海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
目の前に立ちはだかる相手や状況が、思った以上に手ごわい。そんなとき、「これは簡単にはいかないぞ」という気持ちを一言で伝えられると便利です。
その場面で使える「be up against」を、『モダンファミリー』シーズン8第19話の序盤、クレアが子どもたちに語りかける言葉から、一緒に見ていきましょう。
「be up against」の意味とニュアンス
be up against
意味:(手ごわい相手や困難)に直面している、〜を相手にしている
be up against は、乗り越えるのが簡単ではない相手や状況に、正面から向き合っている状態を表す表現です。up は「向かって近づいている」、against は「〜に対して」という感じを持つ語で、並べると、立ちはだかるものを目の前にしている姿が伝わります。
後ろには、相手や状況を表す名詞を置きます。be up against a tight deadline なら「厳しい締め切りに追われている」、be up against the defending champions なら「前回の優勝チームを相手にしている」です。be 動詞は主語に合わせて変わり、ドラマの台詞の We are up against は、複数の人が同じ壁に向き合っているときの形です。
「〜している」という状態を言う表現なので、壁にぶつかった瞬間ではなく、向き合っている最中を指します。これからどう動くかは、その後ろに続く文で決まります。たとえば We are up against a strong team, so we need a plan. のように、まず相手を示し、次に対応を述べる並びがよく合います。
訳語は「直面している」「〜を相手にしている」「〜と向き合っている」が基本です。相手が人やチームなら「相手にしている」、締め切りや疑いの目のような状況なら「直面している」を選ぶと、日本語が自然になります。
なお、up を抜いた be against ~ は「〜に反対している」という別の意味になります。be up against は、反対か賛成かの立場ではなく、手ごわいものが目の前にあるという位置関係を言う表現で、相手が自分に敵意を持っているかどうかは問いません。
【ここがポイント!】
- 「be up against」の核は、手ごわい相手や状況に向き合っている最中という状態
- 後ろに名詞を置き、複数の人なら we are up against の形になる
- 訳語は、相手が人なら「相手にしている」、状況なら「直面している」を選ぶ
『モダンファミリー』S08E19のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーが、ギャングになりきったフィルの話しぶりが一日中続くことに音を上げて、母のクレアに訴える場面です。クレアは子どもたちに向けて語りかけ、続いてフィルが口を開きます。「are up against」は、クレアが子どもたちに語りかける言葉の中ほどに入っています。
Haley: Mom, you need to control your man. I cannot listen to this character all day.
(ママ、パパをなんとかして。一日中こんなキャラの話なんて、聞いてられない。)Claire: Guys, you know your dad. You know your dad’s dad. We are up against unimaginable forces of goofy. Just remember he does it out of love.
(みんな、パパのことはわかってるでしょ。パパのお父さんのこともね。私たちが相手にしてるのは、想像もつかないほどのおふざけの力なの。ただ、パパは愛情からやってるってことは忘れないで。)Phil: It’s Johnny Law! Let’s hot-foot it!
