は lead(導く)と by example(見本によって)で、「導く」という動作と「手段」が分かれています。日本語には「率先して」「手本を示して」「見本になって」など、近い言い方が複数あります。職場の説明なら「率先して」が収まりがよく、メールの返信の速さのように行動を並べる文でも自然です。家庭や友人同士の会話なら、「まず自分が手本を見せる」のように、動作をそのまま言葉にしたほうが話し言葉らしくなります。
シーンのキャメロンの台詞も、「僕たち、まず自分が手本を見せないと」と訳すと、We need to の「〜しないと」という必要の気持ちが残ります。「率先垂範しなければなりません」と訳すと、同じ英文でも、会議の挨拶のような硬い響きになります。同じ lead by example でも、誰が誰に話しているかで、日本語の硬さを選ぶことになります。
訳語が決まれば、文の形も整います。start leading by example は「手本を示すことを始める」、try leading by example は「手本を見せてみる」と、前の動詞に合わせて日本語の動詞を足せます。
英文の lead by example は一つでも、日本語の入口は場面の数だけあります。
まとめ|背中で導く、一言の使いどころ
lead by example は、指示や命令の前に自分が先に動き、その行動で周りの手本になる、という意味の表現です。活用して leads / led / leading の形になり、start や try のあとにも置けます。
職場で上司の姿勢を語るとき、家庭で子どもへの接し方を話すとき、チームの習慣を変えたい人に助言するときに、同じ一言で通じます。手本を見せる相手は、文脈か目的語で添えられます。
「言う前に自分がやる」という場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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