海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
周りより一歩前に出たくて、少しの無理や我慢を引き受けた経験はありませんか。
そんなときに口にしたくなる「get ahead」を、『モダンファミリー』シーズン10第13話の前半、地方検事に頼まれてカップケーキを100個作っているというミッチェルの話から、一緒に見ていきましょう。
「get ahead」の意味とニュアンス
get ahead
意味:成功する、出世する、周りより一歩前に出る
get aheadは、仕事や勉強などの場で、周りの人より前に進んで成果を上げることを表す口語表現です。getは「〜の状態になる」、aheadは「前方に」という意味で、直訳すると「前方にいる状態になる」になります。列の中から一歩抜け出す動きが、そのまま「出世する」「成功する」という意味につながっています。
自分の進み方を述べる表現なので、あとに続ける言葉で意味が具体的になります。get ahead in this industryのようにinで分野を添えると「その業界で成功する」、get ahead of the other applicantsのようにofのあとに相手を置くと「ほかの応募者より先に出る」になります。ofが付くかどうかで、周りより前に出る意味から、特定の相手や物事に先んじる意味へ変わります。
仕事の昇進だけでなく、勉強や準備でほかの人に差をつけたい場面にも使えます。形が短いので、「前に進みたい」という気持ちを一言でまとめて伝える表現として便利です。過去形はgot ahead、進行形はgetting aheadで、getの活用に合わせて形が変わります。
【ここがポイント!】
- 「get ahead」の核は、周りより頭ひとつ前に出るイメージ
- 分野はin、先んじる相手や物事はofで示す形が基本
- 仕事の出世に限らず、勉強や準備で差をつける場面にも使える一言
『モダンファミリー』S10E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルが、地方検事に頼まれてカップケーキを100個作っていると打ち明ける場面です。頼みを引き受けた理由として、時には妥協も必要だと語り、そのあと短い言葉のやり取りが続きます。get aheadが出てくるのは、その理由を述べるミッチェルの一言です。
Mitchell: You know what I’m doing right now? I’m making 100 cupcakes because the D.A. lost his caterer for his kid’s party and asked if I could help out. But if it puts me, uh, higher up on his radar, then so be it. I’m just saying sometimes you need to compromise to to get ahead.
(今、僕が何をしてるか分かる? 地方検事が子どものパーティーの仕出し業者に逃げられて、手伝えないかって僕に頼んできたから、カップケーキを100個作ってるんだ。でも、それで、その、地方検事の目に留まりやすくなるなら、それでいい。僕が言いたいのは、出世するには時には妥協も必要だってこと。)— Maybe it’s our time now.
(もしかしたら、今が自分たちの番なのかもしれない。)— Ooh, I like that.
(お、それいいね。)Cameron: Hey, world, there’s a new power couple on the horizon.
(ねえ、世界のみんな、新しいパワーカップルがもうすぐ現れるよ。)Mitchell: Yeah.
(うん。)Modern Family Season10 Episode13 (Whanex?)
シーン解説と心理考察
冒頭のYou know what I’m doing right now?は、今まさに取りかかっている作業を話題に出す切り出しです。続いてカップケーキ100個の理由が語られ、その手間がhigher up on his radarにつながるなら構わない、と話が進みます。radarは「レーダー」のことで、higher up on his radarは相手の注意の上のほうに入る、つまり目に留まりやすくなるという言い方です。
そのあとI’m just sayingと前置きし、sometimesで「いつもではない」と範囲を限ったうえで、compromise to get aheadと結論が置かれます。妥協という言葉とget aheadが一文の中で向き合う形で、出世のための歩み寄りという意味が一文で伝わります。
文の形にも注目できます。compromise to to get aheadのtoが重なっているのは言いよどみで、実際の形はcompromise to get aheadです。このtoは「〜するために」という目的を表す不定詞で、「出世するために妥協する」という手段と目的の関係をつくっています。get aheadは動詞の原形のまま置かれているため、主語や時制に合わせて形が変わる心配もありません。
続く二つの短い言葉では、「今が自分たちの番なのかもしれない」という前向きな言葉と、「それいいね」という相づちが並びます。さらにキャメロンが「新しいパワーカップルがもうすぐ現れる」と話し、ミッチェルが「うん」と応じます。power coupleは成功する二人組のカップルを指す言い方で、get aheadの話題が、夫婦二人の前向きな見通しへとつながっていきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
aheadの中には、head(頭)の文字が入っています。マラソンの集団の中から、頭ひとつだけ前に出る人の姿を重ねてみてください。集団の中にいながら、少しだけ前に抜け出す動きが、get aheadの芯にあります。
ミッチェルが口にしたcompromise to get aheadも、手間を引き受けることで周りより頭ひとつ前に出ようとする一文として読めます。手間(妥協)を払って前に出るという組み合わせで覚えておくと、compromiseとセットで使われる形も思い出しやすくなります。反対に、列から遅れていく動きはfall behindと言い、前に出るget aheadと向きが逆になる言い方として並べて覚えられます。
例文で覚える「get ahead」
get aheadは、inで分野を、ofで相手や物事を、byで手段を添えながら使い分けられます。それぞれの形を例文で見ていきましょう。
If you want to get ahead in this industry, you need to build a strong network.
