海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
大事な約束を引き受ける前に、やり残したことが頭をよぎる。うれしいはずなのに、気持ちが少し揺れる、そんな瞬間があります。
その揺れを言い表す「tie oneself down」を、『モダンファミリー』シーズン8第18話の後半、ヘイリーとレイナーの会話から、一緒に見ていきましょう。
「tie oneself down」の意味とニュアンス
tie oneself down
意味:(一つの相手や約束に)自分を縛りつける、縛られて自由が利かなくなる
tie oneself down は、自分から一つの相手、場所、契約、責任などに結びついて、自由に動けなくなることを表す表現です。tie は「結ぶ、縛る」、down は「固定されて動けない」という感覚で、直訳は「自分を縛って固定する」になります。
oneself の部分は、主語に合わせて形が変わります。I なら myself、he なら himself、they なら themselves です。ドラマの台詞は一人称の過去形で、I tied myself down と言っています。縛る相手や対象は、to のあとに置きます。tie myself down to one person なら「一人の人に自分を縛りつける」、tie myself down to one city なら「一つの街に縛られる」です。
縛るのは自分自身、という点が大事です。誰かに縛られるのではなく、自分から結ぶ形になっています。受け身の be tied down を使うと、縛られている状態を言う文になり、縛った主体は問題になりません。
使う形も押さえておきます。I don’t want to tie myself down.(縛られたくない)のように否定形にすれば、自由を手放したくない気持ちを言えます。また、before I tie myself down(縛られる前に)のように before の節に入れれば、縛られる前にやっておきたいことを言う文になり、気持ちの揺れも伝わります。ドラマの台詞は、後者の形が過去の視点に置かれたものです。
訳語は、場面で選びます。結婚や約束を前にした文脈なら「縛られる」「身を固める」、長い契約なら「縛られる」、落ち着く話なら「腰を落ち着ける」が近くなります。制約の面を強く言いたいなら「縛られる」、前向きに言いたいなら「身を固める」と訳し分けます。
【ここがポイント!】
- 「tie oneself down」の核は、自分から一つの相手や約束に結びついて、自由が利かなくなること
- oneself は主語に合わせて myself・himself・themselves と変わり、縛る相手は to のあとに置く
- 結婚や長い契約のように、一度結ぶとしばらく続くものを前にした文脈で使える
『モダンファミリー』S08E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
プロポーズを受けたヘイリーが、レイナーと言葉を交わす場面です。ヘイリーが「私とあなただけ。ずっと」と言うと、レイナーは「それ、今言ったよ」と返します。ヘイリーは認めたうえで、うれしさの言葉に続けて、迷いの気持ちも口にします。「tied myself down」は、ヘイリーの長い一言の中に入っています。
Haley: Just you and me. Forever.
(私とあなただけ。ずっと。)Rainer Shine: You just said that.
(それ、今言ったよ。)Haley: I know. Because because it’s great. That’s what every girl wants, right? I mean, sure, I’m still really young and there’s obviously so much more I thought I’d do before I tied myself down to one person for the rest of my life. But does anyone ever truly feel ready to get married? I mean, probably.
(わかってる。だって、だってすばらしいことでしょ。それって、女の子ならみんな望むことよね? そりゃ、私はまだすごく若いし、一生ひとりの人に縛られる前にやりたいと思っていたことが、明らかにまだたくさんあるけど。でも、結婚する準備が本当にできてるって思える人なんている? まあ、いるとは思うけど。)Rainer Shine: Haley.