(サツだ! ずらかるぞ!)Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)
シーン解説と心理考察
ヘイリーの I cannot listen to this character all day. は、フィルの役柄になりきった話しぶりを、もう聞いていられないという訴えです。cannot listen to … all day は「一日中〜を聞いていられない」、this character は、フィルが演じている役柄を指します。you need to control your man は、母に向けた「あなたの夫をなんとかして」という頼みです。
これを受けたクレアは、Guys と子どもたちに呼びかけます。you know your dad と you know your dad’s dad を並べて、フィルのこともその父のことも、みんなもうわかっているでしょう、と共通の了解を確かめています。そのうえで We are up against unimaginable forces of goofy. と言います。unimaginable は「想像もつかない」、forces は「力」、goofy は「おどけた、間の抜けた」で、おふざけの力を、まるで手ごわい敵のように言い表した大げさな表現です。we と言っているので、クレアも子どもたちも、同じ側に並んでいます。
続く Just remember he does it out of love. は、he をフィルとして、「パパは愛情からやっている」と念を押す一言です。out of love は「愛情から」という意味で、悪ふざけに付き合う気持ちを少し和らげる働きをしています。大げさに身構えてみせつつ、最後は理解を促す。クレアの言葉は、その二段構えになっています。
フィルの It’s Johnny Law! Let’s hot-foot it! は、役柄の口調のままの一言です。Let’s … it! は「〜しよう」と誘う形で、台詞の勢いがそのまま残っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
be up against は、壁にぴたりと近づいて立っている姿で覚えます。壁との距離はほとんどなく、目の前にそれがある。be が付くと、その場所に立ち続けている状態になります。
クレアの台詞では、立ちはだかっているのは壁ではなく、おふざけです。それを unimaginable forces of goofy と大げさに呼ぶことで、立ちはだかるものの大きさを強調しています。大きく言い切るほど、向き合う側の覚悟が際立ちます。
ここで大事なのは、立ちはだかる相手の側に悪意がなくても使えることです。フィルのおふざけは愛情から来ていると、クレア自身が言っています。それでも「相手にしている」と言えるのは、この表現が、相手の気持ちではなく、こちらから見た手ごわさを伝えるからです。
声に出して覚えるなら、We’re up against … まで一息で言い、後ろの名詞を入れ替えます。a tight deadline、a strong team、a lot of doubt と並べて口にしていくと、相手や状況を表す名詞が後ろに来る形が、舌になじんできます。
例文で覚える「be up against」
仕事、会話、スポーツと、場面の違う3つの文で使い方を確かめます。
We’re up against a tight deadline, so let’s split the work.
(締め切りが厳しいので、作業を分担しよう。)
仕事で時間の壁に向き合う場面です。a tight deadline の後ろに対応を続けると、状況の説明から行動の提案へ自然につながります。
A: How’s the new project going?
B: Honestly, we’re up against some tough competition.
(A:新しいプロジェクトはどう?)
(B:正直、手ごわい競合を相手にしてるよ。)
同僚に状況を伝える会話です。Honestly を添えると、率直に打ち明ける感じが加わります。
The team knew they were up against the defending champions.
(チームは、自分たちが前回の優勝チームを相手にしていると分かっていた。)
強い対戦相手を説明する場面です。were と過去形にすると、そのときの状況を振り返る文になります。
あわせて覚えたい関連表現
be faced with
(〜に直面している)
be faced with は、問題や選択肢が目の前に突きつけられている状態を言います。be up against は、立ち向かう相手の手ごわさが前に出る言い方です。
come up against
(〜にぶつかる)
come up against は、壁や反対にぶつかる瞬間の動きに重点があります。be up against は、すでに向き合っている状態を表します。
face
(〜に直面する、〜と向き合う)
face は目的語をそのまま取る、最も基本的な動詞です。be up against には、相手が手ごわいという含みが加わります。
Note|後ろに置く名詞と be 動詞の形で読む、be up against の使い方
be up against の使い方は、後ろに何を置くか、be 動詞をどの形にするか、の2点でほぼ決まります。
後ろに置くのは、相手や状況を表す名詞です。a tight deadline、tough competition、unimaginable forces of goofy のように、短い語でも長い名詞句でも形は同じです。ドラマの We are up against unimaginable forces of goofy. も、up against の後ろに名詞句を置いただけの文です。
be 動詞は主語と時制に合わせます。I’m up against、we’re up against、they were up against と変わるだけで、up against の部分は動きません。向き合っている状態を言う表現なので、ふつうは進行形にしません。
もう一つ、後ろの名詞を省いた be up against it という形もあります。この it は特定の物ではなく、厳しい状況そのものを漠然と指す語で、「苦しい立場にある」という意味になります。名詞を置く形と、it で状況ごと受ける形。この2つを使い分けられれば、表現の幅が広がります。
まとめ|手ごわい相手と向き合う、その最中を言い表す
be up against は、手ごわい相手や厄介な状況に向き合っている状態を表す表現です。後ろに相手や状況を表す名詞を置き、主語に合わせて be 動詞を変えます。
クレアは、フィルとその父のおふざけを unimaginable forces of goofy と大げさに呼び、We are up against と言って家族を同じ側に並べました。そのうえで、愛情からやっていることだけは忘れないように、と添えています。
壁の大きさを言い、向き合う自分たちを言い、必要なら対応を続ける。この順番で組み立てれば、仕事の場面でも日常の話でも、状況を的確に伝えられます。


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