(この業界で成功したいなら、しっかりした人脈を築く必要があります。)
キャリアについて助言する場面です。in this industryで分野を示すと、「どの世界で前に出たいのか」がはっきりします。
A: Why are you studying on weekends?
B: I want to get ahead of the other applicants.
(A:どうして週末も勉強してるの?)
(B:ほかの応募者より一歩先に出たいんだ。)
就職や受験の準備について話す会話です。of the other applicantsと比べる相手を置くと、周りより先に出る意味が具体的になります。
You can’t get ahead by cutting corners.
(手を抜いていては、成功できません。)
近道を探す相手に釘を刺す場面です。by以下で手段を示すと、「その方法では前に出られない」という否定の形がそのまま伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
get ahead of
(〜より先に進む、〜に先んじる)
get aheadは自分の進み方を述べる表現で、get ahead ofは比べる相手や物事が入る形です。deadlineやholiday rushのように、人以外のものを置くこともできます。
move up the ladder
(出世の階段を上る、昇進する)
move up the ladderは、組織の中で段階を上がっていくイメージの表現です。get aheadは仕事の昇進に限らず、勉強や競争で差をつける場面にも使える点が違います。
make it
(成功する、うまくいく)
make itは「成功をつかむ」という結果に重点があります。get aheadは「前に進んでいく」という動きや過程に重点があり、同じ成功の話でも見ている場所が異なります。
Note|「出世する」と「先へ進む」、訳し分けで変わるget aheadの色
作中のセリフのcompromise to get aheadを日本語にするとき、get aheadを「出世する」とするか「先へ進む」とするかで、文の色が変わります。
「出世するには妥協も必要だ」と訳すと、会社や組織の中での昇進が思い浮かびます。「先へ進むには妥協も必要だ」と訳すと、仕事に限らず、物事を前に進めるための歩み寄りという広い読み方になります。英語のget aheadは、aheadという方向を示す語を含み、周りに対する位置を表す言葉です。どの分野の話なのかは、get aheadそのものには含まれていません。分野を決めるのは、in this industryやat workのような添え語です。添え語がないときは、前後の場面から分野を補って訳語を選びます。
今回の場面は、地方検事の頼みという仕事上の話題の中で出てくるため、「出世する」と訳しても無理がありません。一方で、get ahead of the deadlineのように相手が人ではなく物事のときや、仕事と関係のない場面では、「先に済ませる」「先んじる」と訳したほうが自然です。訳語に迷ったら、まず添え語の有無を見て、分野を場面から決めます。
まとめ|「一歩前へ」を、妥協とセットで言い表す
get aheadは、周りより一歩前に出る、成功する、出世するという動きを表す表現です。分野はin、先んじる相手や物事はofで添えると、意味がはっきりします。
仕事の昇進を語る場面にも、勉強や準備で差をつけたい場面にも使えます。compromise to get aheadのように、手段や代償を表す言葉と並べると、前に出るために何を引き受けるのかまで言い表せます。
ミッチェルの話の中で、カップケーキ100個の手間と出世の話を一文につないだget aheadを、会話のレパートリーに加えてみてください。


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