海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
よくないとわかっているのに、どうしても気持ちが向いてしまう。そんな抗いがたい引力を、英語は一つの絵にたとえて言い表します。
そんなときに使える「like a moth to a flame」を、『モダンファミリー』シーズン8第15話の前半、アレックスが自分の恋愛について打ち明ける場面から、一緒に見ていきましょう。
「like a moth to a flame」の意味とニュアンス
like a moth to a flame
意味:(危ないとわかっていても)抗えずに引き寄せられる
like a moth to a flame は、蛾(moth)が炎(flame)に向かって飛んでいく姿にたとえて、何かに強く引き寄せられる様子を表す言い方です。引き寄せられる対象は、ふさわしくない相手、よくないとわかっている誘惑、抗いがたい魅力など、近づけば危うさのあるものです。
文字どおりの意味は、炎に向かう蛾です。炎のそばまで行けば危ないのに、光に向かって進んでしまう動きを、人の気持ちや行動にそのまま重ねます。使い方は二通りあります。I’m like a moth to a flame のように、主語を蛾に見立てる形と、He was drawn to the stage like a moth to a flame のように、文の後ろに付け足して引き寄せられ方を絵で補う形です。
恋愛に限らず、お金、ゲーム、甘いものなど、抗いがたい対象にも使えます。引き寄せられる側が一人でも複数でも、like a moth(moths) to a flame の形は変わりません。複数のときは moth が moths になり、炎は a flame のまま単数で置きます。
名詞の moth は、単独では「蛾」という昆虫の名前にすぎません。「引き寄せられる人」という意味が加わるのは、to a flame と組み合わさった、この比喩の形の中でのことです。like a moth to a flame を一つのかたまりとして覚えておくと、語の並びを入れ替えずに済みます。
【ここがポイント!】
- 「like a moth to a flame」の核は、危ういとわかっていても抗えずに引き寄せられること
- 蛾が炎に向かう絵が、そのまま意味になる比喩表現
- 「I’m like a moth to a flame」と主語を蛾に置く形と、文の後ろに付け足す形がある
『モダンファミリー』S08E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
アレックスが、周りに隠している自分の恋愛について、一文ずつ打ち明けていく場面です。「like a moth to a flame」は、その最後の一言に使われています。
Alex: I actually am in a relationship, but I’ve been hiding it from everybody because I have once again chosen somebody that is completely inappropriate.
(実は私、付き合っている人がいるの。でも、またしても全然ふさわしくない人を選んでしまったから、みんなには隠しているの。)Alex: It’s this older guy Ben.
(年上のベンっていう人なの。)Alex: He works for my mother, and he lives with his mother.
(母のところで働いていて、自分のお母さんと一緒に住んでいるのよ。)Alex: I’m like a moth to a flame if the flame is an underachieving man-child with a Tasmanian Devil tattoo on his butt.
(私は、お尻にタスマニアデビルのタトゥーがある、うだつの上がらない子どもみたいな大人っていう炎に引き寄せられる蛾みたいなものなの。)Modern Family Season8 Episode15 (Finding Fizbo)
シーン解説と心理考察
アレックスはまず、付き合っている人がいること、そしてそれを周りの誰にも話していないことを明かします。話さない理由として、またしても全然ふさわしくない人を選んでしまったから、と自分で言い切っています。ここでふさわしくないと言っているのは、アレックス自身の言葉です。
続く二つの発言で、相手の名前と素性が示されます。相手は年上のベンで、アレックスの母であるクレアのもとで働いていて、自分の母親と一緒に住んでいる、という内容です。ここまでの三つの発言は、ベンについての情報を順に並べる形で進みます。
そして最後の一言が like a moth to a flame です。I’m like a moth to a flame と言ったあと、if the flame is … と続けて、「もしその炎が〜という人なら」と、炎の中身を自分で説明しています。比喩を出したうえで、炎の正体を条件の形で付け足す、ひとひねりのある言い方です。
付き合っていることを隠しているのは、相手をふさわしくないと自分で認めているからで、その相手に気持ちが向いてしまう、という二つの気持ちが、この一文の中に同時に収まっています。引き寄せられる側が自分、引き寄せる炎がベン、という配役を、アレックス自身が言葉にしているところが、この場面の中心です。
I actually am in a relationship の actually は、「実は」という意味で、隠していたことを打ち明ける前置きになります。have been hiding の現在完了進行形は、隠すという行動が、これまで続いてきたことを表します。like a moth to a flame を言う前に、アレックスはこうして、状況を一文ずつ整えています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
暗い夜に灯る炎と、そこへ一直線に飛んでいく蛾の絵を、そのまま頭に置きます。蛾の側から見ると、炎は明るくて、目を引くものです。それでも、近づけば危ない。この「引かれる」と「危うい」が同時にある感じが、アレックスの I’m like a moth to a flame にもそのまま重なります。
語順は、絵を左から右へ読む順番で覚えます。like のあとに蛾(a moth)、to のあとに炎(a flame)です。蛾が向かう先が炎なので、to のあとに来るのは引き寄せられる先、と対応させておくと、並びが頭に残ります。
例文で覚える「like a moth to a flame」
情景描写、買い物、ニュースを例に、like a moth to a flame の使い方を見ていきます。
He was drawn to the stage like a moth to a flame.
