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『モダンファミリー』シーズン7第20話で、クレアは展示会 ClosetCon を目前にして、社内の誰かが情報を漏らしているのではと疑い始めます。疑いはやがて身近な社員に向かい、話は思わぬ方向へ転がっていきます。
ドラマの中のスパイの言葉は、現実の職場の会話にも形を変えて出てきます。spy と mole の違いから、二重スパイを名乗り出る社員の一言、こずるい人を指す呼び名まで、疑いが広がっていく流れに沿って順に見ていきます。
「has a mole」——組織の内側にひそむ人
クレアの疑いは、自分のメールに誰かがアクセスしようとした形跡から始まります。
Claire: Apparently, someone tried to access my e-mail before I got in.
(どうやら、私が来る前に誰かが私のメールにアクセスしようとしたみたい。)Claire: Someone hell-bent on leaking company secrets.
(会社の秘密を漏らそうと躍起になってる誰かがね。)Claire: It is four days until C-Con, and Pritchett’s Closets has a mole.
(C-Conまであと4日。プリチェット・クローゼットには内通者がいるのよ。)Claire: No one is above suspicion.
(疑いを免れる人なんて、ひとりもいない。)Modern Family Season7 Episode20 (Promposal)
mole はもともと動物のモグラを指す語です。地中を見えないまま進む姿から、組織の内部に入り込み、外へ情報を流す人の意味でも使われます。has a mole は「内通者を抱えている」という形で、外から来た人ではなく、仲間の中にいるという点が要です。職場の会話なら I think we have a mole in the sales team.(営業チームに内通者がいる気がする。)のように、部署名を添えて使えます。
leak company secrets は「会社の機密を漏らす」で、leak は液体が漏れるイメージをそのまま情報に当てはめた動詞です。be above suspicion は「疑いの外にいる」という意味で、否定の No one is と組むと「全員が容疑者」という宣言に変わります。同じ文に入っている hell-bent は、フレーズ記事でも取り上げている表現です。
クレアは別の場面で、アレックスとの電話でもこの件に触れます。
Claire: Look, now that I’ve got you on the phone, I’m thinking it might be time to upgrade our Internet security.
(ねえ、せっかく電話がつながったから言うけど、うちのネットのセキュリティを強化する時期かもって思ってるの。)Claire: Thoughts?
(どう思う?)Alex: Get rid of the Post-it note on your laptop with your password on it.
(ノートパソコンに貼ってある、パスワードを書いた付箋を捨てて。)Alex: Why are you so worried about security?
(なんでそんなにセキュリティを気にしてるの?)Claire: It’s my first ClosetCon as C.E.O., and I am dealing with corporate espionage.
(CEOとして初めてのClosetConなのに、企業スパイに対処してるのよ。)Modern Family Season7 Episode20 (Promposal)
corporate espionage は「企業スパイ活動」です。espionage はやや硬い語で、日常会話では spying と言い換えられます。企業スパイという大きな話の前に、アレックスが付箋という身近な注意点で返すやり取りも見どころです。Thoughts? は「どう思う?」と意見を求める短い一語で、相談の場面で手軽に添えられます。
「spying for」と「double-agent」——誰のために探るのか
疑いの矛先は、やがて社員のベンに向かいます。クレアがベンを問い詰める場面です。
Claire: Aah! You’re spying for my dad!
(ああっ! パパのためにスパイしてたのね!)Ben: What? No! Yes.
(え? 違います! そうです。)Ben: I’m sorry.
(すみません。)Ben: I don’t know why I agreed.
(なんで引き受けたのか、自分でもわかりません。)Ben: I just look up to your dad so much.
(お父さんのことを、すごく尊敬してるんです。)Modern Family Season7 Episode20 (Promposal)
spy for ~ は「〜のために探る」で、依頼主を示します。一方 spy on ~ は「〜を探る、見張る」で、探られる相手を示します。ベンの場合は、ジェイのためにクレアを探っていたので、spy for my dad と spy on me の両方が成り立つ関係です。前置詞ひとつで、話の焦点が依頼主か標的かに分かれるのが面白いところです。
ベンの What? No! Yes. は、否定した直後に認めてしまう3語の返事です。look up to は「尊敬する、慕う」で、引き受けた理由の説明にあたります。謝罪のあとに「自分でも理由が分からない」と続け、最後に相手の父への尊敬を口にする流れは、謝るときの言葉の重ね方として見ても参考になるやり取りです。
この後、クレアとベンのやり取りはこう続きます。
Claire: I can’t believe he doesn’t trust me.
(信じられない。パパは私を信用してないのね。)Claire: Why did he put me in charge, then?
(だったら、なんで私に任せたのよ?)Ben: I don’t know, but I can find out.
(わかりません。でも、探り出せます。)Ben: I’ll double-agent.
(二重スパイ、やります。)Modern Family Season7 Episode20 (Promposal)
double agent は本来「二重スパイ」という名詞です。ベンはそれをそのまま動詞のように使い、I’ll double-agent. と言っています。名詞を動詞に転用するのは英語の口語でよく見られる形ですが、正式な言い方ではないため、まねるのはくだけた場面に限るのが無難です。put ~ in charge は「〜に任せる、責任者にする」という意味です。クレアの問いは、doesn’t trust me と put me in charge を並べ、任せたことと信用していないことの食い違いを突く問いと読み取れます。
「weasel」——伝わった情報と、その呼び名
ジェイとクレアの食事の場面で、ジェイの口からベンの名前が出ます。
Jay: You’re skipping out on ClosetCon?
(ClosetConをすっぽかすって?)Claire: Who told you that?
(誰に聞いたの?)Jay: Ben.
(ベンだ。)Jay: That little weasel told me everything.
(あのこずるいイタチが、全部しゃべったぞ。)Modern Family Season7 Episode20 (Promposal)
weasel は動物のイタチで、人に使うと「ずる賢い人、こそこそ立ち回る人」を指す口語として使われます。ジェイがすでに話を聞いていたことが、この一言で分かります。冒頭の skip out on については、フレーズ記事に詳しい解説があります。クレアの Who told you that? は「誰から聞いたの?」と情報の出どころを確かめる言い方で、噂の出元を知りたい場面にもそのまま当てはまります。
ここまでの語を並べると、違いは次のように整理できます。
| 表現 | 意味 | この回での使われ方 |
|---|---|---|
| spy | 探る人・探る行為(動詞も可) | You’re spying for my dad! |
| mole | 組織の内側から情報を流す人 | Pritchett’s Closets has a mole. |
| double agent | 双方に通じる二重スパイ | I’ll double-agent.(動詞化) |
| weasel | ずる賢い人(口語の悪口) | That little weasel told me everything. |
spy は立場を問わない広い語で、mole は「内側にいる」点に重心があると言えます。double agent は両方の陣営に通じている点、weasel は行為よりも人柄への評価に重心がある点で、それぞれ役割が異なります。
まとめ|スパイの言葉で読む職場の疑い
has a mole、above suspicion、spy for と spy on の違い、名詞を動詞にした double-agent、悪口の weasel。疑う側と疑われる側の言葉がそろうと、職場の小さな騒ぎも英語の教材になることが分かります。
これからも『モダンファミリー』の会話を手がかりに、言葉の使い分けを見ていきましょう。
助けを求める言い方や、問い詰める側とかわす側の英語は、同じ回のほかのコラムやフレーズ記事でも扱っています。


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