(ヘイリー。)Modern Family Season8 Episode18 (Five Minutes)
シーン解説と心理考察
ヘイリーの Just you and me. Forever. は、二人だけで、これから先ずっと、という意味の言葉です。Just you and me は「あなたと私だけ」、Forever は「ずっと」で、それを聞いたレイナーの You just said that. は、「それはたった今、言ったよ」という指摘です。just が said を修飾して、ほんの少し前に言ったことを繰り返している、と伝えています。
I know. Because because it’s great. の I know は、レイナーの指摘を認める返事です。Because が重なっているのは、言い淀んでいるからで、そのあとに it’s great と続けています。That’s what every girl wants, right? の right? は、相手に同意を求める付加の問いです。
I mean, sure, I’m still really young の I mean は、言い換えや補足に入る前置きで、sure は「確かに」と、いったん認める言葉です。there’s obviously so much more I thought I’d do の so much more のあとに、I thought I’d do が続き、「やろうと思っていたことがもっとたくさんある」という意味になります。そして before I tied myself down to one person for the rest of my life が、この表現の入った部分です。before の後ろは過去形の tied で、for the rest of my life は「一生のあいだ」という意味です。
最後の But does anyone ever truly feel ready to get married? は、疑問文の ever が「いったい」という強調になり、feel ready to + 動詞が「〜する準備ができたと感じる」です。I mean, probably. と添えて、言い切らずに終えています。ヘイリーはうれしさの言葉の中に、自由への未練と、結婚への迷いも混ぜています。
レイナーの Haley. は、名前を呼ぶだけの一言です。長い台詞のあとにこの短い一言が置かれることで、ヘイリーの言葉の長さが際立ちます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
tie は紐で結ぶ動詞、down は下に固定される感覚を足す言葉です。自分で紐を結んで、その端を床に固定してしまうと、もう自由には動けません。その動きが、tie oneself down の中身です。
ここで大事なのは、結ぶのが自分自身であることです。ヘイリーの I tied myself down は、自分から結ぶ形です。誰かに縛られるのではなく、自分で自分を縛るので、主語と oneself は同じ人を指します。
覚えるときは、I tied myself down to … の to のあとを替えた短い文を、自分で3つ作ります。to one person、to one city、to a long contract のように、何に結びつくのかを変えます。
例文で覚える「tie oneself down」
縛られる対象が違う例文を、住む場所の話から順に読んでいきます。
I don’t want to tie myself down to one city just yet.
(まだ、一つの街に縛られたくはない。)
住む場所を決めかねている場面です。否定形の don’t want to を前に置くと、縛られたくないという気持ちになります。
A: Are you thinking about getting a dog?
B: Not yet. I don’t want to tie myself down while I’m traveling so much.
(A:犬を飼うことは考えてるの?)
(B:まだ。こんなに旅行が多いうちは、縛られたくないんだ。)
生活の自由と責任を話す会話です。while のあとに期間を足すと、いつまで縛られたくないのかが伝わります。
He didn’t want to tie himself down with a long contract.
(彼は、長い契約に縛られたくなかった。)
主語が he なので、oneself が himself になっています。with のあとに、縛る手段を置いています。
あわせて覚えたい関連表現
settle down
(落ち着く、身を固める、定住する)
settle down は、生活が落ち着いた状態を言う表現です。tie oneself down は、自由が利かなくなる制約の面に重点があります。
be tied down
(縛られている、身動きが取れない)
be tied down は、受け身で縛られている状態を言う表現です。tie oneself down は、自分から縛られにいく動作を言う点が違います。
commit to
(〜に専念する、〜を約束する)
commit to は、前向きな決意や約束を表す言い方です。tie oneself down は、同じ状況を、自由が利かなくなる面から言います。
Note|縛る面を言う tie oneself down、落ち着く面を言う settle down、約束を言う commit to
結婚や長い約束を前にした気持ちは、英語では言い方で見ている面が変わります。tie oneself down、settle down、commit to の3つを比べると、その違いが見えます。
tie oneself down が見ているのは、制約の面です。自由に動けなくなる、という側面を言うので、「縛られる」という訳が合います。ドラマの台詞も、やりたいことが残っている、という文脈で使われています。
settle down が見ているのは、落ち着きの面です。生活が落ち着いて、定住したり身を固めたりした状態を言い、前向きな響きも出せます。同じ結婚の話でも、「身を固める」と訳すと自然になります。
commit to が見ているのは、決意の面です。何かに専念する、約束するという前向きな意志を言います。「結婚という約束に本気で向き合う」と言いたいときに合います。
どの面から言いたいかを決めて、動詞を選びます。制約なら tie oneself down、落ち着きなら settle down、決意なら commit to です。
まとめ|縛る面から言う表現を、他の言い方と並べる
tie oneself down は、自分から一つの相手や約束に結びついて、自由が利かなくなることを表す表現です。oneself は主語に合わせて変わり、縛る相手は to のあとに置きます。
ヘイリーは、プロポーズを受けたあとに、I tied myself down to one person と、一人の人に縛られる前にやりたいことがまだたくさんあると口にしました。うれしさの言葉と一緒に、迷いも言葉になっています。
一つの約束を引き受けることと、自由を手放すことは、同じ出来事の表と裏です。I tied myself down という一言には、その両面が同居していました。


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