(彼は、炎に引き寄せられる蛾のように、ステージに引き寄せられていきました。)
人が何かに強く引かれる様子を描く場面です。drawn to のあとに引き寄せられる先を置き、like a moth to a flame を文の後ろに付け足しています。
A: Why do you keep checking that shop?
B: I can’t help it. I’m like a moth to a flame with sales.
(A:どうしてあの店を何度も見に行くの?)
(B:しょうがないよ。セールには蛾が炎に寄るみたいに引き寄せられちゃうんだ。)
買い物の誘惑に負けてしまう会話です。with sales を添えると、何に引き寄せられるのかがはっきりします。
Investors came to the new tech company like moths to a flame.
(投資家たちは、炎に寄る蛾のように、その新しいIT企業に集まりました。)
話題の企業に人が集まる様子を伝える場面です。主語が複数なので、moths と複数形になります。
あわせて覚えたい関連表現
be drawn to
(〜に惹かれる、引き寄せられる)
be drawn to は、魅力に自然に引かれる、という中立的な言い方です。like a moth to a flame は、危うさも含めて、抗えない引力を絵で表す、強い言い方です。
can’t resist
(〜に抗えない、我慢できない)
can’t resist は、我慢できない気持ちをそのまま述べる言い方です。like a moth to a flame は、その引き寄せられ方を、蛾と炎の絵にたとえて見せます。
have a weakness for
(〜に弱い、つい惹かれてしまう)
have a weakness for は、「つい好きになってしまう」という穏やかな言い方です。like a moth to a flame は、危うさや無謀さを含む場面に向いています。
Note|蛾と炎の絵から、抗えない引力という意味までを読む
like a moth to a flame は、構成している語を一つずつ見ていくと、意味まで読み取れる比喩です。文字どおりの意味から慣用句の意味までを、順にたどります。
moth は蛾、flame は炎です。文字どおりの意味は「炎に向かう蛾のように」で、蛾が炎に向かって飛んでいく姿を指します。炎は明るく、蛾の側から見れば、そちらへ向かいたくなる光です。一方で、炎のそばまで行けば危ない。この「向かいたくなる」と「近づけば危ない」の二つを、そのまま人の気持ちに重ねると、「危ないとわかっていても、抗えずに引き寄せられる」という慣用句の意味になります。
文の中での形は、like が「〜のように」、a moth が引き寄せられる側、to a flame が向かう先です。like a moth to a flame を文の後ろに付け足せば、前の文の引き寄せられ方を、絵で補う形になります。アレックスの文は、I’m like a moth to a flame のあとに if the flame is … と続き、炎が何であるかを条件で言い換えています。この if 節を使うと、比喩の炎に具体的な中身を与えられます。
訳すときは、「抗えずに引き寄せられる」を軸にして、場面に合わせて「吸い寄せられる」「つい引かれる」と言葉を選びます。蛾と炎の絵が頭にあれば、意味の取り違えは起こりにくくなります。
まとめ|わかっていても向かってしまう、その引力を絵で言う
like a moth to a flame は、危ないとわかっていても、抗えずに引き寄せられる様子を、蛾と炎の絵にたとえて表す比喩です。主語を蛾に置いて I’m like a moth to a flame と言う形と、文の後ろに付け足す形があります。
恋愛だけでなく、買い物の誘惑や、人が集まる様子にも使えます。if 節で炎の中身を言い換えれば、何に引き寄せられるのかを、ひとひねりして伝えられます。
次に like a moth to a flame を見かけたら、炎にあたるものが何かを探してみると、文の意味がつかみやすくなります。


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